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第104話 ヴァルハラとエインヘリヤル

「……個人的には、なかなか楽しい。今までなかった」

 ミイがそんな風に言ってくるが、まあ話が脱線しまくりな状態なのは事実なので、俺はコホンと咳払いをして、

「……あー……。まあ、なんだ? 話を戻す……というのとは少し違うが……一旦纏めると、ここで何度死のうが特定の場所で生き返るという事、そして、ここの魔物どもをいくら倒しても復活する事、これらはこの空間内において、『死に関わるなにか』が破壊されている為に生じている現象であると考えて良いだろう。……肝心の『なにか』については、正直さっぱりだが……」

 と、言葉を紡ぐ。

 

「うーん……。残機無限という鈴花の表現は、ある意味妥当な気もしますね。この場合は敵も自分も……ですが」

 そんな風に言った舞奈に続く形で、

「互いに殺し合って、そして無限に復活……か。ここはまるでヴァルハラだな」

「あ、たしかに言われてみると、その表現が一番しっくりくるかも」

 なんて事を、雅樹と咲彩が口にする。

 

 ヴァルハラ……。どっかの神話の地名かなにかだったか……?


「ばるはら?」

 俺よりも先に、首を傾げて問うかりんに、

「北欧神話に出てくるエインヘリヤル――戦死した英雄、あるいは勇者……そういった者たちの事だが、それが集う館の事だ」

「そこでエインヘリヤルたちは、朝から夕方まで互いに殺し合うんだよね。で、夕方になると負傷者は傷が完治して、死者は蘇る。……で、夜は皆で盛大に酒盛りするんだよ」

 と、そう説明する雅樹と咲彩。

 

「……延々と殺し合いと酒盛り……ねぇ。なんだか、地獄と天国が入り混じっているような冥府ね、それ……。生粋の武人にとっては楽しいのかもしれないけど……」

「まあ……その辺は、時代と地域による価値観の違いだから何とも言い難い所ではあるけど、たしかにここはヴァルハラ、そしてエインヘリヤルの構図そっくりかもしれないね」

 肩をすくめるかりんに対し、亜里沙が腕を組みながらそんな風に言うと、

「……でも、戦う手段がないと一方的に殺される……。戦う手段が欲しい……。今度はこっちが1万回叩きのめして、泣かしたい。……あれが泣くとは思えないけど……」

 なんて恨み節をため息交じりに発し、首を横に振る弥衣。

 

 戦う手段か……。この場所は、どういうわけかあの化け物どもが来ないし、今の内にふたり――霊体も加えるなら3人――の資質を調べてみるのもありかもしれないな。

 

 そんな風に俺が考えた直後、

「――戦う手段を自力で確保する必要があるという点以外にも、蘇生するタイミングが死んだ直後、かつ決められた場所であるなど、いくつかヴァルハラとの違いはありますね」

 と、紡が顎に手を当てながら言ってくる。

 そして、それを聞いていたセラが、

「うーん。死んだら特定の場所で生き返るって、なんだかゲームの復活ポイントみたいだよねー。舞奈の家で何度かプレイしたアクションゲームとかだと、穴に落ちたり、針に刺さったりすると、結構前の場所まで戻されるしー」

 なんて事を呟くように口にした。

 

「……セラは巻き戻しの機能を使って、死ななかった事にしてる方が多い気がするブル」

 と、そんな突っ込みをいれながら、セラの肩に前足をポンっと乗せるブルルン。

 ……その言動は危険な気がするぞ……ブルルン。

 

「あぅ……っ。だ、だだ、だって……昔のゲームは難しいんだもん。しょうがないでしょぉーっ!」

 赤面したセラが、叫びながらブルルンを捕まえてグルグルと回転させ始める。

「ブッルゥゥゥゥゥッ!? グルグルするブルゥゥ、グルブルグルゥゥッッ!!」


 まあ……うん。案の定というべきだろうな……これは。

 というか……今更だが、ブルルンは少しツッコミ気質な所があるよなぁ……


 なんて事を思う俺だった。

急に妙なサブタイトルになりましたが、内容的にはこれしか妥当な物が思いつかず……


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は、明後日2月26日(日)を予定しています!

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