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第121話 空間崩壊

「よし、まずは邪魔なアンデッドを叩き潰しつつ、再度魔法陣へと近づくぞ!」

 そう告げた俺に、皆がそれぞれ了承の返事を返してくる。


 その返事を聞きつつ、俺はこの場に出現している大型アンデッドへと螺旋状の炎を叩き込む。

 

「「ギギャガガァァアァァァアァアアァァァッ!?!?」」

 螺旋の炎は大型アンデッド2体を飲み込み、そして焼き尽くす。

 

「相変わらず強力な魔法を使うものだ……」

「さすがは透真さんです」

「……そう言いながらデカブツを蹴りでふっとばす舞奈も大概だと思うよ?」

「やっぱ、道具に頼らず自力で魔法を使える方がつえぇって事だよなぁ……。まあ、俺にあんな炎が生み出せるのかはわからんが……」

 舞奈たちの組がそんな事を言いながら、1体の大型アンデッドと多数のザコを蹴散らしつつ、魔法陣へと向かうのに合わせ、かりんたちの組も、自分たちが破壊すべき魔法陣へと向かって移動し始める。

 

「……私たちも行く?」

 そう問いかけてきた弥衣に、

「ああ。幸い空を飛べる大型はいないようだから、ちゃちゃっとザコを片付けつつ向かうとしよう」

 と、返す。

 

 俺は、無言でうなずいて同意を示す弥衣から破壊対象の魔法陣へと視線を移すと、飛翔魔法を発動。視線の先にあるそこへ向かって一気に接近する。

 当然、空を飛べるアンデッドがそれを妨害するように迫ってくるが、ザコでしかないので魔法剣を生み出して加速しながらたたっ斬る。たたっ斬る。たたっ斬……おっと、3体目は弥衣の形代に先を越されたか。


「透真さん! こっちは魔法陣に張り付きました!」

「こっちも、もう辿り着くわよ!」

 俺と弥衣が目標の間近まで迫った所で、下からそんな舞奈とかりんの声が聞こえてきた。

 

「こっちも問題ない。このまま一気に破壊するぞ!」

 そう告げながら俺は、長く、そして太くした魔法剣を勢いよく振るう。

 そこへ俺を追う形で飛翔してきた弥衣が、形代を使った一斉掃射。

 魔法剣の刃と大量の魔法弾、それがほぼ同時に魔法陣に叩き込まれる形となり……ヴンッという振動音と共に、魔法陣があっさりと粒子と化して霧散する。

 

 と、それとほぼ同時に同じ音がふたつ響き、 

「3つの魔法陣が全て壊れたブルよーっ!」

 なんていうブルルンの声が続けて聞こえてきた。

 どうやら上手くいったようだな。

 

 そう思った直後――

「な、なんか何もない所に――宙空にヒビが入り始めてるんだけど……!?」

「空間が壊れ始めているんだとは思いますが……だ、大丈夫なのでしょうか?」

 咲彩と舞奈がそんな風に口にした通り、俺の周囲には大量のヒビが入っていた。

 

 空間上にヒビが入るというのは、向こうの世界でもほとんど見る事のない現象だな。

 なんて事を考えたのとほぼ同時に、アンデッドの群れが消滅。更に俺たちへと視線を向けていた『瞳』が、次々に消えていくのが視界に入る。

 

「不死者たちが消えていく……?」

「不気味な目も……」

 亜里沙と弥衣のそんな呟きに、

「術式中枢が崩壊し始めた事で、この空間の主とも言うべき存在が張り巡らせた干渉の術式もまた崩壊し、召喚はおろか、『視る』程度の干渉すら維持出来なくなったようだな」

 弥衣の呟きにそう返した所で、

『消エル……。長キ時ヲ使イ、貯メ続ケタ生命ノ力ガ……消エル……。消エル……。何故ダ……。何故コウモ容易ク、彼ノ者ガ施シタ術ガ、ガガ、ガガガガガ……』

 なんていう憎悪に満ちた、しかし消え入りそうな声が響く。


『ダガ……ガガ……術式ハ単一ニアラズ……。既ニ生命ノ力ノ一部ハ根幹ニ……ニニ……ニィィィィィ……!』

 

 ……単一にあらず? 生命の力の一部は根幹に?

 なにやら気になる言葉だな……と思っていると、

「……今の言葉は……どういう事?」

 という問いの言葉を投げかける鈴花。

 

 しかし、それに対する返答はない。

 

「……ま、聞いても無駄だろうね……」

「だよねぇ……」

 肩をすくめてみせる紘都に対し、鈴花がため息交じりに返す。

 

 と、その直後、パキィィィィンという陶器が砕けたような音が鳴り響き……

「うおっ!? く、砕けた!?」

「ま、真っ暗です!」

 雅樹と舞奈がそんな驚愕の声を発した。

 

 空間が砕け散り、視界が暗転したのだから、驚くのも無理はないというものだ。

 そして、それに続くようにして今度は、

「うわわぁっ!? なんだか良くわからないけど、ふ、吹き飛ばされるぅぅっ!?」

 と、咲彩。

 

「これは……風? いや、押し流されている?」

 亜里沙がそう口にした通り、強烈な風で吹き飛ばされるようなそんな感覚と共に、身体が勢いよくどこかへ向かって押し流され……そして、『光』がどんどん迫ってくる。

 いや、正確にはこちらから『光』の方へ向かっている……か。


 それを眺めながら、なんだかこっちの世界に流れてきた時みたいで、少し懐かしい気分になるな……なんて事を思う俺だった――

思ったよりも長くなったのですが、少しだけはみ出すというのもなんだか微妙な感じがしたので、今回は途中で区切らずに無理矢理収めてしまいました……


ともあれ……これで思ったよりも長くなった異空間編は終了です。

そして、この章(SCROLL2)自体の終わりも、もうすぐ……といった所です。


といった所でまた次回!

次の更新は、明後日4月8日(土)を予定しています!

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