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第8話 倉庫に潜みしもの

 かりんと璃紗がマスターに話を聞きに行っている間、俺は倉庫の中を物色してみる事にした。

 もしかしたら『元凶』を発見出来るかもしれないし……

 

 ……と、そう思ってあれこれ調べてみるも、特になにもない。

 うーん……。どうしたものか。


 ……って、まてよ? 状況を動かすだけなら、別にこちらからアプローチする必要はなくないか?

 そう……俺たちがここに来た事で、反応が消えたのなら、俺たちがここからいなくなればいい。

 そして今、ここに残っているのは俺だけだ。

 とはいえ、俺がこの倉庫から離れてしまっては、『何か』があった時に対処が遅れる。

 ならば……偽装してみるとするか。


 そんな風に考えた俺は、早速試してみる事にする。

 パイプ椅子を元の位置に戻し、俺は速やかに倉庫から外へ出る。


 倉庫から俺の姿が見えなくなる距離まで移動した所で、すぐに隠蔽魔法を発動。

 そのまま素早く倉庫へと引き返す。


 まあ……こんな小手先の方法が通じるかどうかというのはあるが、この状況を生み出しているのが、低級な奴かそうではないかの判別は出来るというものだ。

 そう……これで何かが動けば低級、そうでなければ高位だ。後者だと厄介だが……

 と、そんな事を考えながらしばらくそのまま待ってみる。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 ……特に何も起きないし、何も現れないな……

 とすると、この状況を生み出しているのは高位の存在……なのか?

 だが、高位の存在であるのなら、もっと最初から隠蔽とかしてきそうなものだが……

 

 そんな事を思った所で、少し離れた所から奇妙な気配を感じ取る。……うん?

 隠蔽を維持しつつ、そっとそちらへ顔を向けると、床に仮面のようなものが落ちていた。

 

 ……仮面? マスターが手に入れた代物……か?

 

 そんな風に思いながらも、『先程までなかった』事を鑑み、近づかずに様子を見る。

 

 すると、仮面がスッと床を滑るように動き出す。

 ……呪物……いや、これ自体が意思を持っている……?

 

 仮面はそのまま床を動き回ったあと、ニィっと笑ってみせた。

 ……って、こいつただの仮面じゃないな。

 向こうの世界でも、似たような奴――『意思を持って動く顔』がいたが……おそらくそれに近いものだろう。あるいは、なんらかの霊や魔の類が憑依しているのかもしれない。

 

 そんな事を考えながらもじっと仮面を監視していると、仮面の口が急にパカッと開いた。

 そして、そこから赤黒い石が吐き出される。


 これは……この霊気は……

 なるほど……さっき感じ取ったのは、この石だったか。

 仮面の口の中にあったせいで霊気が消えていたんだな。

 

 しかし……あの赤黒い石……破壊の化身――その魂の欠片に似ているな。

 まあ、それにしては色が黒ずんでいるが……

 

 なんて事を思っていると、今度は、

「ケタケタケタケタケタ!」

 という不気味な笑いが唐突に響き始めた。


 ……今度はなんだ? と思いつつ声の方へと視線を向ける。

 すると、天井から木製の人形――いや、多数の糸がついているからマリオネットだな――が、複数体姿を現した。

 

 ……ここは幽霊屋敷かなにかか?

 ……って、幽霊屋敷か……。まあ、カフェだが。

 

 などというボケツッコミみたいな事を心の中でしていると、マリオネットの内の1体――赤を基調としたゴシックドレスのマリオネット――が、クルクルと回転しながら、仮面の横へと舞い降りてきた。

 そしてそのまま、仮面の口から吐き出された赤黒い石へと、その手をのばす。

 

 これは……あの仮面の奴から、マリオネットへの石の受け渡しって所か。

 ……もしかして、元々はあいつがどこかに運ぼうとしていたが、璃紗や俺たちが来るのに気づいて、あの仮面を使って隠蔽した?

 

 しかし、あのマリオネットども自体も、今は弱い霊力を感じるが、さっきまでこれと同じ霊力は全く感じなかった。つまり今の今まで、霊力を抑え込んで隠蔽するという芸当をやってのけていたという事になる。低級かと思ったがそうでもなさそうだ。まあ、高位でもないが。

 おそらく、中程度の強さを持つ何かが憑依しているのか、あるいは使い魔か……といった所だろう。

 

 なんにせよ、このまま放置しておくわけにはいかないだろう。

 敢えて泳がせて追跡を試みてみるのも手としてはあるが……上手くいくとは限らないし、今回はさっさと破壊して、こいつらと石の両方を、もう少し詳しく調べてみるのを優先するか。

 

 俺は心の中でそう結論を出すと、即座に赤黒い石を手にしているマリオネットめがけて、衝撃波を放つのだった――

なにかが出てきましたが、透真はさっくり倒す気満々の様ですね。そして、おそらくさっくり倒せるでしょう(何)


まあ、そんな所でまた次回! さて、次の更新なのですが……おそらく予定通りに行けると思うのですが、ちょっとギリギリまで不確定な問題がありまして、もしかしたら1日遅れるかもしれません……

というわけで、一旦11月11日(土)を想定していますが、更新されない可能性もあります……

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