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第22話 今日の報告

 舞奈たちがいる部屋に行くと、ちょうど沙恵子さんが居たので、手土産の数々を託す俺たち。

 

「これはまた随分とお持ちいただきましたね……。しかも、この辺りでは手に入らないような物ばかりですし、実に興味深いです。ありがたく受け取らせていただきます」

 沙恵子さんはそんな風に返事をすると、奥の間にそれらを移動し、

「それでは夕食の準備が出来ましたら、また来ますね」

 と、俺たちに告げて襖を閉めた。

 

 ……あれ、全部ひとりで運んでいくの大変そうだな。

 まあ、手伝おうとしても断られるだろうから、何も出来ないが……

 

「全員集まってもまだ余裕あるのが凄いですね……」

 適当な場所に座る俺たちを見回しながら、既に着席済みの紡がそんな事を口にした。

 たしかに、これだけの人数が集まっても座る場所に困らないな。

 

「ウチの宿の大部屋くらいあるよね……。ここだけで」

「ウチの店の……店舗部分の3分の2くらい……かなぁ?」

 なんて事を口にするのは、咲彩と鈴花。

 

 さすがは比較対象出来る広いスペースを持っているだけはある……と、言うべきなのだろうか?

 

「……ところで、幽霊仲間のセラ……は?」

 カナがそんな事を呟きながら周囲を見回す。

 

「あ、ブルルンちゃんを追って、お風呂に行きましたよ」

「なんと。では、私も……」

 舞奈の返事にカナよりも先にそう返すギネヴィア。

 

「却下。後で。まずはそれぞれ報告しないと」

「マイレディよ、そんな殺生な……」

 弥衣に却下されたギネヴィアが、そんな事を口にしながら項垂れる。

 まあ、ギネヴィアがいなくても大丈夫ではあるが……敢えて言うまい。

 

「……で、そっちはどんな感じだ? こっちは、正直移動しただけで終わったが……」

 とりあえずさっさと話を始める事にして、そう告げる俺。

 実際には、おおやしろに寄って少し観光めいた事もしたが、そこはそれというものだ。

 

「あ、うん。バスと電車のルートを確認しただけで終わったよ……。ほら、そっちと違って、こっちは全員飛行魔法でヒューン! みたいな移動方法は使えないじゃない? だから、移動手段を把握しておこうと思ったんだけど……」

「電車はともかく、バスが把握しきれない……。あんな数見た事もない……」

 咲彩の言葉を引き継ぐようにグテッとしながらため息混じりに言う弥衣。

 

「まあ、しばらく移動に苦労しそうだな……。電車で移動出来る範囲なら、そこまでは苦労しないが……」

 雅樹がそう言って腕を組むと、それに対して紘都が、

「さすがにそんな簡単にはいかないだろうからね」

 と返事をして、やれやれと首を横に振ってみせた。

 

「なるほどな……。さすがは古都って感じだな」

「うん。でも『検索』しながらいけば、どうにかなりそう」

 俺の発言に頷きながら、そう言ってくるのはミイ。

 ……って、ミイ?

 

「そうそう。何気にミイちゃん、スマホの扱いに慣れてるんだよねぇ」

 そんな風に鈴花が言うと、

「カナのホムンクルス体が出来るまで暇だったから、色々やってたら覚えた」

 なんて事を口にしつつ、小さくVサインをしてみせるミイ。

 

 この短時間で覚えるとは……

 そのうち、俺より扱いが上手くなるんじゃなかろうか……?

 なんて事を思いつつ、

「なら、本格的に動くのは明日からになりそうだな。こっちもそっちも」

 とだけ返事をしておく俺。

 

「そうなるねぇ。ま、今日のところはゆっくりするとしようか」

 咲彩がそんな感じで言った所で、

「ブッルルゥ……。良いお湯だったブルゥ……。――ブル? みんなもう来てたブルね?」

「あ、ホントだ。もう来たんだねー」

 と、湯気を纏いながら現れるブルルンとセラ。

 ……なお、セラの方は比喩だが、ブルルンの方は本当に湯気を纏っていたりする。

 

「ぬいぐるみから湯気……。なんだか不思議……」

 そうミイが呟いた直後、

「さあ、マイレディ! 今度こそお風呂に行こうではないか! さあ!」

 と言って、ずずいっと弥衣の顔に近づくギネヴィア。

 

「……う、うん。わかった。とりあえず落ち着いて……」

 弥衣はちょっと引き気味にそう返すと、舞奈の方へ顔を向け、

「――えっと……。舞奈、お風呂、どこ?」

 と問いかけた。

 

「あ、はい。それじゃあ案内しますね」

 舞奈がそんな風に返事をした所で、

「待って……私も入る……よ」

「同じく」

「あ、ボクも! ウチとの泉質の違いを確認しないとっ!」

 と、そう告げるカナ、ミイ、そして咲彩。

 

「ブッルゥ……。『ウチとの泉質の違いを確認』って、まず口にする事のないセリフブルよね……。なんだかちょっと羨ましいブルゥ」

 舞奈に続いて風呂へ向かう咲彩を羨ましげな表情で見ながら、そんな事を呟くブルルン。

 

「ま、まあたしかに、家に温泉がある咲彩ちゃんならではの発言ですね……」

 そう返す紡に続くようにして俺は、

「そうだな。さすがに今の家に、温泉を引くとかは出来ないからなぁ……」

 と口にしつつ、たしかにちょっと羨ましい気もしなくはないなぁ……なんて事を思うのだった――

なんというか、何も進展がなかった事を報告するだけで終わってしまった感が……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、12月30日(土)の想定です!

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