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第108話 筆と魔法と式神と

「そうねぇ……。一応、『式神』を生み出す符――正確に言うなら形代(かたしろ)だけど――を作れなくはないけど……私自身がそれを扱う事が出来ないから、作っても術を発動させられるかどうか、正直わからないわね……」

 腕を組みながらかりんがそんな風に言うと、

「でも、作れるのなら試してみたい……」

 と、かりんの方へと歩み寄る弥衣。

 歩み寄るというか、ずずいっと顔を近づけている感じだが。

 

「そ、そうね。つ、作るだけなら別にそこまで時間かからないし、試してみても良い……わよ」

 かりんはちょっと押され気味にそう返事をし、何も書かれていない符を取り出した。

 

 そして、「エルマギオン!」と呪文を発して筆を魔法で生み出すと、文字のような模様のような良く分からないものを符に描き始める。

 いまだにあれがどういう物でどういう仕組みなのか、理解出来てないんだよなぁ……

「……って、待て。今、エルマギオンで筆を生み出したよな? なんで、武器生成魔法であるエルマギオンで、そんな事が出来るんだ……?」

 

「筆も武器になるから……では? この間は、フライパンも生成していましたし」

「そういえば……フライパンも筆も、武器として使ってる昔のゲームあったよねー? 舞奈の家にー」

「あ、はい、そうですね。セラちゃんの言うのだと、PSI(サイ)を使って戦う少女がフライパンを、魔物の絵を描いて召喚する少女が筆を、それぞれ使いますね。もっとも、最近はイカのゲームの方が筆は有名かもしれませんが」

 俺の呟きに対し、舞奈とセラがそんな事を言ってくる。

 

「ぬっりぬっり、ぬっりぬっり、ぬーりぬりぃー」

「ぬっるブル、ぬっるブル、ぬーりたくるっブルッ!」

 唐突に、そんな奇妙な歌を歌いだすセラとブルルン。

 それを聞きながら、

「ブルルンちゃん、何気に強いんですよねぇ……アレ」

 と、舞奈が呟くように言う。

 

「だねー。最強はトー兄様だけどー」

「ご主人は、筆なのに訳の分からない強さブルッ」

 セラとブルルンがそんな事を言いつつ俺の方を見てくる。

 舞奈も言葉こそ発さないものの、顔は俺の方を見ていた。

 

「……そ、そう……か? 俺は単に筆を攻撃用として使っていないというか、攻撃は別の手段を多用しているだけなんだが……。死なないように動き回っていれば、自然と多用出来る状況になるしな」

 向こうの世界での癖みたいなものが染み付いている気もしなくはないな……と、心の中で付け足した後、

「でもまあ……そう言われてみると、たしかに筆が武器だというのも納得出来てしまうな……」

 と口にする俺。

 

 そして、もしかして武器生成魔法って、術者が武器だと思えばなんでも生み出せるんじゃ……。前は盾を生み出していたし……。うーん……。なんて事を今度は考え始める。

 

「魔法の杖の代わり……みたいな感じなんですかね? あ、ところで私も調べてみていいですか?」

 そんな紡の声にハッとなって、

「おっと、そうだった。すまない。かりんが符を作っている間に、紡の資質も調べてしまわないとな。さっきと同じようにプレートの上に手を置いてくれ」

 と、そう答える俺。

 

 それに頷き、プレートの上に手を置く紡。

 そして程なくして、結果が出た。

 

「――これは、防御系と妨害系魔法の資質が主って感じだな」

「妨害という点は、私と同じだね」

 俺の発言に反応するように、そう亜里沙が言ってくる。

 

「系統は同じですね。得意とするものが少し異なっていますが」

「というと?」

「阿良木先生のは毒とか樹木といったものを利用した妨害魔法が主ですが、紡のは幻や大地といったものを利用した妨害魔法が主ですね」

「ふむ、たしかに私とは違うね」

 俺の説明に亜里沙が納得した所で、

「防御と妨害……ですか。直接的な攻撃には向かない感じですね」

 と、そんな風に言ってくる紡。

 

「幻や大地だから、上手く使えば攻撃にも転用出来るぞ。例えば……防御用の岩壁を敵の真下に出現させて突き上げるとか、幻影で作った武器に防御魔法を纏って打撃武器にするとかな」

 俺は向こうの世界で、そんな使い方をしていた人物――エミリエルの戦う姿を思い出しながら、そう告げる。

 

「なるほど……。応用次第という事ですね」

「ま、そういう事だ。っと、弥衣と違ってこっちはちょうどいい魔導具があるな」

 俺は紡に対して返事をしつつ、魔導具を取り出す。

 と、その直後、

「幻なら、符もちょうどいいのがあるわよ」

 なんていうかりんの声が聞こえてきた。

 

「ん? もう作り終わったのか?」

「ええ。そしてあんな感じになったわ」

 かりんが俺の問いかけに頷き、そう言って顔を動かす。

 

 その顔の向く先へと同じく顔を向けてみると、そこには人の形をした紙が大量に浮いていた。

 これはまたなんと言うか……魔法ではまず見かける事のない、独特かつ不思議な光景だな……

フライパンがヒロインの武器のゲーム、主人公の武器はバットですしね……


それはそれとして、前の話のはみ出した部分に式神完成の部分をちょこっと付け加えただけ……の物だった……はずなのですが、何故か(というかイカのくだりの影響で)思ったよりも長くなりました……


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は、平時通りの間隔となりまして……3月7日(火)を予定しています!


※追記

『形代』と『PSI』にフリガナを付けました。

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