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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL2.5 異世界の大魔道士、東北から帰る
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第22話 幽霊を追って

「……ところで、かりんと……あの幽霊はどこに……?」

 霊体がそんなもっともな疑問を口にする。

 

 3人は人形の方に目が行っていて気づいていなかったようだが、実はミイに対して洗浄魔法を使っているまさにその時に、幽霊に突き刺さった槍が消滅していた。

 そして、幽霊はそれを確認するなり、すぐに再び逃げ出したのは横目で確認していたりする。

 

 なので、かりんはその後を追ったのだろう……と、そう考えていると、

「かりん殿なら、あの幽霊が逃げていった方に走って行ったぞ」

 という、ある意味予想通りの回答がギネヴィアから告げられた。

 

「なら、追いかける?」

「ああ。……あの槍を投げつけたであろう存在の気配も感じないし、かりんとあの幽霊を追いかけるとしよう」

 弥衣に対して周囲を探りつつ、そんな風に返事をする俺。

 

「ギネヴィア、かりんはどっちに?」

「あっちだ」

 ギネヴィアが弥衣の問いかけにそう返しつつ顔を向けて指し示したのは、壊れた紙製の床置きカンテラ――いや、行灯というんだったか? が、置かれている廊下だった。

 

「よし、行くぞ」

 俺はそう告げると、かりんと幽霊を追うようにして足早に廊下へと踏み込む。

 

 そして、しばらく進むと廊下が正面と左に分かれている場所に出た。

 ……直進すべきか、左へ曲がるべきか……

 

「……どっちへ行ったのだろうか?」

 というギネヴィアの声を聞きながら、とりあえず左の廊下を見てみると、床に穴が空いており、その下には霧が広がっていた。

 

 ……この辺りは幻影が弱い……のか? と、そう思いながら周囲を良く見てみると、見覚えのある札――かりんの呪符が壁の柱に貼られていた。

 ああなるほど、符術によって幻影を生み出している霊的な力が弱められているのか。

 

「この呪符……もしかしてかりんの目印?」

 ミイが俺と同じく符に気づき、そんな風に言う。

 

「ああ、そういう事だろうな」

 そう頷きつつ、左の廊下を進む俺。

 

 すると再び廊下が分岐しており、今度は直進方向に呪符があった。

「……相変わらず、広い屋敷……だね」

 と、そんな事を呟く霊体。

 

「そうだな……。この目印の呪符がなければ完全に見失っている所だ」

 そう返しつつ進んでいくと、唐突に壁に札――呪符が貼られていた。

 ……ん?

 

「どうしてこんな所に?」

「……何もないような?」

 弥衣とミイがそう呟くように言いながら周囲を見回す。

 

「いや、その呪符の近くの壁を良く見てみるんだ。不自然な半円の穴が開いているだろ?」

「……なるほど、たしかに開いてる……ね。もしかして……」

 俺が指し示した場所――綺麗に切り取ったかのような半円の穴――へと顔を向けた霊体が俺の言葉の意味に気づいたらしく、壁に向かって歩み寄り……そのまま壁の中に入っていく。

 

「……やっぱり。部屋があった……よ。しかもこの壁……すり抜けようと思わなくても、すり抜けられる……」

 壁の中から顔だけこちらに出しながらそう告げてくる霊体。

 

「なるほど……。つまり、この壁自体が幻影というわけか」

「ま、そういう事だ」

 俺が納得顔のギネヴィアにそう返すと、

「すると……あの半円の穴は、符術の力で幻影が一部分だけ無効化された為?」

 という問いの言葉が弥衣から投げかけられる。

 

「そっちもそういう事だな」

 と返事をしつつ、壁をすり抜けてその先にある部屋へと足を踏み入れる俺。

 

「でも、かりんの姿はない……ね」

「もっと先へ行った感じか。っていうかこの部屋、ふたつの廊下に挟まれる形になっているんだな。良く分からん造りだ……」

 霊体に対してそう返しながら周囲を見回す俺に、

「そう? 昔は結構こういう部屋あった」

 と、後ろからやってきたミイが言ってくる。

 

 なるほど……。この国の古い家では珍しくもない造りなのか。

 この国の家は、最近建てられたものしか知らないからなぁ……俺。

 

 なんて事を思っていると、邪悪な霊気が唐突に膨れ上がるのを感じ取った。

 そして、それをギネヴィアを通じて感じ取ったであろう弥衣が、

「ギネヴィア、この感じ……」

 と呟きながらギネヴィアを見る。

 それに対して「うむ。これは先程も感じた霊気だ」と返すギネヴィア。

 

 それはつまり、さっき槍を投擲したであろう存在が近くに現れという事だ。

 そして、かりんとセーラー服の幽霊もおそらくその近くにいると考えていいだろう。

 

「――この霊気の感じる方へ向かうぞ」

 俺はそう告げると、即座にそちらへ向かって駆け出した。

 

 いや、それを考えるのは後だな。急いで向かうとしよう。

 俺はそう考え、その邪悪な霊気を感じる方へ向かって駆け出した。

思った以上に話が長くなってしまったので、一度区切りました……(そもそも、なんだかんだで探索自体がかなり長くなってしまっているのは完全に想定外だったりしますが……)

その為、次の更新も平時より1日多く間が空く所だったのですが、既にある程度この先が出来ている状態でして、平時通りの間隔で問題なく更新出来そうだったりします。


というわけで、次の更新は平時通りの間隔となりまして……7月24日(月)を予定しています!

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