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第11話 桜満との会話

 マスターから聞いた情報を桜満にこれまでの流れと共に電話で伝え、

「――というわけなんだが、何か情報はあるか?」

 という問いで締めると、

『よくもまあ、そうタイミング良くイベントが発生するものだね』

 なんて事をため息混じりに言われた。

 

「イベント? いや、そんなものはやっていないが……」

『そういう意味ではないのだけれど……まあいいや』

 桜満は首を傾げる俺にそんな風に言うと、そのまま声のトーンを少し変え、

『――で、本題だけど、千堂璃紗という特殊な立ち位置のファクターがある以上、そのカフェに対して『動く連中』が居てもおかしくはないというものだよ。実際、何度か怪しい奴らが千堂璃紗と接触……いや、攫おうとしていたからね』

 などという、とんでもない発言をしてきた。

 

「何? 千堂を攫おうとしていた連中……だと?」

『まあ、全て秘密裏に始末したから問題はないけどね。おそらく千堂璃紗を捕らえて、実験体にでもしようとしているんだろうさ』

 そんな風に言ってくる桜満に対し、俺は思考を巡らせながら呟く。

「一帯どこの誰がそんな事を……? 錬金術師どもは自分たちでホムンクルスを生み出せるだろうから違うだろうし……」


『いや、そうとも限らないよ』

「うん? どういう事だ?」

『自分たちが生み出したホムンクルスに、『得体のしれない術式が組み込まれている』という特異な状況に対して、連中が興味を抱いた可能性は十分にあり得る話だって事さ』

 首を傾げる俺にそう説明してくる桜満。

 

「得体のしれないって所を強調すんなと。だがまあたしかに、連中にとっては『未知の魔法技術』だと言えなくもないし、興味を抱く可能性もゼロではない……か」

『そういう事。だから、個人的には『錬金術師』が『企業』の力を使って、千堂璃紗を攫おうとしている……と、そう推測しているよ。なにしろ、情報を聞く為に敢えて生かしておいた奴らも、すぐにその肉体が崩壊して砂と化してしまうし』

「なるほど……。『崩壊』の術式を組み込んだホムンクルス体を使って千堂を狙い、上手くいけばそれでよし、失敗したら術式を発動させて逃げる……か。奴らの良く使う手だな」

『そうだね。もっとも、それだけじゃ奴らの仕業だと断定するにはまだちょっと弱いから、あくまでも『可能性のひとつ』として考えて、他の可能性も探っている所さ。でも、もしかしたら今聞いたアンティークショップが、『どの可能性が正解なのか』を決定付ける要因になるかもしれないね』

「現時点では関係があるともないとも言えないが、まあ……ここまで色々と要素が揃っていたら、何の関係もない方が不自然かもしれないな」

 俺は腕を組みながらそう桜満に返し、そして改めて問う。

「……それで? 改めて聞くが、アンティークショップについての情報は何かあるか?」

 

『――こうして話をしている間に幾つか情報が集まったよ。そのアンティークショップは大正時代の頃から存在しているようだね。そして……いつの時代でも、時々人目を避けるようにして店に入っていく客が目撃されているそうだよ』

「……その客っていうのはまさか――」

『――錬金術師、だね。そのアンティークショップは錬金術師の『道具』を、どこかからか調達してきたりしているようだ。残念ながら、現時点では『どこから』調達してきているのかは不明だけど……『企業』が関係している可能性は大いにあるね』

 俺の予想通りの返答をしてくる桜満。

 となるとやるべき事は――

「踏み込んで調べてみるか?」


『……本来なら、もっと情報を集めてから仕掛けたい所だけど、その赤黒い石を奪取するのに失敗した事に気づいた時点で『隠蔽』しようとしてくるのは確実だからね。すぐに踏み込むとしよう。悪いけど、そちらも今から送る場所に向かってくれるかい?』

「ああ、わかった。動けるメンツで向かう」

『動けるメンツ?』

 俺の返答に対し、首を傾げる桜満。まあそうだよなぁ……

 

「……半数以上が食い過ぎで動けないんだよ……」

 ため息混じりに告げる俺に、桜満は、

『そ、そうなんだ。それはまた何ともコメントに困るね……』

 と、文字通り『何とも言えない表情』でそう返してくるのだった。

思った以上に桜満との会話が長くなりすぎてしまったので、ここで区切りました。

なんというか……今回も展開としては進みが激遅という…… orz

『西へ行く』という章名の割に、全然西へ行っておらず、足踏みしすぎな状態になってしまっているので、次はもうちょっと一気に展開を進ませたい所です……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなりまして、11月22日(水)を想定しています!

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