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第25話 盆子原兄妹

「ブッルゥ……。温泉は何度入ってもイイモノブルねぇ……」

 脱衣所から出た所で、そんな事を口にするブルルン。

 顔がなんかとろけてるぞ……

 

「たしかにここの温泉は、咲彩の宿の温泉とはまた違った感じで良かったな」

「ブッルルー! まさに甲乙つけ難いというヤツブルよー」

 そんな事を言いながら自分の部屋に向かって廊下を歩いていると、

「――なるほど、こういう感じなのね。興味深いわ」

 なんていう声が夕食を摂った部屋から聞こえてきた。

 これは、かりんの声か。という事は……

 

 障子が開けられたままだったので、部屋の中を覗いてみると、予想通りそこにはかりんと啓蔵さん、そして見知らぬ少年と少女がいた。

 少年と少女は俺たちより少し年齢が低い気がするな。

 少年は中学生、少女は小学生――の高学年くらいだろうか?

 

「悠花としては、かりんお姉さんの符の方が興味があるのです。こんな符、見た事がないのです。お兄ちゃんは見た事あるです?」

「いや、俺も実際に見たのは初めてだね。この符は古い時代に使われていたものなんだけど、色々あって失われてしまった……と言われていたからね。今の今までは」

 少女の問いかけにそう答える少年。

 

「え? 失われていたの? それは初めて知ったわ。私はむしろ、この符術しか知らないし……」

「そ、そうなんだ。うーん……。まさか、関東にこの符術だけを伝えている家があるなんて思わなかったよ」

 かりんの発言を聞いた少年がそんな事を口にして顎に手を当てた。

 

「――まあ……かりんの所はむしろ、そっちの方面の血は途絶え気味だからな。それこそ、一緒に来ている小井出鈴花と血筋を辿っていくと実は同じ家に行き着くんだが、あっちは今や一般人――普通の料理屋だしな」

 とりあえず、そんなフォローの言葉を口にしながらかりんたちのもとへと歩み寄る俺。

 

「あなたは……」

「ぬいぐるみの使い魔なのです! もしやお兄さんが成伯透真さんなのです!?」

 少年の発言を遮るかのように、ブルルンを見ながら少し興奮気味にそう問いかけてくる少女。

 

「ああ、その通りだ。で、こっちが――」

「ブルルンがブルルンブッルよー、よろしくブルゥ」

 俺に続くようにしてブルルンがそう言うと、

「ブルルンガブルルンブッル? 長い名前なのです」

 なんて小首を傾げながら返してくる少女。

 

 ……定期的にこうなるな……なんて事を思いつつ、

「いや、ブルルンだけでいいぞ」

 と告げる俺。

 

「了解なのです! あ、悠花は盆子原悠花なのです!」

「ブルル? ボンコバラ……ブル? あまり聞かない名字ブルね」

 悠花に対し、ブルルンが身体の上半分を傾けながらそう返すと、

「この辺りではそれなりにいる名字なのだが、たしかに他の地域ではまず聞く事のない名字かもしれぬな」

 と、そんな風に言ってくる啓蔵さん。

 

「そうだったですか! あまり気にした事なかったのです!」

「まあ、他の地域に行かないと気づかないよね。――あ、俺は悠花の兄で、盆子原涼太と言います」

 悠花に続くようにして、少年――悠花の兄である涼太がそう名乗ってくる。

 

 すると、その直後、

「正確には『義』と付くのです! だから、悠花はお兄ちゃんとも結婚出来るのですよっ!」

 なんて事を言って、涼太の方へ熱い視線を向ける悠花。

 それに対して涼太の方はというと、

「う、うん。そ、そうだね……」

 と、頬を掻きながら、なんとも言い難い表情で返事をした。

 

「ブッルゥ、なんだかセラみたいブルねぇ……」

 なんて事をブルルンが呟く。

 ……なるほど、言われてみるとたしかにそうかもしれない。

 

「そ、それはともかく、成伯さんは魔法使いなんですよね? しかも、他人の魔法の資質を調べる事が出来るとか……」

 若干、話を逸らそうという意思を感じる発言だが、まあ敢えて何も言うまい。

 なので……

「そうだな。これを使えば資質を調べる事が出来るぞ」

 そう言いながら、魔導具を見せる俺。

 

「それを使えば、悠花もぬいぐるみを使い魔にする資質があるかどうか分かるです?」

 ある意味、涼太の想定通りになったというべきなのだろうか?

 悠花は魔導具の方へと興味を移し、俺にそう問いかけてきた。

 

「まあ、ぬいぐるみを使い魔にする魔法も、資質がないと使えないからな」

「凄く気になるのです! 調べてみたいのです!」

「構わないが、使い魔の魔法の資質があるとは限らないぞ?」

「なかったら仕方がないのです! もちろん、あったら嬉しいですが!」

 俺に対してそんな風に返事をしてくる悠花。

 ならば……という事で、早速魔導具を置き、悠花にプレートの上に手を乗せるように告げる俺。

 

 結果は――

「……残念なのですぅ……」

 と、悠花がションボリしながら口にした通り、使い魔系の魔法を扱う資質は、残念ながら持っていなかった。

 

「でも、これはこれで凄いと思うぞ。大地に水に氷に樹木……。特に樹木を操る魔法の資質はレアだし」

「私と同じく武器生成魔法も使える辺り、近接戦闘向きって感じではあるわね……」

 俺とかりんがそんな風に言うと、

「つまり……悠花がお兄ちゃんを守ればいいのですね! ずっと!」

 なんて事を言って再び涼太の方へと熱い視線を向ける悠花。

 

「い、妹に守られる兄の図というのは、ちょっと気が引けるんだけど……。って、まあ、それは置いといて、とりあえず俺も調べてみようかな」

 そんな風に言いながら、視線を魔導具の方へと逸らす涼太。

 そして、そのままプレートに手を乗せた。

 

 で、どうなったのかと言うと……

「どうしてお兄ちゃんの方に、使い魔の魔法を使う資質があるですかぁぁーっ!?」

 と、悠花が嘆きの声を発した通り、涼太には火と雷、そして使い魔系の魔法を扱う資質があった。


 そう……涼太は『使い魔系の魔法』が扱えてしまったのだ。

 

 ……まあなんというか……こればかりは如何ともし難いからなぁ……

 と、ふたりを眺めながら思う俺だった。

遂に(?)本作の「なのです」枠の登場です!(何)


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、1月10日(水)の想定です!

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