表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
222/503

第63話 術式実行準備

「そ、それなら早速やってみよう! もし上手く行く事が出来たら、ボクの友達――美香に楓に紡を助け出す事が出来るし!」

 行ける可能性があると分かった途端、咲彩が前のめりにそう言ってくる。

 

 その勢いに押されて、若干後ずさる俺。

 とはいえ、その気持ちは理解出来るというものなので、

「あ、ああ、そうだな。失敗した所で何かあるわけでもないし、やるだけやってみるとするか」

 と、そう答える俺。

 勢いに押されて頷いたわけではな……いや、ちょっとあるかもしれない……

 

「そうね。私、透真……それから鈴花の力でどうにか出来そうね。あと、透真の膨大な魔力を直接行使する手段を持つという意味では、舞奈とブルルンも補助役として勘定に入るかしらね?」

「まあ、俺から吸い上げた魔力を変換する必要があるからそうなるな。それで言うなら、れいた――花子さん……カッコ仮とセラも鈴花と同じ枠だな」

「え? 私? セラちゃんと花子さんカッコ仮は、なんとなく分かるけど、私?」

 急に勘定に入れられた鈴花が、自分を指差しながら、驚きと困惑の入り混じった声でそんな風に問う。

 

「ええそうよ。だって、鈴花も私と同じような力を持っているわけだし」

「な、なる……ほど? でも、何をどうすればいいのか良くわからないけど……」

 かりんに対し、納得しきれていない表情でそう答える鈴花。

 そこへかりんが、更に補足するように告げる。

「まあ簡単に言うなら、鈴花たち3人はいわゆるポットのような感じというか……『力の供給源』みたいな感じだと思えばわかりやすいかしらね? 特に複雑な事はしなくても大丈夫よ。簡単な方法で力だけ供給してくれればいいわ」


「あ、なるほど。それならたしかに私でも出来るかも。……干からびたり、レベルが下がったりしないよね?」

 納得しつつもそんな事を問いかけてくる鈴花に、

「しないから大丈夫よ……。そもそも、なんのレベルなのよ……」

 と、やれやれと言わんばかりの表情で、呆れ気味に突っ込むかりん。

 

「魔法レベル?」

「……ロストはしなさそうですけど、回数が減りそうですね。それともどこかの塔に出てくるモンスターですか? ……って、そうではなくて! さっさとやりますよ!」

 更にボケる鈴花に対して、そんな返事をしながらセルフ突っ込みをする舞奈。

 

 どっちも昔のゲームだったっけか……。まあ、舞奈らしいと言えば舞奈らしいが。

 なんて事を思っていると、

「ふたりとも『ここでボケて』ないでやるよー」

「よ、良く分からないけど……手伝えるなら……手伝う……よ」

 と、セラと霊体がそんな風に言った。

 

 ……なんだか、セラが妙な所を強調したような気がするが……

 って、鈴花と舞奈も何を考え込んでいるんだ……と突っ込みたくなったが、それをすると話が進まないので、俺は心の中で突っ込みながらスルーして告げる。

「なら、始めるとするか。ブルルン、周囲の術式を擬似的に発動させる魔法を構築するぞ」

 

 それを聞いたブルルンが、上向きになりながら「了解ブル!」と前足を片方だけビシッと上げてくる。そして、そのまま天井付近まで浮上し、魔法陣を展開し始めた。

 

 俺もまたそれに合わせるようにして、床に魔法陣を展開しつつ、

「阿良木先生、机の上に本を置いて、例のページを開いてくれませんか?」

 と、亜里沙の方を見て告げた。

 

「はいよ。えーっと……49ページだったはず……」

 そう言いつつ机の上に例の本を広げる亜里沙。

 

「で、えーっと……かりんは別にやる事があるから……舞奈、セラ、鈴花、そして花子さんカッコ仮の4人で、先日咲彩がやったのと同じ方法を試してくれ。咲彩、説明を頼む」

 俺がそんな風に言うと、「了解したよ!」と返してきた咲彩の説明に従う形で、4人が机を取り囲んでなにやら儀式っぽい事をし始めた。

 

 直後、僅かではあったが、49ページに記されている術式がドクンと鼓動する。

 

 お、反応したか。あとはここに魔法陣で擬似的に変換した『力』を流すだけだな。

 かりんにこの役を任せたいと思って、儀式役から外したんだが、果たして出来るのだろうか……? 俺としては出来る思っているんだが……と、そんな事を心の中で呟きながら、かりんへと問う。

「で、かりんは、その本の術式に力を流し込んで欲しいんだが……出来そうか?」

 

「ええ。それなら呪符に力を込めるのと同じ様なものだから楽勝よ。というか、そうだろうなって思っていたし」

 なんて事を、自信満々に言ってきた。

 

 出来ないとは言われないと思ってはいたが、随分と自信満々だな。 

 でもまあ……たしかに呪符を作る際の工程のひとつと同じだと言えば同じか……

 

 そう考えると、やはりかりんが一番適任と言えるな。

 よし、それならそちらはかりんに全て任せてしまおう。

 そうすれば、想定外の事が起きても対処する余裕が出来るし、上手くいく可能性が高まるというものだ。

妙な所でボケたせいで思った以上に長く…… orz

というわけで、一旦ここで区切ります。


諸都合で更新の間隔が平時よりも多く空く予定でしたが、上記の理由により、まだ半分ほど残っているので、間を取って明後日更新いたします。

なので、次の更新は明後日11月19日(土)で、その次の更新が11月21日(月)の予定となります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ