第39話 再び出会う少女
「……すいません。ありがとうございます……」
ゲートを通って学校に辿り着いた所で、恥ずかしそうに顔を赤らめながら、お礼を述べてくる舞奈。
「ま、気にするな。――にしてもここ、昨日は暗くて気付かなかったが……朝だと正門付近からギリギリ見えなくもない感じなんだな。……一応、視認阻害の魔法陣を展開しておくか」
木や茂みがあるので、見ようと思って見ない限りは分からないが、何が起きるかわからないので、俺は念の為に……と、中にいる限り周囲から見えなくなる魔法陣を展開する。
「これでこの魔法陣の中にいる限り外からは見えないから、月城は先に教室に行くといいぞ。俺は少ししてから行く」
「え? 何かする事があるんですか?」
「いや、何もないが……俺と一緒に教室に行ったら、変な目で見られるだろ?」
「……変な目? …………あ、ああっ! な、なるほどっ! た、たしかにそうかも知れませんねっ!」
理解したらしい舞奈が、再び顔を赤らめながら、そんな風に言ってくる。
……しかし、舞奈が顔を赤くするの、今日これで何度目だっただろうか……
「そ、それでは先に行っています! ありがとうございます!」
そう口にして去って行く舞奈を見送り、ふと上――4階へと顔を向けてみる。
……昨日の夕方よりは静かな感じだが、やはり妙な魔力を感じるな。
少しだけ様子を見に行ってみるか……
というわけで、昇降口から校内へ入り、4階へと向かってみる。
すると、そこには多くの生徒と、誰も立ち入らないように見張る教師の姿があった。
俺は隠蔽魔法を使って生徒や教師の脇をすり抜け、4階へと移動。
教師から見えない場所まで行くと、隠蔽魔法を解除。廊下に印を刻んだ。
これでいつでもここに移動して来られる。
そう思った直後、横から視線を感じた俺は、即座に顔をそちらへと向ける。
すると、そこには昨日体育倉庫で出会った少女がいた。
……ああ、なるほどな。
「やっほー」
なんていう脳天気な声をかけてくる少女。
それに対して俺は、額に手を当て、
「……はぁ。昨日の『妙な感覚』はそういう事か」
と、ため息を吐きながら言う。
「あら? もしかして私が何者か気づいたのかしら?」
「ああ。……お前、幽霊――霊体だな? よくまあ朝っぱらから顕現出来るものだ」
そう答え、俺は肩をすくめてみせる。
「足もあるのに良く霊体だとわかったわね」
なんて事を言いながら足を見せてくる霊体の少女に対し、
「そりゃ、生死問わず人間に憑依するタイプの霊体なら、普通に足なんてあるしな。もっとも、お前はどうやら憑依しているわけじゃないみたいだが……」
そう告げる俺。
すると霊体の少女は、
「そうね。まあ簡単に言うと、肉体を失って戻れなくなった生霊……みたいなものなのよ、私は」
などと、そんな風に言ってきた。
……肉体を失って戻れなくなった生霊? どういう事なのだろうか……
幽霊少女の登場です! という所で、また次回!
明日も更新しますのでよろしくお願いします!




