第28話 舞奈と魔法
ドイツへと一瞬でやってきた事に驚く舞奈に対し、
「そうだ、魔法だ。魔法でドイツまで一瞬でやってきたってわけだ。ああそうそう、ついでに言うと……朝、塀を飛び越えたのも同じく魔法の力だ」
と、俺はそう言いながら、両手を左右に広げてみせる。
ちなみにドイツには、前に桜満に連れられてやってきていたりする。
だから印も刻まれている、というわけだ。
実の所……諸々の理由で、ドイツ以外にもあちこち連れ回されたため、結構な数の国に行けたりするのだが……
というか……コウイチの話していた『飛行機』に、実際に乗る日が来るなどとは夢にも思わなかったよなぁ、ホントに。
なんて事を考えていると、
「ち、超能力か何かかと思っていましたが、まさか魔法だとは思いもよりませんでした……。本当にあったんですね、魔法って……」
なんて事を言ってくる舞奈。
まあ、異世界の魔法ではあるけどな……とは言わず、
「ああ、存在しているのさ、実際にな。――ついでに言うと、あの自転車の速度や弓を射るのにも魔法を使っている」
と、それだけ言うと、舞奈は疑問の言葉を投げかけてきた。
「そ、そうだったのですか!? バフ……あ、いえ、身体能力を引き上げる……みたいな感じですか?」
バフって、コウイチが良く言っていたっけな。身体能力の強化や武具の性能を高めるといった支援タイプの魔法の事をそういうんだ、とか言っていたが、こちらの世界に来て、それが『ゲーム』に登場する魔法の分類の事だと知った時は、少し驚いたものだ。
「ああそうだ、バフだ。こんな感じでな」
敢えてバフという言葉を使いつつ、舞奈に跳躍力や瞬発力といった足の力を強化する魔法を付与する。
「……? なんだか、足が軽い気がしますね……」
「思い切りジャンプしてみると分かりやすいぞ」
首を傾げる舞奈に対し、俺がそう告げると、舞奈は分かりましたと言って勢いよく真上にジャンプした。
「ひゃわわわわわぁぁぁぁぁっ!?」
周囲の木々のてっぺんよりも更に高い位置に到達した舞奈から、慌てふためく声が聞こえてくる。
……あー、しまった。もう少し弱めにかけるべきだったか……
俺は自身にも同じ魔法を付与すると、跳躍してジャンプの頂点に到達し、落下に入っていた舞奈を抱きかかえる。
「ふへっ!?」
という舞奈の素っ頓狂な声を聞きながら、そのまま落下速度を魔法で調整しつつ、ゆっくりと地面に着地する。
「お、お、驚きました……。もう、色々と驚きました……っ!」
そう言った舞奈の顔が真っ赤だった。怒っているらしい。
とりあえず俺は謝る事にする。
「すまない、もう少し魔法の効果を弱くするべきだったな……」
「そ、そうですね……。次はもう少し弱いのでお願いしたいです……。あ、あと、そろそろ下ろしてもらえると……」
……うん? 下ろす……?
あ……抱きかかえたままだった!
顔が真っ赤だったのは、これのせいか……っ!
なんだかさっきからミスが多いな、俺。
俺自身でも気づかないうちに、緊張しているんだろうか……
12時に投稿する予定が、設定が1日ズレていました…… orz
手動で投稿しました……




