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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL2.5 異世界の大魔道士、東北から帰る
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第30話 異形化の源流と豹変

「……この流れでそうなるって、考えられる理由はひとつしかなくないかしら?」

 かりんが人形を見ながらそう呟くように言う。

 それに対してギネヴィアが頷いてみせる。

「うむ。目の前にいるこの異形の死霊が、先程の話に出てきた記者とやらの妹であるという事だな」


「だがしかし……こうなると、斬り捨てて浄化してしまうのが最良であるとは言えなくなってしまったのではないだろうか……」

 ギネヴィアは額に手を当て、困った顔をしながらそんな風に言葉を続ける。

 

 それに対して俺は、

「まあたしかにそうだな。というか、そもそも一体どういう状態になっているんだ……?」

 と口にしつつ考え込む。

 

 アンデッドの如き存在と化してはいるが、これも『異形化』のひとつであると考えるなら、以前の千堂璃紗の一件と同じように考えても良さそうではあるんだよなぁ。なにしろ源流は同じ……どころか、こっちが大元なわけだし。

 そして、そうだとしたらあの時と同じ方法でいけるのではないだろうか?

 そんな風に考え、目の前のアンデッドをじっと見る。

 

 ……うーん。似てはいるが、あれとは霊力というか魔力というか……ともかく、纏っているものの『性質』が微妙に違っているような感じだな……

 長い時間の中で変質してしまったのか、それとも元からこうなのか、あるいは――

 

 ――そこまで思考した所で、俺は唐突に妙な魔力の流れを感じ取った。

 ん? これは……? と、疑問を抱いたのとほぼ同時に、

「ア……アア……ッ。ウア……ウアァ……。ウラ……ウラ……ギリ……ウラ……ギリ……。ウラギリウラギリウラギリギリィィィ……ッ! シンデシンデシンデェェェ!!」

 などと、突如としてアンデッドが全身を仰け反らせながら奇声を発し、その首を伸ばして突っ込んでくる。

 

 なんだ? この豹変っぷりは……

 いや、今しがた感じ取った妙な魔力の流れのせいだと考えるのが妥当……か。

 

 そんな風に思いつつも、防御障壁を展開。

 直後、突っ込んできた首が防御障壁に激突。

「ギギギギギギギギギギギィィィィィッッッ!!」

 という叫び声と共に、障壁がバチバチと青白いスパークを放ち続ける。

 

「これぞチャンスって奴かしらねっ!」

 なんて事を言い放ちながら、大量の呪符を一斉に放り投げるかりん。

 

 すると、放り投げられた呪符が鎖状に連なっていきながらアンデッドに絡みついていく。

 障壁に激突して軽い麻痺状態に陥っていたアンデッドはそれに対して何も出来ず、なすがまま縛り上げられるような格好となった。

 

「アグガガガガガァァァッ!?!?」

 アンデッドが困惑と苦悶の入り混じったような悲鳴を発したかと思うと、その身体とその首が勢いよく床に叩きつけられる。

 そして、そのまま床に押し付けられるような状態で拘束されるアンデッド。

 

「縛り上げるだけだと駄目そうな気もしたから、ついでに床に縫い付けたけど……やりすぎたかしら」

「うーん……。こいつがどういう動きをするのか良く分からない以上、用心するに越したことはないし、妥当なんじゃないか?」

 かりんの発言に対してそう返事をし、アンデッドへと視線を向ける。

 

 そして、やはりというべきか、先程とは纏っているものの雰囲気が変化しているのを感じ取れた。

 更に以前の一件で異形化した者たちの雰囲気に近づいているようにも感じた。

 ……これは思考を何かによって改変――支配されているような状態と見るべきか?

 俺はそんな事を考えつつ、かりんへと問いかける。

「それはそれとして……こいつが豹変する直前に、妙な力とか感じたよな?」

 

「ええそうね。霊力というよりかは呪いと言った方が正しそうな……そんな得体のしれない邪なものが、下の方から流れ込んでくるのを感じたわね」

 俺に対して頷きながらそう言うと、かりんは床へと視線を落とした。

 

 下……か。

 雅樹たちが例の部屋に残って色々調べているはずだ。今頃、これと関係のある『何か』見つけていたりするかもしれないな……

というわけで(?)次の話あたりから下へ向かいます。

SCROLL3の冒頭を組み込んでしまった結果、当初の予定から大幅に長くなってしまっているSCROLL2.5の終わりがようやく見えてきました……(やはり旅館に戻ってくる所まででSCROLL2.5は終わっておいた方が良かった気がしています……)


とまあ、そんなところで次回! 次の更新も平時通りの間隔となりまして……8月15日(火)を予定しています!

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