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第9話 マリオネットと仮面

「ギッ!?」

 ゴシックドレスのマリオネットが驚きの声を発しながらも、自身の身体に付いている糸を上手く使い、赤黒い石を回収。そのまま大きく跳躍する。

 くっ、あんな動きも出来るのか。しかも、思ったよりも反応が早い……っ!

 

「なら、こうだっ!」

 そう言い放ちつつ、俺はマリオネットの間近に漆黒の重力球を発生させる。

 

「ギッ!」

 跳躍状態のマリオネットが糸を動かし、空中で方向転換する。

 が、逃しはしない。

 

「ガ? ガガギ!?」

 そんな声と共に重力球へと引っ張られるマリオネット。

 あのくらいの大きさ、重さなら十分『吸引』出来るというものだ。

 

「ガッ!」

 他のマリオネット――狩人のような出で立ちをしたマリオネット――に向かって、重力級に引っ張られていくマリオネットから赤黒い石が投擲される。

 

「そうはさせん!」

「――任せるブルー!」

 俺は呼び寄せたブルルンを、即座に赤黒い石の方へとめがけて投げる。

 

 更にブルルンは、そこから自身の飛行能力で加速。

 一気に赤黒い石へと迫り、

「キャッチアンドフォールブルゥ!」

 なんて事を言いながら、それを前足で弾き落としてきた。

 

 そして、落下地点には既に俺がおり、バッチリ回収。

 それと同時に漆黒の重力球がゴシックドレスのマリオネットを吸引し、圧潰。

 糸は千切れ、身体はバラバラになって床へと落下した。

 

「ついでにこっちもブルー! ブルルンスピーン!」

 なんて事を言いながら、狩人のような出で立ちをしたマリオネットの真横に回転しながら体当たりをかますブルルン。

 

「ギギギッ!?」

 という声と共にふっとばされたマリオネットは、別のマリオネットと衝突。互いに身体の一部を損傷させつつ更に吹き飛び、そのまま倉庫の梁に激突し、床へと落下した。

 

 これで残りはマリオネット2体と仮面か。

 ……いや、違う。マリオネットは3体……だな。

 

 仲間が3体も一気に倒されて焦ったのかなんなのかわからないが、これまで気配を遮断していたマリオネットの、その遮断が今一瞬だが揺らぎ、居場所がわかった感じだ。

 奇襲を狙っているんだろうが、位置がわかっている以上、最早無意味というものだ。

 

「ケタケタケタァ!」

「キキキギギギィ!」

「ルゥヲヲヲヲヲヲヲヲヲッッ!!」

 そんな奇怪な叫び声と共に、マリオネット2体と仮面がこちらに襲いかかってくる。

 

 赤黒い石は俺の手にあるわけだし、当然、俺から奪い取ろうとしてくるよなぁ。

 ……もっとも、その方が楽なんだが。

 

 迫るマリオネット2体にめがけ衝撃波を放つ。

 当然、回避してくるが、そんな事は分かっているというものだ。

 既に衝撃波に周囲には雷撃魔法を放ってあり、マリオネット2体は、回避と同時に雷撃に触れ、バチバチという放電音を発しながら、その場に崩おれた。

 

「残るは仮面だけブルー」

 ブルルンが、若干棒読み感のある口調でそう言ってくる。

 まあ、ブルルンもマリオネットがまだ1体残っている事はわかっているしな。

 

「ヲヲヲヲヲヲヲヲ!!」

 仮面が咆哮しつつ口を大きく開け、噛み付いてこようとする。

 が、その程度でどうにか出来るものではないという奴だ。

 

 俺は、剣――いや、槍を生み出すと、迫りくるその大きく開けた口へと放り込む。

 さすがに魔法槍は喰えなかったらしく、口に突き刺さったままとなる。

 そして更にもうひとつ――今度は魔法剣を生み出すと、その口ごと斬り裂いた。

 

 と、そこで隠れていたマリオネットが動き出す。

 ……本当なら死角からの攻撃になるであろうところだが、仕掛けて来るであろう事は分かっていた為、対処は別に難しいものではない。

 

 仮面に放り込んだ槍を引き抜くと、地面スレスレを、まるで滑るかのような動きで迫ってくるそいつに対し、俺は槍を振り下ろして粉砕。更に剣でトドメとばかりに糸を切断する。

 と、そこで、

「なんか倉庫から再び霊気を感じ――って、どうやら既に終わっているみたいね……」

 という、かりんの声が聞こえてくるのだった。

今回、微調整の時間があまり取れなかった為、変な所があるかもしれません。

なので、後ほど再度微調整するかもしれません……


次の更新も予定通りとなりまして、11月15日(水)を予定しています。


※追記

句点のない所があったので修正しました。

また、サブタイトルに衍字があったので修正しました。

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