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第95話 時計塔の内部へ

「――壁を破壊するような奴だから、強いのかと思ったけど、あんまり強くなかったね」

「そうだね。思ったよりあっさり倒れたから拍子抜けだったよ」

「他の奴らもザコばっかりだったしな」

 鈴花、紘都、そして雅樹が消えていく化け物どもを見ながらそんな風に言う。

 

「話の途中で割り込んでくるワイバーン程度の存在でしたね」

「なんでワイバーン?」

 紡の言葉に首を傾げて問う弥衣。

 

 まあ、弥衣は20年前の人間だしな……

 いや、俺も別の世界の人間だが。

 舞奈が良く話をしているのを聞いていなかったら、俺もわからなかっただろうなぁ。

 

「ワイバーンはさておき、封印は完全に壊れたわね。……まあ、鉄の扉はそのままだけど」

「と言っても、ただの鉄の扉なら壊すのは簡単だがな」

 かりんの問いかけに対して俺がそう返した直後、

「はいはい、それは私がやるよっ! 壊すっていうか、斬るだけど!」

 なんて声と共に、光の剣を生み出す咲彩。

 そして、その光の剣で鉄の扉を円形に斬ってみせた。

 

 ……完璧な真円だな。なんて器用な……

 と、そんな事を思っていると、予想外だったのか困惑の声を発する咲彩。

「……あ、あれ? 倒れない?」

 

「あまりにも器用に斬りすぎたからですね」

 舞奈が理由を告げると、

「相変わらず、今一歩足りないですね……」

 と、ちょっと呆れ気味に言う紡。

 それに対して咲彩は、

「ぐぬぬ……」

 なんて声を発して悔しそうな顔をしてみせる。


「ま、まあ……ここまで斬れていれば、後は衝撃を与えればいいだけですので……。よいせっと!」

 そう言いながら咲彩が斬った部分――円の部分に対し、跳躍しながら回し蹴りをかます舞奈。

 すると、咲彩が斬った部分が奥へ吹き飛んでいった後、ズシンッという重い音と共に床へと落下。扉に大きな円形の穴が開いた状態となった。

 

 ……わざわざ強化魔法を多重に使ってそんな蹴りを繰り出す意味とは……

 なんて事をちょっと思ったが、まあ舞奈は武術――を見るのが――好きだし、自分で出来るならやってみようとか思ったんだろうなぁ……と思い直し納得する。

 

 なお、舞奈が回転する時にスカートの辺りに一瞬『何か』がチラっと見えた気がするが、そこは気のせいという事にしておこう。

 と思っていると、

「なんか一瞬、舞奈の周辺に小さな砂嵐……というか竜巻が巻き起こらなかった?」

 などと鈴花が呟くように言ってくる。

 

「また無駄に魔法を使って……」

 という突っ込みを入れるかりんに対し、「え? ええ?」とちょっと困惑する舞奈。

 

 ……超小型の砂塵旋風を発生させる魔法を使ったのは俺だが、何故使ったのか聞かれると面倒なので黙っておき、速やかに話題を変える。

「……ま、何にせよ道は開けた事だし、時計塔へ乗り込むとするぞ」


「とりあえず、魔法的な罠とか仕掛けはなさそうブル!」

 扉に開いた穴から時計塔の内部を覗き込みながらそう告げてくるブルルン。

 それに対して亜里沙が、

「なら、あとは物理的な罠に注意すれば良さそうだね」

 と言いながら、先陣を切るように穴をくぐっていく。


 そして俺たちもまた順番に穴をくぐり、時計塔の内部へと侵入する。


 ……厄介な罠や仕掛けがあるのではないかと警戒しつつ進んでみたものの、特にそういったものはなく、時計塔の内部は広間がひとつだけ存在し、その中央に上層へ向かって続く螺旋階段があるだけの簡素な構造だった。

 

「ちょっと拍子抜け……」

「そんなに広いわけじゃ……ないし。こんなもの……じゃ?」

 弥衣の呟きにそう霊体が返し、亜里沙がそれに続く形で、

「罠とか仕掛けとかが山のようにあっても、それはそれで困るけどね」

 と言って肩をすくめてみせる。

 

 何の変哲もない螺旋階段を登る事しばし……

「また鉄の扉?」

 と、そう弥衣が口にした通り、螺旋階段の終わりは再び鉄の扉だった。

 

「でも、封印のようなものはなさそうね。単なる扉って感じよ」

 かりんがそんな風に言った直後、

「なら、もう一度斬って――」

「――舞奈の代わりに俺が蹴るぜ」

 などと言いながら、咲彩と雅樹が息の合ったコンビネーションで鉄の扉に穴を開けた。

 

 でも、うーん……。わざわざ壊さなくても、実は普通に開いたんじゃなかろうか……? これ。

 なんて事をちょっと思ったが、まあ……誰かが住んでいるってわけでもないだろうし、別にいいか。

冒頭、戦闘シーンを描写するかどうか迷ったのですが……単に長くなるだけな気がしたので、今回はサラッとすっ飛ばす形にしてみました。

まあ、そんなこんなで時計塔の最上階へと辿り着いたようですが……?


といった所でまた次回! 次の話は割と出来ている事もありまして……次の更新は、明後日2月4日(土)を予定しています!

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