第71話 動く者どもと駆ける者
「ヒドクトリミダシマシタゴメンナサイ」
何故か片言口調でそんな謝罪の言葉を口にする咲彩。
「別にいいブルけど……どうして立て続けに、こう駄目ブルされるブルか……」
なんて事を言って肩を落とす――じゃなくて、数学記号の∩ような形になるブルルン。
どうでもいいけど、駄目ブルってなんだ……? 酷い目って意味だろうか?
などと考えていると、ブルルンに対して霊体が、
「それは……その……。ある意味……自分から爆弾に火を付けに行ったような……そんな感じだからだと思う……よ?」
と、人差し指で頬を掻きながら告げる。
まあ……今回の件はたしかにその通りだとしか言いようがないな……。うん。
「えーっと、それはそれとして……なんだけど、あの化け物どもの気配がこっちに迫って来ているよ。それも大量に、ね」
アンデッドどもの気配を察知した亜里沙がそう言うと、その発言に続く形で、
「ま、あれだけバカ騒ぎしてりゃそうなるだろうなぁ……」
なんて事をため息交じりに言って肩をすくめる雅樹。
しかしすぐに、
「もっとも……ぶちのめせばいいだけの話ではあるがな」
という言葉を続け、右手をギュッと強く握った。
「それはそうだけど、ここだとちょっと狭いからさっきみたいな大立ち回りは難しいね」
「そうですね。さっきのような屋外であれば自在に動き回れますが、屋内だと、どうしても動きが制限されますね……」
「逆を言えば、大量の敵に囲まれる心配がないから各個撃破出来る状況でもあるな」
俺が紘都と舞奈に対してそう返した所で、ふと感じ取った邪な霊力の動き――アンデッドどもの動きに違和感を覚える。
「……うん?」
「どうかしたブル?」
「いや、どうやら、こちらに向かって来ているのは半分だけっぽいな。もう半分は、どこか別の場所に向かって動いているように感じる……」
「……たしかにそうね。半数は明らかにこっちへ向かっている動きではないわね。……もしかして、誰かを追っている……のかしら?」
「なるほどブル。言われてみるとそんな感じブルね」
改めて霊力を探ってみた俺に続き、かりんとブルルンもそんな風に言ってきた。
うーん……。たしかにこれは誰かを追っているっぽい感じの動きだな……と思っていると、
「もしかしてさっきの子かな?」
「あるいは、ボクの友達……かも!」
と、紘都と咲彩が言った。
そして咲彩が続けて、
「それってどっちの方なの?」
という問いの言葉を、俺とかりんを交互に見ながら口にする。
「――こっちの廊下をまっすぐ行った先の方からだな」
そう俺が告げると、
「なら、ちょっと見てくるよ!」
と言うやいなや、魔法で加速しながら駆け出す咲彩。
って、うおい!?
「お、おい、咲彩! ちょっと待て!」
雅樹はそう呼びかけつつも、止まるはずがないと考えたのか、同じく魔法で加速して咲彩を追いかけていく。
「……ど、どうしましょう? 私たちも追いかけましょうか?」
「感じる力の強さからすると、あのふたりでも十分だと思うが……まあ、念の為、俺が追いかけるとしよう。他の皆は迫ってきている奴らを仕留めといてくれ。挟撃状態に陥っても面倒だしな」
「わかりました。迫ってくる化け物は、ここで一掃しておきますね」
俺の返答に頷き、そんな風に返しながら、まるでガッツポーズをするかのように両手をギュッと握って見せてくる舞奈。
ちなみにそれは単なるポーズではなく、同時に強化魔法まで使っていたりする。
……何気に一部の魔法だけとはいえ、呪文詠唱なしで発動してるなぁ……
やはりこの世界の人間――全ての人間がそうというわけではないが――は、向こうの世界の魔法の習熟が早い気がするぞ……
なんて事を思いながらも、俺は「ああ、任せた」とだけ告げ、咲彩と雅樹の後を追った。
展開の話と全然関係ないのですが、舞奈とかりんのイメージイラストを用意しました!
(と言っても……AIでベースを作って、その上である程度手直しした程度の物ですが……)
第1話 土手沿いの道、少女との遭遇
第19話 体育倉庫での出会い
上記2話の一番下に挿入してありますので、一度御覧いただけますと幸いです(どういう感じのキャラなのか分かると思います!)
なお、もしAI画像をどう修正したのかについて興味がございましたら、活動報告の『Novel AI』の記事を御覧ください!(色々と細かく書いてあります)
とまあそんな所でまた次回!
次の更新ですが……現在書き終わった状態で既に1話分を超えそうな勢いなのと諸々の都合で、2話に分割して、まずは12月11日(日)の更新を予定しています!
(その次の更新は、12月13日(火)を想定してします)




