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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL2.5 異世界の大魔道士、東北から帰る
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第29話 異貌のアンデッド

 おっと、それはともかく――

「正直な所、親玉的な奴に関しては、もしかしたら……ではあるが、何か別の方法が取れるかもしれんが、それ以外の怨霊は、倒す以外の手段でどうにかするのは不可能に等しいな。というより、もっとホムンクルス関連の情報が得られたとしても厳しいだろう。だから、この地に呪縛されている状態から解き放ってやるのが一番だと思うぞ。というか、そもそもの話だが……あれはもう負の感情が形を持っただけの存在とでも言うべきものがほとんどじゃないだろうか」

 と、そう皆に告げた。

 

「……言われてみると、たしかにあの異空間で幾度となく見てきた存在に近いかも」

 顎に手を当ててそんな風に呟くように口にするミイ。

 そのミイに続くようにして、やれやれと首を横に振りながら、かりんが口を開く。

「なんにせよ、いつまでもここに留まっていても仕方がないわね。改めて先へ進むとしましょ」

 

 かりんの言葉に皆が頷き、改めて奥へと向かう事にする俺たち。

 と言っても、実の所もうすぐ近くなんだけどな。


 むしろ、この距離であっちが何も仕掛けてこないのが気になるくらいだ。

 まさか、手札が尽きた……とかなのだろうか?


 まあ、元々大して危険視はしていなかった相手だからなぁ。

 こんなものと言えばこんなものなのだろうが……

 

 などと、そんな事を考えながら奴の居る場所――屋敷の一番端にある部屋のひとつへと踏み込む俺。――俺たち。

 すると、その直後、

『コロ……コロス……。ム……ムリ。ダメ……。コナイ……デ。バケモノ……。ナニ……。ナニ……ドウシテ……ツヨイ……? コワイ。……ニゲチャ……ダメ……? チガウ……。ニゲ……タイ……。デモ……クラ……クラ……クラヤミ……?』

 と、その部屋の隅から咲彩を一度殺害した奴――口を糸のようなもので縫われ、顔のあちこちが黒く変色している怨霊――『霊』というよりも、ゾンビとかそっちの類だな。アンデッドと呼ぶか――が言葉を投げてくる。

 いや、正確に言うなら『頭の中に声を響かせてくる』か。

 

 ……見た感じ、その異貌さを除けば体躯そのものは少女といった感じだな。

 おそらく、元々は少女だったのだろう。

 

「ようやく対面したというのに、酷い言い草というか……ちょっと弱々しすぎじゃないかしら?」

「うん、たしかに。まるでこっちが悪人みたいに感じる」

 かりんと弥衣がそんな事を口にして、やれやれと首を横に振ってみせた。

 

「それで……。どうする……感じ? なんとなくだけど……思考と記憶が……混濁している……っぽい……よ?」

「そうだな、そんな感じはあるな。……正直、大して強い力を持っているわけじゃないが、放っておくわけにもいかないってのはある。一般人にとっては十分脅威だし」

 俺は問いかけてくる霊体に対してそう返しながら、腕を組んで考え込む。

 

「まあそうね。一般人が迷い込んできたりしたら大変よね」

「実際に肝試しの場になるように雑誌記事で誘導して、入ってきた人を捕らえて実験に使っていたし……ね。……私はそのやり方に反対したけれど、話を聞いてくれなかった……し。だから、逃がそうと思った……し」

 かりんと綾乃がそんな風に言ってくる。

 

『ザッシ……。オカルト……キジ。オネェ……チャン……? イッショ……ニ、オトズレ……タ……? ウ、ウゥ……? アアッ……アァア……』

 アンデッドがそんな事を呟きながら頭を抱える。

 

「急に……何……?」

 そう呟く霊体に続くようにして、かりんが、

「今の発言からすると、その雑誌記事による誘導の犠牲者だった……のかしら?」

 という疑問の言葉を口にする。

 それに対して、

「……その記事を書いた記者――私の持つこの人形の中に魂を封じられていると、さっき綾乃が言ったけど、なんでその記者は急に裏切ったの?」

 と、ミイがさらなる疑問の言葉を発しつつ綾乃を見る。

 

「元々あの人は、書きたくて書いていたわけじゃないから……よ。あの人はその前に普通に取材でここに訪れた……わ。そして、その時に同行していた妹を、ここで研究をしていた者たち――要するに私たちが捕らえて、人質にする形で記事を書かせた……のよ」

「なるほど、そういう事か……」

「うん、納得した」

 綾乃の説明を聞いて得心がいった俺とミイがそう口にした直後、

「……? 急に人形が震え出した?」

 と、その手に持つ人形へと視線を移しながら言葉を続けるミイ。


 なるほど。たしかにミイの言う通り、人形が小刻みに振動している――震えているな。

 今の話でこういう風なったという事は、つまり……?


 俺は人形へと顔を向けながら、そんな思考を巡らせた――

前の話から溢れた分があったものの、どうにか当初の目的の場所まで辿り着きました……


そんなこんなでまた次回! 次の部分もそこそこ出来てはいるのですが……明後日更新してしまうと、お盆前後の所々諸々の都合により、その次の更新が平時よりも多く間が空いてしまう事になる為、平時通りの更新間隔とさせていただきます。


というわけで、次の更新は平時通りの間隔となりまして……8月12日(土)を予定しています!

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