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第97話 仕掛けと追尾と

「今ので、床から離れてさえいれば発動しないってのは判明したな」

「はい。あとはどこへ飛ぶか……ですね」

「そうだな。よし、早速試してみるとしよう」

 俺は紡に対して頷いてみせながら鉄球に追尾用の魔力を込め、そして転がす。

 

 ――程なくして先程と同じように渦が発生し、鉄球はそこに飲み込まれていった。

 

「あ、飲み込まれて消えましたね」

「ああ。ここまでは問題ない。さて、追尾用の魔力は……?」

 紡にそう返事をしつつ、俺は追尾用の魔力を探る。

 

 するとすぐに、そこまで遠くはない位置から反応が返ってきた。

 距離的には中庭を挟んでちょうど反対側っぽいが……

 

 って、これ……例の落とし穴があった所に近いな……。位置的には俺の今の位置と水平――つまり、俺たちが今いる『2階』のようだが。

 まさか、反対側の棟との移動用だとでもいうのか?

 でも、そうだとしたら、廊下のど真ん中になんて設置するわけないか……

 

 魔力の反応を確認しつつ、そんな事を考えていると、

「転移先は判明したのですか?」

 と、問いかけてくる紡。

 それに対し、魔力の反応があった場所について伝える俺。

 するとそれを聞いた紡が、顎に手を当てながら呟く。

「ショートカット……にしては妙ですね……」

 

「ああ。俺も向こうとの移動に使うのかもしれないと少し思ったが、それならこんな風には設置しないだろうしな」

「ですよね。ここまで完全に廊下を塞いでしまっては、ショートカットにならないというか……この先へ行こうとした場合、ただ単に邪魔になるだけですし……」

 俺の言葉に頷きながら、そう返してくる紡。

 

「踏み込んでみれば分かるかもしれませんが……」

「さすがにそれは危険な気がするぞ……」

「障壁魔法で覆っておけば、大丈夫なのではないでしょうか?」

「うーん……。そうかもしれないが、そこまで無理に踏み込む必要はないんじゃないか? どの道、向こう側へは行くつもりなんだし」

「それはまあ……たしかにそうですね。ですが、この仕掛けがあるかどうかを逐一確認しながら進むのは、かなり時間を要してしまうのでは……?」

「それは否定出来ないが……」

 

 う、うーん……。踏み込んで行きそうな紡を制止する良い言葉が見つからないな……

 というか、何故にこんなにアグレッシブなんだ……? と思っていると、

「透真さん、紡さん、こちらは今の所めぼしい情報は見つかっていませんが、そちらはどんな感じですか? 先程から紡さんが行ったり来たりしていますが……」

 なんて事を言いながら、舞奈がやって来た。

 

 お、ちょうどいい所に! と思いつつ、「実は――」と切り出し、これまでの事を舞奈に説明する俺。

 すると、説明を終えた所で、

「なるほど……。たしかに転移先が気になりますね。……鉄球自体に魔力を込めてあるという事は、鉄球はそのままの形で存在出来ているという事ですよね? であれば、転移したとしても、障壁で防げないような即死トラップの類は仕掛けられていないのではないかと推測出来ます。……が、そこまでする必要はないでしょう」

 と、そんな風に言った。どうやら俺と同じ考えらしい。

 

 ……と思いきや、

「――廊下を飛んでいってしまえばすぐですし」

 なんていう『俺の考えとは全く違う斜め上の言葉』を口にする舞奈。

 

「飛んでいく……ですか?」

「はい。床に触れなければ発動しないんですよね? であれば、飛行魔法で飛んでいけば、わざわざ床の仕掛けを気にする事なく向こう側へすぐに到達出来るのではないかと」

 首を傾げる紡に対し、舞奈が頷きながらそんな風に答える。

 

 ああ、なるほど……。言われてみるとたしかにその通りだな……

 

 そう思いながら納得していると、

「まあ、この闇のせいで飛翔魔法が発動出来ないとかでしたら話は代わりますが……」

 と、俺の方へと顔を向けながら口にする舞奈。

 

「いや、問題なく発動出来るはずだ」

 俺はそう返事をしつつ、とりあえず浮遊魔法を発動してみる。

 すると、何の問題もなく俺の身体は浮かび上がった。

 

「大丈夫そうだな」

 と言いつつ着陸した所で今度は、

「床に触れるタイプではないものが仕掛けられていると駄目ですが、紡さんが障壁バッティングで飛ばした鉄球は何かに引っかかった様子はないんですよね?」

 なんて問いの言葉を投げかけてくる。

 

 いや、障壁バッティングって……と思いながら、

「そうだな。しっかり魔法で追尾したわけじゃないから、絶対とは言えないが」

 と、答える俺。

 

「なら、もう少し詳しく調べてみましょうか。ちょっと鉄球を持ってきますね」

 と言うなり、今度は舞奈がダッシュで鉄球を取りに行った。

 ただし、紡と違って身体強化魔法を使った上でのダッシュなので、あっという間に戻ってきて、

「透真さん、これに魔力を込めて貰えませんか」

 と、5つもの鉄球を床に置きながらそんな風に言ってくる。

 

「5つ?」

「この直線上だけ仕掛けがない可能性もゼロとは言えないので、中央、左右の端、中央と左右端の間の計5ヶ所で試してみた方が良いかと思いまして」

 首を傾げる俺に対し、そう説明する舞奈。

 

「なるほど……。まあ了解だ」

 俺はそう返事をして床に置かれた5つの鉄球に、先程と同じ追尾用の魔力を込めた。

 

「では舞奈さんが今言った通り、5ヶ所で飛ばしてみますね」

「ああ、よろしく頼む」

 俺は紡に対して頷きながらそう返す。

 

 するとそこで舞奈が、無言で小首を傾げた。

 

 ん? なにか気になる事でもあるんだろうか……?

 そう考えつつ、紡が障壁魔法で鉄球を飛ばしていくのを眺めていると、

「……えっと? 透真さんが全部纏めて飛ばしてしまえば良かったのでは……?」

 なんて小声で問いかけてくる舞奈。

 

 ああなるほど、小首を傾げた理由はこれか。

 ま、もっともと言えばもっともな疑問だよな。

 と思いつつ、

「いや……なんだか妙にやる気だったから、まあいいかと思ってな……」

 と返す俺。

 

「それはまあたしかに……」

 と納得した表情で呟く舞奈。

 しかしすぐに、

「むむむ……しかし、これは出来るアピールというものなのでは……いえ、ですが純粋に……むむむ……」

 なんていう意味のわからない事を呟きながら、難しい顔をして考え込む。

 

 ……はて? まだ納得していない点があるのだろうか? 

 そんなに引っかかりを感じるような話ではないと思うんだが……

 などと考えたものの、なんだか考え込む理由が違いそうというか……その事を突っ込んではいけないような気がしてきた。

 

 うん、ここは突っ込むのをやめておくとしよう。

なんというか、微妙に締まりの無い感じに……


ま、まあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、10月5日(土)の想定です!

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