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第92話 紋様と形状と構成

「ブッル! 描かれている紋様はほぼ同じブル! ちょっと配置が違う所があるくらいブルね」

 いつの間にかセラから脱したらしいブルルンがそんな風に言ってくる。


「あれ? 紡は完全一致って言わなかった?」

 咲彩がそんな風に問いかけると、

「あ、はい。一見すると微妙に違うのですが……右へ90度回転させると同じになるんです」

 なんて言ってきた。


「……右に90度ブル?」

 そう言うなり、ブルルンは自身の身体をこてんと横へ倒す。


 浮いていると、こういう時便利だな。

 なんて思っていると、

「ほ、本当ブル! 完全に一致したブル! というか、あそこの紋様を良く覚えていたブルね!?」

 などと、ちょっと興奮気味に口にするブルルン。

 

「覚えるのは得意なんですよ」

 そう紡が答えると、

「まあ……紡の記憶力、半端じゃないからねぇ」

 なんて言って方をすくめてみせる咲彩。


「うーん……。どうして90度回転されているのでしょう……? 180度とかなら分かりますが……」

「180度……? ああ、いわゆる逆位置っつー奴か」

 舞奈の思考を巡らせながらの呟きを聞いた雅樹が、そんな風に言葉を続けた。


「この手の物は反転させる以外にも、斜めにしたり横にしたりする事で意味や用途を変えられる場合があるから、これもそういう事なんだろうが……見ただけではちょっと分からないな」

 俺が呟くようにそう言うと、

「私も、この類のものは見た事がないからさっぱりだね」

 と言って肩をすくめてみせる亜里沙。

 

「そう言えばブルルン、さっき、咲彩の学校に張り巡らされていた術式にそっくりな部分があるとか言ってなかったかしら?」

「言ったブルよ!」

 ブルルンはかりんの問いかけにそう返すと、術式の上方へと移動。指――じゃなかった、前足で指し示しながら、

「あ、ちなみにここの所は、学校――咲彩の学校に張り巡らされていた術式にそっくりブルよ!」

 と、そう告げてきた。

 

 なるほど……。という事は、あそこが魔力の流れを司っている場所ってわけか。

 封印が生み出す障壁……の一種も、あそこを経由して広がっているのだろう。

 って、待てよ? それならあそこを潰せば……?

 いや……『罠』の存在を考えると、そう簡単にはいかない……か。


「ブルルン、他にはそっくりなものはない感じか?」

「ないブル! こことさっきの所以外は、プールや学校で見た術式とは完全に別物ブル!」

 俺の問いかけに対して、そう断言してくるブルルン。

 

 別物……か。どういう仕組みなのか謎だとなると……問題になるのは、『罠』がどういう原理で発動するのか……だな。

 別物の場所に罠の動作を司る場所があると、厳しいが……


 って……待てよ? そう言えば『罠』という点では、プールにあった魔物を召喚する奴も同じく『罠』だな。術式の構成も発動する効果も全然違うが。


「そう言えば、プールにあったという『召喚の魔法陣』は一種の罠だったんですよね?」

 俺と同じ事を思ったのか、そんな事を問いかけてくる舞奈。


「ん? ああ、そうだな」

 そう答えると、舞奈は顎に手を当てて、

「紋様……一致……。同じ術式……」

 なんて事を呟きながら何かを考え始める。

 ……うん? これはあれか?


「あ、舞奈が思考モードになった」

「思考モード?」

 鈴花の発言に対し、意味が分からず首を傾げる弥衣。


 まあ、いきなりそんな事言われても分からないよなぁ……

 俺も一瞬、何を言っているのかと思ったし。


「それだと何かがちょっと違う気がするわね……。推理モード?」

「それはそれでゲーム――探偵モノのADVみたいな感じがするよ? 犯人は……」

 そんな会話をしているかりんと鈴花をスルーし、ブツブツと呟き続けている舞奈に対して、「なにか推測出来たのか?」と、問いかけてみる俺。

 

 すると舞奈は、ハッとした表情をした後、

「あ、いえ……その紋様が先程話していた『召喚の魔法陣』の『一部』であると考えるのなら、その紋様をピンポイントに破壊すると同時に、先程ブルルンちゃんが指し示した部分も破壊すれば、罠の発動を封じつつ封印も破壊出来るのではないか……と。まあ、単なる推測ですが……」

 と、そんな事を言ってくる。

 

 やはり久しぶりのトンデモ分析能力――と勝手に呼んでいる――が発動したのか。

 だが……なるほど、たしかにそれならいけそうな気がするな……

今話は、前話から溢れた部分だけだと短かったので、その先の展開を少し追加していたりします。


結果、次話も半分くらい出来ている為、次の更新は……明後日1月28日(土)を予定しています。

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