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第83話 村と学校とプール

「――あー……つまりだな……。桜川がこの場所にいる間に、外では20年以上の時が経過しているって事だ」

 俺は頬を掻きながら、そんな風に弥衣に告げる。

 

「……そ、そんなに……時間が……?」

「ああ。信じられないかもしれないが事実だ。どうしてそうなっているのかは、分からないが……」

 そう弥衣に返事をしつつ俺は思考を巡らす。

 

 ……ただ、外との時の流れが違うというだけでは説明がつかない部分もあるんだよな……

 そう……。時の流れが違うとはいえ、時そのものは流れている。

 であれば、空腹にならないとか老化しないとかっていうのはありえないはずだ。

 考えられるのは、死亡して蘇生する時に肉体の状態がリセットされているか、あるいは肉体そのものの時の流れと、この空間の時の流れ、双方を操作しているか……だ。

 そして、前者にせよ後者にせよ、『時』を広範囲に渡って複雑な操作を行う必要があり、大規模かつ無駄に面倒な術式を構築しなければならないような、そんな代物だ。

 そこまでの事をする必要が果たしてどこにあるというのだろうか……?


 ――そこまで思考した所で、同じく考え込んでいたらしい弥衣が、

「なら……みんなは既に大人……?」

 と、そんな風に言ってきた。

 その発言に対し、俺は首を傾げる。

「みんな?」


「私の家族……。正確に言うと、施設のみんな」

「ああなるほど、そういう意味か」

 弥衣の返答に対し、それだけ返す俺。

 

 施設というのはたしか……向こうの世界で言う所の孤児を集めて育てている修道院のようなものだったか。

 魔王――魔族との戦乱で孤児の数も酷い事になっていたが、戦乱も集結した事だし、これからはそんなに酷い事にはならないだろう。きっと。

 いや、そうであって欲しいものだ。そういった状況が未来ではなくなる事を願って戦ったのだから。


 などと、ちょっと向こうの世界の事を思い出していると、

「……? どうかした?」

 と、弥衣に首を傾げられながら問いかけられた。

 

 おっと、返事をしておいて急に無言になったらそうなるか。

「あ、いや、成長が止まっている状態だから、大変な事になりそうだな……と」

 とりあえずそんな風に言う俺。

 

「――たしかに20年前の姿のまま戻ってきた……となると、大騒ぎになりそうですね……」

 いつの間にか横に来ていた紡がそんな風に言った。

 

「まあ、何か良い方法を考えるしかないな……」

 俺がそう返した所で、咲彩がこちらに歩み寄って来ながら、

「いっそ、20年前からタイムワープしてきた事にする……とか?」

 なんて事を言った。いや、タイムワープって……

 

「それはそれで大騒ぎになりそうな気しかしねぇぞ……」

 雅樹が俺の代わりにそう呆れた口調で告げると、咲彩は、

「むむぅ、たしかにそうかも……」

 と返して一度言葉を切ると、弥衣の方へと顔を向けてから、

「そう言えば、弥衣ってここに来た時ひとりだったの?」

 と、そう言葉を続けた。

 

「違う……。さやか、爽太、潤平も一緒だった……」

 と、そんな風に言ってくる弥衣。

 

「つまり、咲彩の友達を含めて最低でもあと5人はここにいるっつー事か……?」

「そういう事になるな。でも……あの山にあった村跡の広さを考えると、それだけの人数が最低いるのに、今まで2人しか遭遇しないというのが妙だ……。いやそもそも、この学校の広さで村跡の大半が埋まるような――」

 雅樹の言葉に対してそこまで返した所で、ふと山で見つけた村跡との矛盾点について、ひとつの仮説が頭に思い浮かんだ。


 それは、

「――もしかして、複数の場所がここに……この空間に取り込まれていて、それらが混ざりあっている……のか?」

 というものだ。

 

 そして、そう考えれば校舎の造りとプールの造りの違いも納得がいくというものである。

 そもそも、学校と村の雰囲気――年代感も全然違うしな。

またもや思ったよりも長くなったので、一旦区切りました。

不思議な事に咲彩と雅樹が揃って居ると、想定よりも会話が長くなりがちだったりします(何)


とまあそんなこんなでまた次回!

残りの分は9割方出来てはいるのですが、ちょっと微調整しないと更に長くなりそうな為、更新は明後日1月7日(土)を予定しています。


……が、実はPCが壊れ気味でして……だましだまし……というか無理矢理動かしてはいるのですが、もし更新されなかった場合は完全に壊れた物とお思い下さい……(その場合は申し訳ありませんが新しい環境の確保と移行の為に、4~6日程度更新が止まると思います……)

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