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第14話 ふたつの古き地を訪れし者たち

「オッケー! これでいつでも修学旅行が出来るよ!」

 咲彩がそんな風に言いながらサムズアップしてみせる。

 

「いや、修学旅行って……」

 呆れ気味にそう返すかりんに続くようにして、

「まあ……修学旅行の定番っちゃ定番だけどな、ここ」

 と、そんな風に言う雅樹。

 

「僕らは中学校の時に来たね」

「だねぇ。中学で来た時は絵馬――げふんっ」

 紘都の発言に反応してそう口にした鈴花だったが、途中で急に言葉を止めて、わざとらしく咳払いした。

 

 ……はて? 中学校時代に来た時に、なにかしたんだろうか?

 絵馬って言いかけていた気がするが……。まあいいか。


「学生服を来た男女が多い……ね」

「うん、たしかに」

 カナとミイがそんな事を言いながら周囲を見回す。

 

「修学旅行は5月か6月に行く所が多いからね」

 そんな風に鈴花が告げると、

「あ、言われてみると私たちも5月でしたね」

 と、そう返す紡。

 

「でもまあ、これだけ他の地域から来た学生が街中にいるのなら、いざという時は修学旅行生って事にすれば、怪しまれる事はなさそうね」

「たしかに。それで、早速調査する?」

 かりんに対して頷いてみせながら、そう問いかける弥衣。

 

「リーダーに任せるわ」

 かりんがそう言いながら咲彩の方を見ると、咲彩は、

「そう言えば、リーダーって誰?」

 と、そんな風に返しながら周囲を見回す。

 

「いや、お前以外いないだろ。転移魔法使えるのがお前だけなんだし」

 ツッコミをいれる雅樹に対し、咲彩が驚きの表情で、

「えっ!? ボク!? リ、リーダーとか苦手なんだけど……雅樹、パス!」

 なんて事を言って、雅樹にタッチする。

 

「パスすんな!」

 雅樹は更にツッコミを入れた後、腕を組み、

「……だがまあ、この中で一番リーダー向きなのは――」

 と言いながら、かりんの方へと視線を向ける。

 というか、他の咲彩パーティの面々も、かりんの方へと視線が向いていた。

 

「……え? 私?」

 かりんがキョトンとした顔で自分を指差しながらそんな風に言うと、咲彩パーティの皆が一斉に首を縦に振って見せた。

 

「まあ、リーダー向きだと私も思いますよ」

 話を聞いていた舞奈がそんな風に告げると、

「……う、うーん……。そんな事はないと思うけど……」

 なんて返事をしつつ頬を掻くかりん。

 

「はぁ……。このままアレコレ言ってても話が進まないし、私がリーダーって事でいいわよ、もう」

 かりんはため息混じりにそう口にした後、少し考えてから、

「――とりあえず、本格的な調査は明日からにして、今日は先行して調査している人たちから話を聞くのと、地理の把握……かしらね」

 と、告げた。

 すると、皆がそれに対し、一斉に「おう」だの「了解」だのといった、了承の言葉を返す。

 

 そんなやり取りを見ながら、

「……とりあえず、こっちは大丈夫そうだな。俺たちも目的地へ向かうとするか」

 と、呟くように言う俺。

 

「そうですね。ゲートはどの辺りに?」

 頷きながらそう問いかけて来た舞奈に、

「おおやしろの近くだが……例の温泉街はそこからだと遠い感じか?」

 と答えつつ問い返す俺。

 

「はい。あそこからだと電車を使わないと駄目ですね」

「なるほど……。そうなると、飛んでいくにしても、移動にそこそこ時間がかかりそうだな……。すぐに行くとするか」

 舞奈の返答に対してそう言いながら俺は即座にゲートを開く。

 

「あ、ここですか。そこの角を曲がった先にあるお蕎麦屋さん、割子蕎麦と釜揚げ蕎麦がとても美味しいんですよね!」

 ゲートの先の風景を見ながらそんな風に言ってくる舞奈。


 ……舞奈がそんな事を口にするとは珍しいな。

 気にはなるが……昼飯は食ったばかりだし、今日は無理だな。

 などと思いながら、

「じゃあ、こっちは任せたぞ」

 と、かりんに告げてゲートをくぐる俺。

 そして、それに続くようにセラ、舞奈、紡もゲートをくぐる。

 

「――古事記の舞台とも言うべき、この地へ訪れる日がこようとは、夢にも思っていませんでした……」

 なんだかちょっと感動気味にそんな事を言って周囲を見回す紡。

 そんな紡に舞奈が、

「大きな通りから少し外れたら、このようにいたって普通の住宅街ですけどね」

 と、そんな風に言う。

 

「そりゃ普通に暮らしている人もいるわけだしな。……さて、それじゃあ早速飛んで――」

「――ちょ、ちょっと待ってください。せめておおやしろの前に……!」

 俺の発言を遮るようにそんな事を言いながら必死の形相で迫ってくる紡。

 お、お、おお……?

 

「あ、私もちょっと見てみたいー」

 更にセラまでそう言って迫ってくる。

 

 そして、そんな俺たちのやり取りを見ながら、

「えっと……すぐ近くですし、ちょっと見てから行きましょうか」

 と言って俺の方へと顔を向けてくる舞奈。

 それに対して俺は、

「そ、そう……だな。そうするか」

 と、そう返事をするしか出来なかった――

ようやく西へやってきました……。割子蕎麦に釜揚げ蕎麦、どっちも美味しいと思います(何)


とまあそんな所でまた次回! 次の更新も予定通りとなりまして、12月2日(土)を想定しています!

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