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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL2.5 異世界の大魔道士、東北から帰る
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第48話 実験記録と棺桶

「――うーん……。色々と見つかりはしますが、有力な情報は出てきませんね……」

 古びた本棚を漁りながらそう言ってくる舞奈に、

「そうだな……。なんというか、『妖魔』だの『造魔』だのに関する資料ばかりが残されている感じだな」

 そう返事をしながら、手に持ったファイルを開く俺。

 しかし、そのファイルも俺たちの欲しい情報ではなく――

「っと、これも『妖魔』と『造魔』の資料か」

 と、そう呟いてしまった通り、先程から何度も見てきたような内容の資料だった。

 

 最初の方は、これらの資料も『新情報』だったが、似たような内容の資料ばかり見つかる上に、どれも内容は大差ないので、今ではもうどうでもいい資料と化してしまっている。

 

「異形の姿と化した蒼生博士という人物は、『魂の欠片』と融合していたんですよね?」

「ああそうだな。と言っても、肉体の中に埋め込まれていたとかじゃなくて、触手化した身体の深奥に浮いていた感じだが」

 舞奈の問いかけにそう答えると、舞奈は「うーん……」と声を出しながら考え込んだ後、

「とすると……状況から考えて、ここで行われていた実験の結果をもとに、『私たちの学校で作られていた物』が作られた……と、そう推測する事が出来ますね」

 なんて事を言ってきた。

 

 俺もその可能性は十分に考えられると思っていたが……そうか、舞奈がそう推測するのなら、ほぼ確実に関係がありそうだな。

 と、そんな事を考えつつ、俺の方も推測を口にする。

「たしかにな。というか、この地下への入口がある書庫っぽい部屋に『例の本』があったからな。黒志田――もしかしたら黒野沢もだが――も、この場所で『最近』行われていた研究に、何かしらの形で関わっていたんじゃないか……と、そう考えられる」

 

「そうですね……。むしろ、関わっていない方が不自然なくらいですね」

 舞奈がそう言いながら手に持ったファイルに目を通し、

「……って、と、透真さん! この資料……!」

 という驚きの声を上げながら俺の方を見てくる。

 

「ん? どうした?」

 と言いながら舞奈に近づき、その資料を覗き込む。

 すると、そこには『魂分離実験記録:草薙綾乃、石杜美夜子、石杜沙夜子』と記されていた。

 

「これは……『当たり』のひとつだな」

「ですね……。内容を詳しく読んでみましょう――」

 舞奈が俺にそう返事をして来た所で、

『ご主人ー! あの棺桶が引き上げられたブルよー!』

 というブルルンからの連絡が頭の中に響く。

 

「――待った。あの黒い水に浸かっていた棺桶が引き上げられたようだ。ブルルンから連絡が来た」

「あ、本当ですか。それは気になりますね。これを読むのは後でも出来ますし、先にそちらへ向かうといたしましょう」

「ああ、そうしよう。っと、そのファイルは俺が収納しておこう」

 舞奈に対してそう返事をしつつ手を伸ばす俺。

 

「お願いします」

 と舞奈から手渡されたそれを、俺は魔法収納空間に放り込むと、俺と舞奈はすぐに昨日、俺たちが蒼生博士と遭遇した隠し部屋へと向かう。

 

 ……これでようやく、中に入っているの何者なのかが判明するな。

 綾乃と記者――今の資料からすると、石杜美夜子か石杜沙夜子のどちらか――のふたりが、入っている可能性は高いが、あとのふたつが謎だな……


 まあ、記者じゃない方――俺が疑似封印中の方――の石杜が、そのふたつの内のひとつである可能性は十分考えられるんだけどな。

 これだけ『怨霊』ではなく、ゾンビのような『異形化した体』を有していたから、異形化されたと考えるのが自然ではあるが、あの異形化した身体自体が『作られた物』で、そこに魂を移されている……というのもあり得る話だからな。……既にそういう『事例』を知っているし。

 

 そんな事を考えている内に隠し部屋へと到着。

「おや、来たみたいだね」

 と、亜里沙が声をかけてくる。


 部屋の中を見回してみると、棺桶が引き上げられているだけではなく、壊れた床も応急処置が施されていた。

 そして、セラ、ブルルン、ミイ、鈴花、紘都……それから綾乃の姿もある。


「これがそうなのですか……。たしかに棺桶……西洋の棺桶に似た形状ですね……」

 舞奈がそんな風に言いながら棺桶を眺める。


 って、ああそうか。向こうの世界ではこんな感じの物が普通だったから特に気にしていなかったが……この棺桶の形状、この国で使われている物とはたしかに少し違うな。

 なにか『西洋の棺桶』を模した形状にした理由があるのだろうか……?

 なんて事を考えていると、亜里沙が俺の方を見て問いかけてくる。

「それで、どうする? とりあえず開けてみるかい?」

 

「あ、そうですね。そうしましょう。中に入っているのが誰なのか確認しておいた方が良いと思いますし」

 そう俺が答えると、亜里沙は頷いてみせた後、

「そうだね。たしかにその通りだと私も思うよ。それじゃあ、早速だけど蓋を開けてみるとしようか」

 と言って、棺桶の蓋に手をかける。


 そして程なくして棺桶の蓋が開き……

「……誰?」

 と、綾乃が呟いた。

4つ全部開く所まで行きたかったのですが、長くなってしまうので、ひとつ目を開ける所までで一旦区切る事にしました……


次の更新は、所々諸々の都合で1日多く間が空く……所だったのですが、上記の理由により、既に少し出来ている為、平時通りの更新間隔で問題なく行けそうです!

というわけで、改めて次の更新ですが……10月7日(土)を予定しています!

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