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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL2.5 異世界の大魔道士、東北から帰る
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第45話 障壁魔法の力

「――ゼロッ!!」

 紡がそう言い放つと同時に、360度全方位を防御していた障壁が消滅する。

 

 ただし、俺の展開している障壁がまだ正面には存在しており、蒼生博士の振るった触手がそこへ激突する。

 

「障壁……弱体化……? 攻撃の……好機……?」

 蒼生博士の少し困惑した声が響く。

 上手く勘違いして好機だと思ってくれるのならば、それは御の字――こちらにとっての好機というものだ。

 

「側面に移動が……最適……適正……正解……解法……! 猛攻……攻撃……撃滅……!」

 そんな事を言い放ちながら横へ回り込もうとする蒼生博士だが、

「動いて貰っては困るのよねっ!」

 と言って蒼生博士の影に呪符を束ねて剣状にしたものを突き刺すかりん。

 

「移動……不可? 移動……阻止? 厄介……!」

 怒気を含む声が発せられるのとほぼ同時に触手が伸ばされ、俺たちの左右、そして真上から触手による攻撃を仕掛けてくる蒼生博士。

 

「斬り裂くよっ!」

「焼き払うぜ!」

 そう言い放ちながら左方向へは咲彩が、右方向へは雅樹が、それぞれ攻撃を仕掛けて触手を消し飛ばす。

 

 更に上からも触手が迫ってくるが、こちらは霊体が、

「こうして……こう……! えーっと……ファ、ファントムハンマー……ッ!」

 という掛け声と共に、まさに名称そのものな感じの『ハンマーのような形状をした霊力の塊』をぶつけて吹き飛ばした。

 

 しかし、当然ながら触手はすぐに復活し、再び襲いかかってくる。

 蒼生博士は上方への迎撃力が側面への迎撃力よりも少し劣っていると判断したのか、頭上からまさに降り注ぐかの如き勢いで、触手の振り下ろしと突きを乱舞してくる。

 

「上が弱いと思った? でも、それは考えが甘い……! ――斉射!」

 弥衣が声を大にしてそう告げると、周囲に浮かぶ銃を持った形代から一斉に射撃が行われ、凄まじい轟音と共に触手が消し飛ぶ。

 

 と、そこで、「はっ!」という掛け声と共に紡が前方へと踏み込む。

 そしてそのまま俺よりも更に前方に障壁を展開した。

 

「衝撃……? 障壁による押し出し……? 弾く……? 追加……加重……重圧……圧力……力場……?」

 新たに生み出された障壁によって、触手が圧迫されるような形となった蒼生博士が、そんな困惑の声を発してくる。

 

 蒼生博士はその困惑ゆえなのか、後ろへ下がろうとする。

 しかし、それはかりんが足止めを継続している為、叶わない。

 

 それを確認しつつ、今度は俺が前へと踏み込んで障壁を展開する。

 紡の障壁ほどではないが、それでも少しだけ触手の防壁層を押し広げられた。

 本当は、この触手も襲いかかってきてくれると楽なんだが、さすがに防御を捨てては来ないようだしな。

 蒼生博士の雰囲気からすると、この触手の防壁層も攻撃に使いそうだが、本能……というか『欠片の力』が無意識下で防御を捨てさせないようにしているのだろう。

 だが、それゆえなのか、そこを狙っているという事に勘づく様子はない。

 

「触手を振り回すだけなら楽なんだけど……」

 と、咲彩が言った直後、蒼生博士が触手をくねらせる。

 何をしているのかと思った直後、唐突に蒼生博士の頭上に黒い塊が出現。

 蒼生博士はそれをまるで放り投げるかのように飛ばしてくる。

 

「こういう変化球がたまに来るのが厄介だよねぇ。斬るだけだけど!」

「うむ。その通りだ!」

 咲彩とギネヴィアがそんな事を言い放ちながら、飛んでくる黒い塊にそれぞれの剣を振るった。

 

 振るわれた咲彩の長大な光の剣は縦に、ギネヴィアの剣から伸びるオーラの刃は横に、それぞれ黒い塊を斬り裂き、一撃で粉砕する。

 やはりというべきか、防御面は障壁がなくても問題なさそうだ。

 

 そんな攻防を繰り返しつつ、じわじわと欠片へと迫り……

「赤いのが見えました!」

 という紡の声通り、触手の防壁層は、欠片の放つ赤い光を隠す事が出来ない程に隙間だらけの薄さとなった。

 

「魔……核を狙う……? 危機……! 危険……! 危急……! 緊急……! 火急……!」

 さすがの蒼生博士も勘づいたらしく、焦りの声を発してくる。

 急ぎ後退しようとするも、

「だから、逃がすわけないって言ってるでしょ?」

 と言い放ちながら、連ならせて鎖状にした呪符を、紡の障壁に激突したばかりの触手へと絡みつかせ、その動きを完全に拘束する。

 

 ……核への射線……通った!

 

「――そこだっ! 行けっ!」

 俺はそう声を発しつつ、ふたつの魔法を無詠唱でほぼ同時に放った。

 放った魔法は攻撃魔法。『大きい魔弾』と『細長い槍』だ。

 

 ひとつ目の攻撃魔法が欠片を守る最後の『壁』――触手の防壁層を消し飛ばす。

 即座に『壁』が再生するも、塞がる前にふたつ目の攻撃魔法が滑り込み、そのまま突破。

 欠片へと勢いよく突き刺さり、パキィンという音と共に、欠片を粉々にした。

 

「が……ぐが……!? か、身体が……砕け……る!? 崩れ……る!? 魔の力が……消え――」

 その声を最後に、蒼生博士だったものは灰と化して床に降り積もったのだった――

ようやく撃破出来ました……あと少しで今度こそ2.5が終わります。


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も平時通りの間隔となりまして、9月28日(木)を予定しています!

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