第23話 定時連絡
「いや、弓道部の部長に誘われる形で、ちょっとばかし矢を射ただけだ」
「ああなるほどね。まあ……それならいいか」
何やら一瞬含みがあったが、良くわからないのでそこはとりあえず置いておこう。
「ああそうそう、破壊神の残滓ではないのだが……少々怪しい霊的な気配を、あの学校で微弱に感じたぞ。もっとも、悪意や敵意の類は感じられなかったから、幸いアンデッドの類ではなさそうだが」
「悪意や敵意のない怪しい霊的な気配……ねぇ。うーん……一応注意しておいてくれるかい? あの辺は過去に邪悪な存在を封じたという伝説があるもんでね」
そんな伝説があるのか……。後で調べてみるかな。
しかし、そうなると……
「伝説が真実である可能性は十分に考えられる、という事か……。わかった、注意しておく」
「うん、よろしく頼むよ。……っと、そんな所かな?」
「定時報告としてはそのくらいだな」
「わかった。定時報告以外でも、何かあったら遠慮なく連絡してね。……特に、魔法や霊的な存在関連でのトラブルがあった時は『絶対』に『即座』にお願いするよ。時間が経過するほど『隠蔽』が面倒になるからね」
絶対と即座、そして隠蔽を強調する桜満の声に、なにやら少しダークなものを感じつつ、俺は「あ、ああ、わかった」と返し、通話を終了した。
さて……とりあえず、着替えて昨日終わらなかった家電――桜満に用途不明の物まで押し付けられた――の設置をしてしまうとするか。
……向こうの世界に家電なんてものはなかった事もあり、悪戦苦闘しながら、どうにか全て設置し終える俺。
しかし、パーソナルコンピューターなる代物は、なんだってこうも設定とやらが、しち面倒くさいんだ……
これなら魔法陣を描く方が簡単だぞ……
なんて事を思いながら時計を見ると、なかなか良い時間になっていた。
……そろそろ時間も時間だし、夕飯の準備をしないとなぁ……
というわけで、冷蔵庫へと歩み寄る俺。
それにしても……この冷蔵庫という代物、コウイチが魔導具として再現した時から思っていたが、やはり便利だな。
なにしろ、限界があるとはいえ、生物を腐らせずに簡単に保存出来るし、食べ物や飲み物を冷やしておく事も出来るからな。
魔法収納空間でも保存自体は出来るが、あれは誰でも出し入れが出来るような代物でも冷やしておけるような代物でもないからなぁ……
魔法である以上、魔道士が必要だし、その魔道士の魔力によって容量も変わるし。
などと、そんな事を考えつつ冷蔵庫を開き……何も入っていない事に気づく。
……って、そりゃそうか。
昨日引っ越してきたばかりだし、昨日の夕飯はこの街へ来る途中で食ってしまったし、今日の朝は急いでいて飯を食うどころじゃなかったからな……
まあ……とりあえず、買い物に行くとするか。
本日は更新が遅くなりました……!(というか既に日付が変わっていますし……)
もう1話更新します!




