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第74話 朝霧紡

「――近くから感じる霊力はなし……っと。隠れている奴もいなさそうだな」

 目に映ったアンデッドどもを掃討し終えた所で、俺は周囲を確認しつつ、そんな風に呟く。

 

 とりあえず、殲滅したと思いきや隠れていた奴が飛び出してきて襲われる……なんて事はなさそうだ。

 と、そんな事を思った所で、

「あ、えっと……その……」

 という声が後ろから聞こえてきた。

 

 振り向くと、少女が倒れた格好のまま、声だけこちらに投げかけてきていた。

 が、何を言おうとしているのかさっぱりな感じだった。

 

 まあ、急に人が飛び込んできて、自分を追いかけてきていたアンデッドどもが一掃されたら、混乱するのも当然か……

 そう思いながら俺は、

「――俺は成伯透真。色々あって仲間たちとここを探索していたんだが、追われている君の存在に気づいてな。こうして助けに来た感じだ」

 と、そんな風に告げながら、少女に手を差し伸べた。


「た、探索? です……か?」

 そう問いかけながら手を伸ばしてくる少女の手を引いて立たせながら、 

「ああ、探索だ」

 と答える俺。

 そしてそのまま、続けて問う。

「――ちなみに君は、咲彩……皆崎咲彩という名前に聞き覚えはあるか?」


「咲彩……!? し、知っています! 咲彩ちゃんは無事なんですか!?」

 問いかけに対し、驚きながらもそう逆に問いかけてくる少女。

 

「ああ。まったくもって問題ない」

 ……と思う。雅樹もいるし、あの程度の大型アンデッドに苦戦しているという事はないだろうしな。

 

「そ、そうですか……。良かったです……」

「……その感じからすると、咲彩と一緒にここに引き摺り込まれた者たちの中のひとり……という事で良いんだよな?」

 安堵の表情を見せる少女に改めてそう問いかける俺。


「あ、はい。すいません、自己紹介がまだでしたね……。――私は朝霧紡、咲彩ちゃんとは友達で、学校でやった『儀式』によって、ここに引き摺り込まれてしまいました……。その……助けていただいて、ありがとうございます」

「ああ、ギリギリだったが間に合ってよかった。……ところで、他にもあとふたりいるはずだよな? 今の居場所が分かったりはしない……か?」

 ダメ元で質問してみると、紡は首を横に振って、

「……いえ、かなり前にはぐれてしまってからは、一度も出会えていません……。殺された際に生き返る場所で、隠れて待っていた事もありましたが、誰かがそこに新たに現れる……という事もありませんでしたし……」

 という予想通りではあったものの、新しい情報もあるような、そんな返答をしてきた。


 まあ、居場所がわからないのはそうだよなぁ……という感じだが、蘇った場所で待っていても誰とも出会えない……か。もしかして、蘇る場所がそれぞれ異なっている……のか?

 と、思考を巡らせていると、

「あ、でも、この学校で別の学校の女子生徒と出会った事があります。その子は、この古い学校の『焼却炉』というものの前で蘇るそうです」

 という更なる新情報を口にしてくる紡。

 

 焼却炉というもの……か。昔は学校でゴミを燃やしていたという話を聞いた事があるな。

 まあ、今は使われていないし、実物を見た事がないのだろう。

 かくいう俺も、こちらの世界の学校にあったという焼却炉を見た事がないので、いまいち形状が良く分からない。

 

 だがまあ……屋外にあるのは確実だし、普通に考えれば煙突があって、なおかつ物をそれなりに燃やせる程の大きさの代物だろうから、見つけるのはさほど難しそうではないな。

 

「なるほど……。それは良い情報だ。それなら、まずは焼却炉を探してみるとするか。――咲彩たちと合流してから……だけどな」

 俺は紡にそう告げると、紡と共に咲彩たちが居るであろう場所へ向かって歩き出す。

 

 ……そういえば、あの大型アンデッドは倒せたのだろうか? 感じられる霊力的には、あいつを含めたアンデッドども全てを、ほぼほぼ倒し終えた状態になっているようではあるが……

 と、そんな風に思いながら。

焼却炉って、未だに残っている所はレアな気がします。


さて、そんな所でまた次回! 

次の更新は平時通りとなりまして……12月18日(日)を予定しています!


……それはそうと、第14話に璃紗のイメージ絵(挿絵)を追加しました。

AIベースで色々と修正したものですが、よろしければご確認ください。


また、例によって修正箇所を纏めたものを活動報告として記載しました。

こちらも、興味がございましたらご確認いただければ……と。

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