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第122話 美香と楓

「ここは……教室? ――咲彩の学校か」

 雅樹がそう呟いた通り、俺たちはあの空間に入った場所――教室にいた。

 

「あ、みんな!」

「……急に真っ暗になったと思ったら戻ってきた……。無事、中枢とやらを壊せたという事……?」

 セラと霊体のそんな声が聞こえる。

 

 やはりというべきか、あの空間内で居る場所が違っていても、出る場所は入った場所になるようだな。

 

「あれ? 紡は?」

 周囲を見回しながらそう言って首を傾げる咲彩。

 

「おそらく……あの中に居た時間によって、出てくるまでに少しタイムラグが生じるんじゃないか?」

「ブルッ! 最後に吹き飛ばされている間、ブルルンはあの空間独特の力の影響がブルルンの中から抜けていくのを感じたブル! そして、全部抜けた所で光が見えたブル! だから、あそこに長く居たり、死んだ回数が多かったりすると、力の影響が抜けきるまでに時間がかかるんじゃないかと思うブルよ!」

 俺に続く形でそんな説明をしてくるブルルン。ああ、やはりそういう感じか。

 

「な、なるほど……。よくわからないけど、それならここで待っていれば出てくるのかな? 紡だけじゃなくて、他のふたり――美香と楓も」

「ブルブル、出てくるはずブルよ」

 咲彩に対し、身体の上半分を前後に揺らして肯定を示しつつ、そう答えるブルルン。

 

 するとその直後、人の形をした白い光が机の周囲にふたつ現れる。

 ……うん? あとひとつ――もうひとりはどこだ?

 そう思った瞬間、

「えっ!?」

「わひゃぁっ!?」

 そんな驚きの声がしたかと思うと、続けてドシンッという音が響いた。

 

 ……なんだ? と思いながらそちらへ顔を向けると、床に突っ伏す咲彩と、その上に乗っかている紡の姿があった。

 

「うぐぅ……。どうして私の上に現れるのさ……」

「そ、そう言われましても……」

 ふたりがそんなやりとりをするのとほぼ同時に、人の形をした白い光が完全に人の姿――女子高生の姿へと変わり、

「あ、あれー? ここって……もしかして教室ー?」

「私たちは森の中の廃墟にいたはずじゃ……」

 なんて言う呟きが発せられた。

 

 そして、そのふたりの女子生徒――おそらく美香と楓――は周囲を見回し、

「え? あ、あれー? みんなは……誰ー? どちらさまー?」

「……なんで紡は咲彩の上に乗っかっているんだ?」

 と、困惑と驚きの入り混じった表情でそんな至極もっともな疑問を口にする。

 

「あ! 美香! 楓! ふたりとも戻ってこれて良かったよぉ……大丈夫だった?」

 床に突っ伏したまま、美香と楓へ顔を向けてそう口にする咲彩に、

「いや、大丈夫か聞きたいのは私たちの方なんだが……」

 と、男っぽい口調で話すショートヘアーの少女の方がそう答える。

 そして、おっとり口調で話すロングヘアーの少女の方それに同意する形で、

「そうだねー。紡ちゃん、とりあえずどいた方がいいんじゃー?」

 と続いた。

 

 それを聞いた紡は、

「あ、そ、そうでした! ご、ごめんなさい!」

 と謝りつつ、慌てて立ち上がる。


「つーか、どうしてそんな事になってんだ……?」

「そ、それが……どういうわけか、私だけ咲彩ちゃんの真上に出てしまいまして……」

 少し呆れ気味なショートヘアーの少女に、そう答える紡。

 

「時間がズレるだけじゃなくて、場所も少しズレる……んでしょうか?」

 舞奈のそんな呟きに対し、

「まあ……この状況を見る限り、その可能性は大いにあるな」

 と俺が返した所で、

「ところでー、この人たちは、咲彩ちゃんや紡ちゃんのお友達ー?」

 と、改めてその疑問を問いかけてくるロングヘアーの少女。


「あ、こちらの皆さんは咲彩ちゃんが昔いた街に住むお友達で、私たちをあの場所から救ってくれた人たちでもあります」

 と、そんな風に説明した。

 

「ん? んん? どういう……事だ?」

「う、うーん……。楓はなんとなく分かったけど、でもちょっと理解出来ないかもー」

 美香と楓がそんな風に口にしつつ首を捻る。

 

 このロングヘアーの少女の方が『楓』か。

 とすると、ショートヘアーの少女の方は『美香』だな。

 っと、それはともかく……。一体どういう風に説明したものか……

思ったよりも会話が長めに……

あと数話でSCROLL2自体が終わる想定でしたが、今の感じだとその想定から数話増えそうな予感がします。

ただ、それでも多分10話いくかいかないかといったくらいの分量でSCROLL2も終わる思います。多分ですが……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新は、平時通りの間隔となりまして……4月11日(火)を予定しています!

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