第114話 迫りくる敵と狙う魔法陣
「うわぁ……。いかにもな感じの靄だよ……」
「そうですね。化け物の類が出てきそうな感じです」
咲彩と紡がそんな風に言った直後、靄が爆発。
廃墟や校舎で見たアンデッドどもが消滅した靄に代わる形で出現する。
「どうやら、地上から召喚したみたいだな」
「魔法陣だらけの場所だけあって、召喚も余裕?」
俺の発言に続く形でそんな事を言って首を傾げる弥衣。
その弥衣に対し、ブルルンが頷くように身体の上半分を倒して同意する。
「ブッル、そんな所ブルね」
「――来るよ!」
亜里沙がそう警告を発すると同時に、
『グヲヲヲヲヲヲヲッ!!』
という咆哮を一斉に上げ、アンデッドどもがこちらへと襲いかかってくる。
「とりあえず、蹴散らしながら散開するしかないな」
俺は皆に対してそんな風に告げつつアンデッドどもを魔法剣で纏めて切り払う。
「誰がどこへ行くか……だねっ」
「そうだな。それぞれの魔法陣は……っと!」
紘都と雅樹がそう返事をしつつ、それぞれ魔法の矢と炎でアンデッドを葬り去る。
「せいっ! やっ! はっ!」
舞奈はいつの間にかその手に持っていた短剣を使い、アンデッドを連続で斬り裂くと、
「うーん……上にあるのは、壊すのに飛行する手段が必要ですね……。遠隔攻撃でもいけそうですが、ちょっと狙いにくいですよね、あそこ……」
と、上を見ながら告げた。
それに対し、咲彩が「とりゃぁぁぁっ!」という掛け声と共に光の剣を振るいながら返す。
「そうだねぇ……。ボクは一応空中も移動出来るけど、一箇所に静止し続けられないから、あそこはちょっと攻撃しにくいかなぁ……。他の魔法陣とか、いつの間にか出現してる飛んでる奴に接触しそう……」
たしかに上の魔法陣は飛べないと駄目だなと思いつつ、
「なら、俺はあれを壊しにいくか」
と告げると、弥衣が細剣や槍を持った形代でアンデッドをめった刺しにしながら、「私は飛べる」と主張してきた。
そう言えば、形代を使う事で一応飛べたな……
「なら、俺とブルルン、それと弥衣で上はどうにかするか」
弥衣の方を向いてそう言った所で、
「ま、透真の魔法が一番火力あるし、そっちはそれで妥当な気もすんな」
なんて返してくる雅樹。
「うーん……。だったら僕は下を狙うよ。下は遠隔攻撃じゃないと駄目そうだし」
「あ、私も下を攻撃するね。破魔の力も射程長いから」
と、アンデッドを倒しつつ告げてくる紘都と鈴花。
たしかに下の魔法陣は足場がないから、飛ぶか、ここから攻撃するしかないな。
「だとしたら、私もそちらですね。ここからロケットパンチなりロケットキックなりで攻撃出来ますし」
「……篭手や靴じゃなくても別に良いと思うけどね」
紡に対してちょっと呆れ気味に、軽く方をすくめつつそう返すかりん。
そして、アンデッドを呪符で粉砕してから、
「それはそれとして、私もそっちかしらね」
と、言葉を続けた。
「あの黝い縁のある魔法陣って、なんとなく乗れそうですけど……どうなんですか?」
「構成している魔力の雰囲気からすると、乗れるブルよ。実際、飛べないアンデッドが、あそこに出現してきているブル」
舞奈の問いかけに対し、黝い縁のある魔法陣上に現れたアンデッドをビシッと前足で指し示しつつ、そう答えるブルルン。
「あ、たしかに。それでしたら、あの球形魔法陣は直接攻撃する事が出来ますね!」
拳をグッと握って喜びながらそんな事を言う舞奈。
それに続く形で亜里沙が、
「ふむ。であれば、残った私たち4人であの球形魔法陣を攻撃するとしようか」
と言いつつ、アンデッドに掌底を叩き込んで吹き飛ばす。
「オッケー!」
と返事をする咲彩と、その横で無言で頷いて承諾する雅樹。
よし、これで分担が決まったな。
あとはアンデッドの群れを突破して、障壁と魔法陣を破壊するだけだ。
戦闘しながらの会話だった事もあり、思ったよりも文字数が増えてしまいました……
次の更新は明後日……と言いたいのですが、所用で更新するのが難しい為、平時通りの間隔となりまして……3月22日(水)の更新を予定しています!




