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第91話 中核とは、封印とは

「俺もそれがなんであるのかは分かっていないから説明しづらいんだが……」

 俺はそう前置きした後、

「――咲彩や雅樹たちには少し話したんだが、これだけの異空間を生成して維持するとなると、『術式の制御中枢』が必要になるはずなんだ」

 と、舞奈……というか、その場にいる全員に告げた。

 

「ふーむ……制御中枢、か。たしかに大規模な術を行使するために『大掛かりな儀式を行う場所』が作られたりというのは、よくある話だね」

「ええ、そうですね。この規模の異空間となると、今、阿良木先生の言ったように、その『術式の制御中枢』もまたそれなりの規模――目立つ大きさの代物になると思います」

 亜里沙に対して頷きつつそう返す。

 

「更に言うブルと、この場所の異様さからしたら、誰が見ても『奇妙』だと感じるような代物、もしくは『歪んでいる』と感じるような代物になるはずブル」

 そんな風に付け加えるように言ったブルルンに対し、

「そうだな。そのはずなんだが、今の所それらしいものを見かけていないんだよなぁ……」

 と同意しつつ、腰に手を当ててため息交じりに首を横に振る俺。


「なるほど……誰が見ても『奇妙』あるいは『歪んでいる』と感じるような目立つ程の大きさの物……ですか」

 舞奈は納得の表情でそう言った後、こめかみに指を当て、

「うーん……それっぽい『気になる物』を途中で見た気がするんですよね……私」

 なんていう言葉を続けてきた。

 

「ん? そうなのか? もしかして、別行動をしている間に?」

「う、うーん……。そこがどうにもあやふやというか……。うぅ……ここまで出かかっているのに、どうしても出て来ないです……」

 俺の問いかけにそう返しつつ、自身の首元を指し示す舞奈。

 

 先程口にした通り、俺自身はそれらしいものを見かけていないので、考えられるとしたら別行動している間に見かけたという可能性が一番高いんだが……

 いや、それとも……俺自身も実は既にそれを見ていて、『中核となる何か』だとは思いもしなかった……とかのだろうか?

 うーん……。こればかりは如何ともし難いな……


「……忘れたものを思い出させるような魔法のハンマーとかないの?」

「なんでハンマーなのかはわからんが、その手の魔法はさすがにないな」

 セラの問いかけに対し、肩をすくめながらそう返す俺。

 

「むむぅ、残念……。あったら思いっきり叩いてあげるのに……」

「あ、あのセラちゃん……? 冗談を言う時は、もう少しわかりやすい顔で言ってくれませんか……」

 何故かちょっと不満そうな顔で口にしたセラに対し、そんなツッコミめいた言葉を返す舞奈。

 

「むむぅ、残念……っ! あったら思いっきり叩いてあげるのに……っ!」

 今度は満面の笑みでそんな風に言い直し、近くにいたブルルンをギュッと抱きしめるセラ。


「セ、セラァァッ!? ちょ、ちょっと強く抱きしめすぎブルよぉっ!? もうちょっと弱く抱きしめて欲しいブルゥゥゥッ!」

 なんていうブルルンの声が聞こえてきた所で、

「……余計に冗談に見えなくなったのはなんででしょう……?」

 なんて事を舞奈が呟くように言う。

 

 そして、どういうわけか俺にもそんな風に感じた。

 ……う、うーん? 視線が舞奈だけじゃなくて、微妙に俺の方にも向いているせい……か?

 

「あれって嫉――」

「――妬だね」

 後方で鈴花と紘都がなにやらヒソヒソ言っているが、よく聞き取れない。

 

「ま、まあ……なんだ? そっちの件は、今すぐにどうにかしないといけない問題ってわけでもないし、思い出したらでいいさ。正直、俺にもさっぱりだしな……。今は目の前の問題――『封印』の方を片付けてしまうとしよう」

「え、あ、そ、それもそうですね。なんだかこう……つっかえてる感じがあって、どうにも気持ち悪いですが仕方ありませんね……」

 とりあえず話題を強引に『封印』の方へと引き戻し、『封印』へと歩み寄る俺と舞奈。

 

 術式に関しては既にブルルンが確認済みなので、『かりんを封じ込めていた結界』のように『その術式構造を破壊出来そうかどうか』を調べればいいな……

 などと思いつつ『封印』の術式を見回してみる。

 

 すると、少し前に見た構造と同じ構造の部分が見つかった。

「なるほど……たしかにプールで見た術式に似ている部分があるな」


「そうなんですか?」

「ああ。細部までは覚えていないが、たしかにこんな感じだった」

 舞奈の問いかけにそう答えた直後、

「あ、たしかに紋様は完全一致ですね」

 という声が返ってくる。


 ……うん? 今のは? と思いながら声の方へと顔を向けると、それはいつの間にか横に来ていた紡が珍しそうに『封印』の術式を見ながら発した言葉だった。

 ……舞奈と紡って口調が同じ様な感じだから、ふたりが間近にいると、一瞬間違えそうになるな……

思ったよりも短くなりませんでした……


というわけで(?)一旦区切りまして、残りはまた次回……

そして、その更新ですが……微調整が必要な為、明後日1月26日(木)を予定しています!

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