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第125話 豪雨の空を飛んで

 西南西に向かって数分ほど飛んで、都市部から山間部へ入る直前に、

「……暗くて見えづらいけど……随分と大昔の建物が見える……ね?」

 と、下を見ながら言う霊体。

 

 暗くて見えづらいっていうか、雨が強いせいもあって全く見えないんだが……霊体だから闇目が効くとかなんだろうか?

 その辺りはさっぱりだが、大昔の建物とやらについてはちょっと気になったので、俺は高度を下げてみる。

 すると、たしかに大昔――縄文時代とかそのくらいの時代――の建物がちらほらと建っているのが見えた。

 

 はて? ここはなんだろうか……? と思っていると、

「あー、この辺りにはなんか有名な遺跡があって、その頃の建物を再現しているとかなんとかお宿にあったガイドブックに書いてあった気がするよー。ええっと……三? 丸? なんだかそんな感じの名前だったはずー」

 なんて事をセラが言ってくる。

 

「……三? 丸? よくわからんが、面白そうな場所ではあるな。後で観に来てもいいかもしれない」

 俺は首を傾げつつそんな風に返事をすると、入口っぽい建物付近に一度着地。周囲から見えにくいであろう場所にゲートの印を刻んでおく俺。

 無論、入場料を支払わずに中に直接転移するのはどうかと思ったので、しっかり敷地の外側に、である。

 

「――ま、それはそれとして……ブルルン、ミイの居る所はもっと西南西か?」

 再び飛翔魔法を使いつつ、そうブルルンに問いかけると、

「ちょっと西に来すぎている気がするブルね。もう少し南寄りブル」

 と、前足を正面にビシッと伸ばしながら返してきた。

 

「……随分と内陸だね……。山が見えるし……」

「ああ、たしかにな」

 霊体に対して頷きつつ、高度を上げて高速飛翔で一気に進んでいくと、空港らしきものが見えてきた。

 悪天候かつ夜遅い事もあり、飛行機などはまったく飛んでおらず、うっかり接触しそうになるとか空を飛んでるのを見られるとか、そういう心配は一切ない。


「なんだか……随分と広くて真っ直ぐな道がある……ね。途中で途切れてるけど……」

 なんて事を霊体が言ってきた。

 

「あれは空港だよー。あそこに飛行機が下りてきたり、逆に飛び立ったりするんだよー」

「空港……。飛行機……。聞いた事はある……けど、実物を見たのは初めて……。乗った事もない……し」

 セラの説明に対してそんな風に言う霊体に続く形で、

「……空港は、世界各地を連れ回された思い出しかないな……」

 と、呟くようにいう俺。

 ……まあ、お陰でこちらの世界でも色々な国や地域に転移出来るようになったが……

 

「私は空港も飛行機も使っているはずなんだけどー、良く覚えていないなぁ……」

「……この国に来る時に使った……?」

「ううん、私、生まれたのこの国だから、どっちかというと、おじいちゃんやおばあちゃんの家に行った時……だったはずー。……おじいちゃんやおばあちゃんの家がどこにあったのかは、全然覚えてないけど……」

 霊体の問いかけに対してそう答えるセラ。

 

 セラは幽霊となっていた期間が長いというか、自然消滅しかけていたからな……。消失してしまっている記憶も多いのだろう。

 どうにかしたい所ではあるが、現状では如何ともし難いんだよなぁ……。もう少し色々と情報を得られればなんとかなるとは思うんだが……

 

 なんて事を考えていると、

「ご主人、ちょっと南に寄り過ぎブルー! ここからだと西の方になるブルー!」

 というブルルンの声が聞こえてきた。

 

 おっと、危ない。

 こう暗い上に雨風が強い状態だと、西南西にまっすぐ飛ぶのが難しいな……

 と思いつつ、西へと軌道修正する俺。

 

 しばらくすると、山間部を抜け、街の光がちらほらと見える平野へと出た。

 ……あの街の光が多い辺りにあの学校やミイが出現していたら、少々厄介な事になるが……

「この先に見える山林の辺りから強く魔力を感じるブルゥー!」

 というブルルンの言葉により、その心配はなくなった。

 しかし、それはいいんだが……現代で山林という事は、当時は結構辺鄙な場所だったんじゃなかろうか?

 ま、その方が『連中』としては都合が良かったのかもしれないが……な。

 

 そんな事を考えながら少し飛翔の高度と速度を落としていく俺。

 

「この真下あたりブルゥゥ!」

「……あ、時計塔……。あの時計塔が見える……。でも……校舎がない……?」

 程なくして、そんな声を発するブルルンと霊体。

 俺には暗くて良くわからないが、霊体には例の時計塔の姿がしっかりと見えているらしい。

 校舎がないのは、おそらく時計塔のあった部分だけがこちらに戻ってきて、それ以外は消滅してしまったからだろう。

 

「よし、それなら着地するぞ」

 俺はそう告げて、高度を一気に下げる。

 

「あ、本当だ! 時計塔がある!」

 セラがそう口にした所で、俺もまた例の時計塔の姿をその目に捉えた。

 そしてそれと同時に、『例の天球儀の存在』も感じ取る。

 

 うん、この感じ……。ミイは間違いなくここにいる……な。

……移動するだけで結構な分量になってしまったので、一旦ここで区切りました……

すっぱりカットしようか迷ったのですが、『現在居る場所』と『遺跡や空港の話』を端折ってしまうと、色々とこの後に影響が出そうなので、結局描写する事にしました。


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は明後日……と言いたい所なのですが、少々予定があります為、平時通りの間隔となりまして、4月20日(木)の更新を予定しています!

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