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第26話 オトラサマーとブルルンと咲彩

「おはようございますなのです!」

「トッラー!」

 翌日、そんな声と共に悠花と、デフォルメされた二足歩行の虎のぬいぐるみが現れた。

 

 っていうか、トッラーって……

 ……まあそれはさておき、これ使い魔だよな?

 

「なんで悠花が使い魔を?」

「――あ、それ俺のです。まあその……悠花がどうしても使い魔が欲しいって言うので、俺が使い魔化して、悠花に付き従うように指示してあるんです」

 俺の疑問に対し、そう説明してくる涼太。

 

「な、なるほど……。たしかにそういう方法もあるか」

「はいです! 悠花がお兄ちゃんの代わりに抱きしめて寝ているオトラサマーなのです!」

 俺に対し、そんな事を言ってくる悠花。

 

 ……オトラサマーが名前って事で良いんだろうか……

 

「トララー。オトラサマーでありますトラー。よろしくでありますトラー」

 虎のぬいぐるみがそんな風に言ってきたので、オトラサマーでいいらしい。

 ……なかなか変わったネーミングだ。

 

「え、えっと……悠花? オトラサマーを抱きしめて寝ているのって、そんな理由だった……の……?」

「……あっ! し、しまったのですーっ! き、聞かなかった事にして欲しいのですーっ! ひうーっ!」

 ちょっと引き気味の――でも、顔が少し赤みを帯びているような気もするので、照れも混じっているかもしれない――涼太の言葉に、自分がついうっかり口走ってしまった事に気づき、顔を真っ赤にして慌てふためきながらオトラサマーをガチッと掴んで顔を埋める悠花。

 

「トッ、トラァーッ!? 悠花ァァ、ちょっと強く抱きしめすぎトラァァッ!」

 オトラサマーがそんな声を上げるのを見ながら、

「ブッル……。なんだか妙な既視感があるブルね……」

 なんて呟くように言うブルルン。

 

 まあたしかにそうだなぁ……と思っていると、

「ふっふー……。そうだねー……。ブルルンもムギューってしてあげるねー? ムッッギューッッッ!!」

 と、なにやらちょっと恨めしげな声で言いながら、ブルルンを掴んでムギューっと強く抱きしめるセラ。

 というか、いつの間に現れたんだ……

 

「ブッルゥゥッ!? ム、ムギューされるのは良いブルけど、ちょっと強いブルゥ! もうちょっと優しくブッルブッルして欲しいブルゥゥ!」

「ヤダー! ブルルン、ちゃんと捕まえておかないと、すぐにいなくなっちゃうでしょぉぉー! さっきもいつの間にか温泉に行ってるしぃぃー! 昨日から、なんだか放っておかれてる感じがしてちょっと寂しかったのぉぉーっ!」

 セラの腕の中でもがくブルルンに対し、セラが怒りやら悲しみやら色々な感情の混ざった表情でそんな風に返す。

 

 あー……。さっきセラが、ブルルンの姿が見えない事に不満そうな顔してたのは、こういう事か……

 ここは咲彩の宿と違って、見知った人間か事情を知っている人間しかいないから、ブルルンも自由に好きな時に入れるしなぁ……

 俺はちょっと入りすぎだろ……。くらいにしか思っていなかったが……

 

「あわわブルゥゥッ! それはごめんブルッ! それについては謝るブルゥ! 今度からちゃんとセラに言ってから行くブルから、許して欲しいブルゥゥゥゥゥッ!」

 そんな風に叫ぶブルルンだったが、セラはギューッと抱きしめたまま離さない。

 

「朝からテンションが高いというか、騒がしいわねぇ……。ある意味、いつもの光景な気もしないではないけれど……」

「ま、まあ……。セラちゃんの気持ちもわかるけどねぇ……」

 俺たちの所へとやってきたかりんと咲彩が、そんな事を口にする。

 

「ぬいぐるみの使い魔が2体……。しかもどっちも同じように強く抱きしめられているって、なんだかカオスだな……」

 同じくやってきた雅樹がそう呟くと、

「たしかにねぇ……。というかさ、弥衣の使い魔も人形だし、ボクたちの回りにいる使い魔って、なんだかどれも使い魔らしくない感じがちょっとあるよね」

 なんて事を咲彩が返す。……否定は出来ないな。

 

「んー、言われてみるとそんな感じもするな」

 雅樹はそう返事をすると、一度そこで言葉を切り、

「……そういや、人形でふと思い出したんだが、人形を寝室に置くと運気が下がる……みたいなのがあったよな?」

 と、腕を組みながら問いの言葉を紡いだ。

 咲彩がそれに対して小首を傾げながら答える。

「あー、うん。たしかにあるね。でもあれって、実際の所はどうなんだろう?」

 

「それは『藁人形』とかの『日本古来の呪物としての人形』に由来する話ね。だから、普通の人形とかぬいぐるみとかは無関係だと考えていいわよ。まあ……さすがに針やナイフなんかをブスブス刺した人形やぬいぐるみは、もはや呪物そのものと化してしまっているか、そこまでいっていなくても、悪い気――邪気を生み出してしまっているような状態だろうから危険だけど、そんな事、普通はしないでしょ?」

「それはまあそうだね」

 かりんの説明を聞いた咲彩は、首を縦に振って納得しつつそう返す。

 

「つまり、普通に置いておく分には特に気にする必要もないって事か」

「ええ、そういう事よ。もちろん抱きしめて寝るのも別に問題ないわ。――大体よ? 世界全体で見たら、どれだけの人形やぬいぐるみが寝室に置かれていると思ってるのよ? それら全てが、呪いや邪気を生み出したりなんかしてたら、大変な事になるじゃないの」

「ああ、そりゃそうか……」

 肩をすくめながら言ってくるかりんに、雅樹が納得して頷いた所で、

「――それはそうと、ふたりは朝からどこへ行ってたの? さっき、何か色々と手に持ってゲートで戻ってきた所だったわよね?」

 と、そんな事をかりんが問いかけた。

 

「ん? ちょっくら咲彩の家だ。なんか咲彩が沙恵子さんから、朝飯もこっちとあっちの料理を出したいって言われたらしくてな。ちょっと作ってきたんだ。こっちで作ろうにも、足りない物が結構あるって咲彩が言うから、向こうへ行くしかなかったんだよ」

「あ、そうなのね」

 かりんが雅樹の返答に納得した所で、

「う、うん。そう。そうなんだよっ」

 と、咲彩も頷きながら言った。……何故か目がちょっと泳いでいるが。

 

「――はい。旦那様――啓蔵様が皆崎さんの所のお料理を気に入っていらしたので、少し『相談』させていただいたのです」

 タイミング良く現れた沙恵子さん――正確に言うと、舞奈も一緒に来た――がそんな風に言いながら咲彩を見る。

 ……なんか今、『相談』の所が強調されていたな……

 

 うーん……? どういう事だ?

 と思っていると、

「咲彩さん『から』沙恵子さん『に』向こうの料理を出したいと『相談』して、緋村さんを朝から連れ出したんだと思いますよ」

 なんて事を俺に対して小声で言ってくる舞奈。

 

「ああなるほど、そういう事か。だがまあ……なんだ? それは気づかなかったフリをしておいてやるのが良い奴だな。沙恵子さんも咲彩の方に合わせてる事だし」

 そんな風に俺が小声で返すと、舞奈は頷きながら、

「ええそうですね。人の恋路を邪魔する奴はなんとやら……です。それに……咲彩さんには昨日、ギネヴィアさんたちと一緒にお風呂に入った時に、少しばかし申し訳ない事をしてしまいましたし……」

 と、そんな事を口にした。

 

 ……なんだか良く分からないが、なにかあったようだ。

 でもそう言われてみると、あの時一緒に風呂に入りに行った面々が、なぜかツヤツヤしていたのに対し、咲彩だけはなんだかちょっとゲッソリしていたような気がするなぁ……

なんともなサブタイトルですが、他に思いつかなかったもので……

そして、会話が思った以上に……というか、もの凄く長くなってしまいました……

しかも、オトラサマーの出番短すぎたような気もちょっとしています(汗)


何故、虎のぬいぐるみの使い魔なのかというのは、まあ……単純にブルルン=犬 ( フレンチブルドッグ ) なので、こっちは猫で……と思ったものの、猫そのものだと何か普通すぎると感じたので、虎(かつ二足歩行系)にしてみた感じです。


ま、まあそんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、1月13日(土)の想定です!

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