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第66話 復活するモノ、誘われる道

「どりゃぁぁっ!」

 雅樹がそんな掛け声と共に、魔導具で生み出した火球を放り投げた。

 と、その火球は一直線に飛んでいき……

「ゲギギィィッ!?」

 地面を凄まじい速度で這ってきた、長い手と鋭い爪を持つ上半身だけのゾンビもどき――テケテケなるものに似ていると舞奈が言っていた――に直撃。

 そいつはあっという間に炎によって焼き尽くされ、黒い炭と化して散っていった。

 

「なあ……。今の奴、さっきも倒さなかったか……?」

「そうだね。さっき僕が倒したね」

 首を傾げる雅樹に頷いてそう答える紘都。

 

「というか、さっきから同じ奴や似た奴が何度も出て来てるわね……」

「まあ、ゲームとかだと珍しくもないですけどね」

 かりんの言葉に対して、舞奈がそんな風に返すと、

「それはそうかもしれないけど……。うーん、なんかおかしいような……」

 なんて事を呟くように言う鈴花。

 

「なんかおかしい? それはどういう事だい?」

「えーっと……何がおかしいのかは、自分でも良く分からないんだけれど……。漠然とそう感じるというかなんというか……」

 亜里沙の問いかけに対し、鈴花は額に手を当てながら、そんな風に返す。


「でも、たしかに何か不自然ブルね。雅樹が倒した奴と紘都が倒した奴は、霊力と思われる力の質が全く同じだったブル」

「全く同じ? 同じ系統……同種族のアンデッドでも、個体が違えば霊力の質――形とも言うべきもの――は、少しずつ違うはずだが……」

 ブルルンの言葉に俺は思考を巡らせながら呟く。


「まさかこいつら……倒しても復活する……とか?」

「……その可能性は十分考えられるな」

 咲彩の言葉に同意するようにそう返しつつ、周囲に残っているアンデッドどもの数を、素早く数えてみる。

 

 ……復活するのだとしても、明らかに数は減っている。

 それはつまり……

「だが、そうだとしてもこちらの撃破速度と比べると、再度出現――復活するまでの間隔の方が長いと考えていいだろう。無限に倒し続けなければならないという事態は回避出来そうだ」

「要するに、このままガンガン倒していきゃいいっつー事だな」

 俺の推測を聞いた雅樹が、右の拳を左の手のひらに打ち付ける。

 

「ま、そうなるな。とはいえ……視界に入る奴らを素早く一掃したら、この場から離れるとしよう。ここに留まっていると際限なく襲われそうだ」

 そう俺が告げると、皆が静かに頷き、各々が手持ちの魔法で攻撃を始める。

 

 ――そして、幸いにもこちらは人数が多い事もあり、それからあまりかからずに、目に見える範囲のアンデッドを掃討する事に成功した。

 

「よし、途切れた! 一旦ここから離れるぞ!」

 俺はそう告げると、

「……うーん……。こっち……へ行くと、安全……そうな、そんな気がする……よ」

 なんて事を言いながら、黒い月が真正面に見える方へと伸びる道を指し示す霊体。

 

 さすがにこの場所の構造や地形は把握出来ていないので、俺たちは霊体のその発言に乗って、霊体の指し示す方へと駆ける。

 

 すると……程なくして、木造の大きな建物が見えてきた。良く見ると建物の前には校庭のようなものがあった。

 ……というか、どうみても校庭だな。石灰だか卵の殻だかで引かれたと思われる、徒競走用の白線が見えるし……

 

「あそこは……古い学校……とかなんでしょうか?」

「まあ、雰囲気的にはそんな感じよね。……正直、『何者かに(いざな)われている』感が拭えないけれど……」

 疑問を口にした舞奈に、そんな風に答えるかりん。

 

 何者かに(いざな)われている……か。

 たしかに、俺もそんな風に感じているんだよなぁ……。どうすっかなぁ……

ちょっと中途半端な所ですが、ここで区切らないと区切れそうな場所がかなり先になりそうな感じだったので、一旦区切りました。


とまあそんな所でまた次回!

次の話も結構出来ている状態の為、次の更新も平時より間隔が1日短くなりまして……11月25日(金)を予定しています!

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