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第68話 魔法球を投げ込んでみる

「ふむ。洋館を思わせる部分が随所にみられる造り……。これは明治後期から昭和初期頃に建てられた学校……といった感じだろうか。なかなか興味深いね」

 校舎と思しき建物を見回しながら、そんな解説を口にする亜里沙。

 ある意味、『先生』感のある言葉だな……

 

「真正面に見えるのは、昇降口……でしょうか?」

「だと思うが、トラップが仕掛けられているかもしれねぇぜ」

 舞奈の疑問にそんな返事をする雅樹。

 

「……それで? 花子さんカッコ仮は、このまま真正面から入りたい感じ?」

「う……うん。たしかに……そう。もしかして……これも……?」

 かりんの問いかけに対し、不安そうな表情でそう返す霊体。

 

「ええ。そういう風に仕向けているという可能性も考えた方が良いわね」

「そうだな。まあとりあえずトラップがあるかないかは――」

 かりんに対して俺はそんな風に返すと、バスケットボール大の黒い魔法球をふたつ生み出す。

 そしてそのまま昇降口を見据え、

「――こいつを投げてみれば分かる……という奴だ」

 と言い放ち、ひとつを昇降口目掛けてボウリング――正確には、テンピンポウリングと言うらしいと聞いたが――の要領で転がしてみる。

 黒い魔法球は床を転がっていき、段差を登り更に転がる。

 

「なんというか……物理法則を無視した動きをしているね、あの魔法球」

「ん? 物理法則を無視? ああ、段差を登るって所か? そりゃまあ『魔法』だし、そんなもんだろ」

 咲彩と雅樹がそんな事を言う。

 

 まあ……たしかに普通のボールは段差を登ったりはしないな。

 なんて事を思っている間にも魔法球は転がり続け、遂に奥の壁にぶつかって消えた。

 それを確認すると俺は、

「どうやら、床に罠は仕掛けられていないようだ。次は……」

 と告げて、もうひとつの魔法球を無造作に放り投げる。

 

 魔法球は並ぶ下駄箱にぶつかって跳ね返るようにバウンド――せずに、バキバキッという音と共に下駄箱をぶち破った。

 

「うわぁ、盛大に壊していってるねー」

「なんだか、貫通弾でブロックを崩しているような気分になりますね……」

「打ち返す為のパドルはどこにもないけどね。というかあれ、爆裂したりしないのかな?」

 セラ、舞奈、鈴花がその光景を見ながら、そんな感想を口にする。

 

「さすがに爆裂したりはしないぞ……。まあそもそも、あんな風に簡単に砕けるとは思っていなかったんだが……」

 俺がそう返す間にも、魔法球は昇降口に並ぶ下駄箱を次々にぶち抜いていき、遂に右端の壁に激突。そのまま消えていった。

 その様子を眺めていた俺は、頭を掻きながら告げる。

「……想定とは違う形になったが、とりあえず壁や下駄箱にも罠はなさそうだ」

 

「……まあそうだね。とりあえず安全だという事は確認出来きたと言えるね」

「でも、そうなると……花子さんカッコ仮をここへ誘った存在と、あの黒い手は……別物? それとも、黒い手には別の思惑がある……のでしょうか? もしそうであるのなら、罠の類がないからといって無防備に進むのは危険ですね。警戒して進んだ方が良さそうです」

 亜里沙の言葉に続く形で、早速分析能力を発揮させた舞奈がそんな風に言ってくる。

 

 なるほど……たしかに罠はなくとも、アンデッドの待ち伏せや奇襲なんかがあるかもしれないな……。注意して進むとするか。

なんというか、妙に雑な感じのサブタイトルになってしまった気が……(他に思いつかなかったもので……)


とまあそれはそれとして、以前から話していた外伝ですが、4~5話分程度の内容で明後日(11月30日(水))に投稿します!

時間軸的には、SCROLL1で舞奈が魔法を使いすぎてダウンした翌日辺りになります為、その辺りに割り込む形で追加する想定です。

※投稿時間はいつも(12時)よりも遅い時間なってしまうと思います……


59話と60話の間にドバっと追加されます。

お読みいただく際には、追加されている場所にご注意ください。


なお、本編の更新に関しましては、その3日後(12月3日(土))を予定しています。

少し間が空いてしまいまして申し訳ないのですが、外伝を先にお読みいただければ、と……(外伝の話数もそこそこありますので……)


※追記

誤字を修正しました。

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