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第34話 情報と看破と推測

 ――特にこれといった進展のないまま時間だけが過ぎる。

 まあ、学校があるので放課後くらいしか動けていないのと、部活やら用事やらで全員が毎日揃っているわけではないってのもあるが。

 毎日いるのは、俺の方だと舞奈とセラ、咲彩の方は雅樹とミイ&カナくらいだ。

 

 そして、調査開始から約2週間後の土曜日――

 

 拝殿と鳥居の間に線路があるという、なんとも不思議な神社を上空から眺めながら移動していると、

「次の場所は思ったよりも離れているですね」

「まあ、だから飛行魔法を使っているわけだしね」

 と、悠花と涼太が言ってきた。

 

「そうだな。というか、もう近い所は調べ尽くしたっていうのが正しいかもしれん」

 そんな風に俺が返事をすると、紡がため息混じりに言葉を紡ぐ。

「そうですね……。まさかここまでハズレが続くとは思いませんでした……」

 

「トットラァ……。全然見つからないでありますトラァ……」

「ブッルゥ……。どこへ行っても、反応がまったくないブルよ……」

 そんな風にオトラサマーとブルルンが口にした通り、今日調べた場所も何もなかった。

 というより、むしろ何かあったのは、一番最初に調べた山間部――六翼のワイアームが出てきたあの場所だけだったりする。

 

「ここまで何も手がかりが見つからないとなると、もしこの辺りに黒志田が来ていたとしても、既に他の場所に移動してしまっている可能性もありますね……」

「たしかにそうだな。交通機関や道は随所に桜満の部下――見張りが配置されているらしいが、そういった所をすり抜けているというのは十分にあり得る話だからな。それこそ、撃墜された例の輸送機のように」

 舞奈の発言に対し、俺がそう返事をした所で、

「あの輸送機、どこから飛び立ってどこに向かっていたのか、いまだに不明なんだっけ?」

 と、涼太が問いかけてくる。

 

「ああ。あの手の飛行機が発着可能な全ての空港やその他諸々のデータを調べたそうだが、まったく見つからなかったそうだ」

「となると、アレを飛ばしていた何者かは、自前で滑走路を有している……という事でしょうか?」

 俺の返答に、今度は紡がそんな推測を口にしてきた。

 

「まあ、現状だとそう考えるのが妥当だろうな。……捕縛した連中が口を割れば、その辺りも分かりそうだが、いまだに何も話さないようだしな」

「いっそ、自白剤を投与するとか……」

 俺の発言に、なにやら黒い事を呟く紡。

 

「いや、さすがにそれは……。というか、その手の物にも抵抗してきそうな気がする。なにしろ、舞奈にも『推測』出来なかったからな。ちなみに俺の看破魔法でも駄目だった」

「……魔法や月城家の人の力を用いても駄目なら、もし仮に薬を用いたとしても駄目そうだね」

 俺に続くようにして涼太がそう呟くように言うと、

「ブッルル? 月城家の能力は、その自白……剤ブル? それよりも優れているブッル?」

 という疑問をブルルンが口にした。

 

「そんな事はな――」

「――ですです! 月城家の人の読心の力は凄まじいのです!」

 否定しようとした舞奈に被せるようにして、そう力強く告げる悠花。

 それに対して特に異論はないので、俺も頷いて肯定する。

「そうだな。その手の薬どころか、並の看破魔法よりも強力だと俺も思うぞ」


「あ、あの……。あまり持ち上げないでいただけると……。見破れない時は見破れませんし……」

 舞奈が照れ顔で、頬を指でなぞりながらそんな事を言ってきた。

 

 それに対して返事をしようとした所で、スマホがメッセージの着信を知らせてくる。

 うん? なんだ?

 

『例の記者とその妹の魂、それから綾乃君をホムンクルスに移し替え終えた。そして、得られた情報をもとに、傭兵たちを揺さぶってみたら動揺が見られた。今なら看破魔法や月城家の力を使えば、何かもっと深い情報を引き出せるかもしれない』

 スマホを見てみると、そんな事が書かれていた。これは良い情報だな。

 

 というわけで、早速メッセージの内容を皆に伝える俺。

 

「あ、あの3人、上手くいったのですね」

「そのようですね。良かったです」

 紡と舞奈がメッセージの前半部分について喜びの表情をみせる。

 そのふたりに続くようにして、

「ブッルー。得られた情報で揺さぶった……ブルゥ? 良く分からないブルけど、月城家――舞奈ならば、もっと情報が得られそうというのは理解したブルよー」

「トッラトッラー! それなら、調査は中断してそっちへ行ってみるのが良さそうでありますトーラねー」

 ブルルンとオトラサマーがそんな風に言い、舞奈を見る。

 

「う、うーん……。そう言われるとちょっとプレッシャーが……」

「まあ……なんだ? やってみるだけやってみるとしよう。上手くいかなくてもそれはそれって奴だ」

 俺は舞奈に対してそう返すと、一呼吸置いてから皆に告げた。

「――というわけで、次の目的地近辺に着いたら、印を刻んで戻るぞ」

 

 ……

 …………

 ………………

 

「――で、見事に情報を得られたってわけだね? うん、さすがは魔法。そして舞奈の力って感じだね」

 鈴花が食卓を挟んで反対側に座っている舞奈に対して、そんな風に言う。

 

 ちなみに今日は舞奈のお爺さん――啓蔵さんの家ではなく、咲彩の家だ。

 さすがに週末の度に啓蔵さんの家で食事をするのは……という事で、今回は咲彩の家でとなった。

 ……まあ、どっちにしても申し訳ない感はあるのだが、どちらの家も『ここに集まれ』というスタンスなので、ありがたく集まらせて貰っている。

 

「そ、それほど大した事は……しましたけど」

「まさかの肯定!」

「鈴花がいたずらっぽい顔で言うから、こちらもそうしただけですー」

 なんてやり取りをする舞奈と鈴花。

 

 うーん、さすがは元から友達であっただけあるなぁ……

 と思いつつも、そこは何も言わず、

「――とりあえず、こっちはかなり範囲が絞り込めた。数日中になんとか全部潰せそうだ。もしこれでも見つからないなら、既にこの辺りにはいないと考えるべきだろうな」

 とだけ口にする俺。

 

 そして俺は、そのまま咲彩の方へと顔を向けると、

「で、咲彩たちの方なんだが……そっちは黒志田ではなく、例のアンティークショップの店主が動いていそうな感じだ。というのも――」

 と切り出し、得られた情報をもとにその説明を始めるのだった。

なんだか良く分からないサブタイトルになってしまいました……

しかもあまり進展がないという……

次回はもうちょっと進展させたい所です……(一応、それなりに進展する想定ではいます)


ま、まあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、2月10日(土)の想定です!

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