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第73話 追われる者を追って

 ――っとと、向こうの世界……昔の事を思い出している場合じゃないな。

 

 ここはもう咲彩と雅樹のふたりに任せておいて大丈夫だとは思うが……一応、ちょっとだけ様子を見てから動くとするか。

 と、そう考え、俺は顔を大型アンデッドとふたりの方へと向ける。

 

 すると、ふたりに向かって大型アンデッドが、

「グルアァァアァアァッ!! 潰スゥゥウウゥゥッ!!」

 と叫びながら、ハンマーを横薙ぎに振るうのが見えた。

 

 思ったよりも動きの速い奴だな……と、そんな風に考える俺。

 しかし、

「ふっふーんっ! 動きがスロー過ぎ……だよっ!」

「さすがは透真の魔法! 効果が段違い……だなっ!」

 なんて事を言いながら咲彩は下を潜り抜け、雅樹は上を飛び越えてそれを回避。

 そのまま、大型アンデッドの胴体と足元を同時に攻撃を仕掛けた。

 

「ガッ!? ゴハァッ!?」


 更にそこから左右に別れ、大型アンデッドの脇へと追撃を加えた。


「ガアアァァァアァァァッ!?」


 ――うん。なんというか……まったく問題なさそうだな。

 そう思いながら俺は大きく跳躍し、真上に空いている大穴から垂れ下がっている梁へと手をかける。

 

 そこからアンデッドどもの状況を改めて探ってみると、さっき感じた霊気――つまり、アンデッドの大半はこの場所に集っている状態だったが、未だに何かを追っているような動きをしている奴らがまだそれなりにいる事が感じ取れた。

 

 ……追うような動きをしているという事は、追われている誰かはまだ生きているという事だから、そこは一安心だが……

 って……上に向かって動いている?

 

 追われている誰かが階段を登ったのか?

 よし、それならこのまま上の階から向かった方がいいな。

 俺はそう考え、再び上へと跳躍。

 天井に空けられた大穴から、上の階の廊下へと飛び移る。

 

「奴らの動き的には……この階の……あっちか?」

 俺は呟きながら左手奥の方へと視線を向けると、そこにあった教室へと踏み込む。

 そしてそのまま窓際に駆け寄って外を見る。

 

 と、薄紫色の霧に包まれた中庭を挟んで斜め前にも校舎が続いていた。

 なるほど……階段を起点にこっちとあっちに分岐する構造になっているのか。

 そして、階段を登って来た誰かは、こっちではなくあっちへ向かって逃げている……と、そんな感じか?

 

 そう考えて、魔法で視力を強化してみる。

 すると、霧と暗さでいまいち姿がはっきりしないものの、人影らしきものが見えた。

 そして、その後ろにはアンデッドどもだ。

 

 良く見ると、人影とアンデッドとの距離がどんどん縮まっていた。

 逃げていた誰かの体力が切れた……といった所だろうか? 

 まあ、ここまでもっただけでも凄いとは思うが。

 なんにせよこのままではまずい。急ぐとしよう。


 俺は即座に飛翔魔法を使って窓から飛び出す。

 そしてそのまま、人影の方――視線の先にある廊下へと中庭を横切る形で空中から接近。

 

 ……ん? あの制服は……咲彩のと同じ……か?

 咲彩の友人の可能性が高そうだな。

 

 そう思った直後、アンデッドの1体が咲彩の友人と思しき少女に飛びかかった。

 飛びかかられた少女は、押し倒されるような格好になって床へと倒れ込む。

 

 だが、それ以上やらせはしないというものだ。

 

 刹那、俺の放った魔法の槍が廊下の壁を破砕しながら、押し倒したアンデッドを穿ち貫く。

 

「グガアアァァァアッ!?!?」

 そんな驚愕と困惑、そして苦悶の入り混じった叫び声を上げながら消えていくアンデッド。

 

 ま、何が起きたのか理解出来ていなかっただろうな。

 なんて事を思いつつ、生み出した大量の魔法の矢を一斉掃射。

 

 その直後、立て続けに断末魔の叫びが響き渡り、少女に迫っていたアンデッドどもが、片っ端から消し飛んでいく。

 

 そんな光景を眺めながら、俺は全身に硬化の強化魔法を使うと、先程の槍で空いた穴にめがけて突進。

 当然、魔法の槍や矢で空けた程度の穴では俺の身体は通らないが、別にその穴を通る必要はない。

 そう……硬化の強化魔法で固くしてあるのだから、壁を破壊して穴を広げればいいのだ。

 わざわざ穴の空いた所を狙って突っ込むのは、傷一つ付いていない壁よりも穴が空いて脆くなっている部分を狙った方が楽だからだ。

 

 と、その直後、俺の身体が勢いよく穴――いや、壁に激突する。

 そして、そのまま難なく壁を粉砕し、倒れ伏している少女とアンデッドどもの間へと降り立った。


「え? あ? え?」

 少女の困惑するような声が聞こえてくる。

 背中を向いているので見えないが、どうやらこちらに顔を向けたようだな。

 

 ま、とりあえず今はアンデッドどもを掃討してしまうとしよう。

 話をするのはその後だ。

前回入り切らなかった分だけだと、どうにも話の進展が微妙な感じだったので、一気にここまで書いてしまいました。


……本当は璃紗のイメージ絵もアップしたかったのですが、ちょっと広めに修正している為、さすがにアップ出来る状態にまでもっていけませんでした……

明日の夜~明後日の朝あたりにアップすると思います。

(挿絵を追加する話はSCROLL1の『第14話 弓道場にて』を想定しています)


とまあそんな所でまた次回!

次の更新は……明後日12月15日(木)を予定しています!

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