第7話 次の目的地へ
「でも、これで気になっていたものの正体は判明したね」
「そうね。龍脈や龍穴の類であるならば、巫女の力で感じ取れるはずだわ」
鈴花に対して頷きながらそんな風に言うかりん。
そういうもの……なのか?
さすがに巫女の力とやらに関しては良く分からんからなぁ……
なんて事を俺が思っていると、
「それじゃあ次の場所へ行く?」
「そうですね。ここからですと……私の家の近く――遺跡ですかね?」
と、そんな風に咲彩と紡が告げてきた。
「そうだな。早速行くとしよう」
俺はそう返しつつ、ゲートを開くと、
「あ、凄く見慣れた景色です! この遺跡の裏手に私の家や、私が通った小中学校があるんですよ」
なんて事を紡が言ってくる。
「このあたりって……たしか、駐屯地もあったよね?」
「そうですね。何度か中に入った事もありますし」
咲彩と紡がゲートを潜りながらそんな風に言うと、
「ほぉ、そいつはちょっと興味深いな」
と、ふたりに続いてゲートを潜った雅樹がそれに興味を示してみせた。
「残念ながら、いつでも入れるわけではありませんが」
「ま、そうだろうな。中に入れる機会ってあんまりないからなぁ」
雅樹が紡の言葉に残念そうな表情でそう返すと、咲彩が雅樹の肩を叩き、
「まあまあ、ボクが転移魔法が使えるようになったら、中に入れる日に呼びに行ってあげるから」
と告げた。
「期待しないで待ってるぜ」
「いやいや、そこは期待して待っていて欲しいんだけど!?」
雅樹に対して、やや憤慨気味にそう返す咲彩を見ながら、まあ……転移魔法は上位の魔法だから、習得するのは結構大変だしなぁ……と思う俺。
「案外、あっさり覚えるような気もちょっとしてはいますけどね。私もそうでしたし」
舞奈が俺の思考を読んだかのようにそう呟いてくる。
そこに更に、
「……人間は、好んで覚えたいと思うものは……覚えやすい……。と、聞いた事がある……」
などという言葉を紡ぐ霊体。
うーん。たしかにそうかもしれないな……
と思っていると、
「それはそれとして、そろそろ中へ入ろう。個人的にも興味深い」
「だねぇ。昨日は暗くてあまり見えなかったしー」
と、そんな風に言いながら入口のある方へと身体を向けるミイとセラ。
「そうね。移動するとしましょうか」
そう告げてきたかりんに対して俺たちは同意するように頷き、遺跡の入口となっている建物へ向かって歩き出した。
◆
「大きい……」
「おおー、大昔に木だけでこんな大きな物を建てたなんて凄いねー」
弥衣とセラが目の前にそびえる木製の櫓のような物を眺めながらそんな感想を口にする。
「これは用途はいまいち良く分かっていないらしくてね。見張り用として使われたという説以外にも祭りの時に使われたという説もあるそうだよ」
亜里沙がそんな風に説明してくる。
「あ、そうなんですね。でも、たしかにどっちにも使えそうな感じではありますね」
紘都が亜里沙にそう返事をすると、
「そうだね。どっちにしてもちょっと登りづらそうだけど」
と、見上げながら同意する鈴花。
「うーん……。さすがにハシゴの類があったんじゃないかなぁ?」
紘都が鈴花の発言に対してそんな事を呟くように言うと、
「ハシゴがあろうがなかろうが、一番上のあの部分に乗ってみたくなるけど……」
「さすがに乗ったらまずいですね。行くのは簡単ですけど」
なんて事を咲彩と舞奈が口にした。
この櫓みたいな物、15メートルくらいありそうだが、魔法を使えば簡単に登れるしなぁ……
もっとも、この場所には俺たち以外の観光客が普通にいるので、こんな所で魔法を使ったら――
「……私が隠蔽工作の為にあれこれしないといけなくなるから、やらないようにね?」
と亜里沙が言う通り、隠蔽するのがとても面倒な事になるのは間違いない。
「というか、どうして一番上に乗ってみたいなんていう思考が出てくるのよ……」
「バカと煙はなんとやら……?」
呆れるかりんに続くようにして、弥衣が肩をすくめながらそんな風に言う。
……まあ、たしかに向こうの世界でも高い所に登りたがるのは決まって――いや、敢えて言うまい。
タイトルがまんまですね……
まあそれはそれとして、今回は新たな観光名所へ移動しました。
といっても、多分次の話でまた移動しますが……
(長々と書いてもただの観光案内になってしまいますし……)
とまあそんな所でまた次回!
次の更新も平時通りの間隔となりまして、6月10日(土)を予定しています!




