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第48話 黒志田

 魔導具と呪符の配布も一通り終わった所で、改めて咲彩の学校へと向かうべくゲートを開く俺。

 

「うーん、やっぱり転移魔法便利すぎるね! しっかりばっちりくっきり、駅の裏手が見えるよ!」

「相変わらず妙なテンションだな……」

 雅樹はやれやれと首を横に振り、咲彩に対してそんな突っ込みを入れると、そのまま俺の方を向き、

「でも、学校の敷地内じゃないんだな」

 という問いの言葉を投げかけてきた。

 

「ああ、ちょっとばかし直接踏み込むのは危険そうな感じがあってな。っと、そうだ。咲彩、これって誰だかわかるか?」

 そう返事をしつつ、俺はスマホを操作し、例の男性の写真を咲彩に見せる。

 

「あ、それは黒志田先生だね。ウチのクラスの古文を担当している先生だよ」

 さすがに知っているらしく、サラッとそんな風に告げてくる咲彩。

 古文の教師、か……。どうやら司書ではなかったようだ。

 

「でも、なんでこんな真っ暗な図書室に……?」

「それは分からん。……が、俺が下にいる事に気づいていて、なおかつゲートを設置する魔法を使ったのを認識していた可能性がある」

 問いかけてきた咲彩に対してそう説明した所で、

「ふむ……。その黒志田という人物は、魔法の類を感知する力なり技なりを有している……?」

 と、今まで聞く事に徹していた亜里沙が、呟くようにそう言った後、

「――追跡はされなかったのかい?」

 という質問を、俺の方を見ながら投げかけてきた。

 

「隠蔽魔法を使っただけで俺の姿を見失ったようでしたし、駅に別のゲートを設置する際にも念の為に追跡や尾行の可能性を考えて確認しましたが、問題はなかったので、その可能性は皆無に等しいかと」

「なるほど……ね。それなら一旦問題はなさそうだね」

 亜里沙は俺の説明に対して、納得の表情でそう返事をした後、

「とはいえ……怪しい人物である事に間違いはないし、見つけたら拘束して、じっくりと話を聞きたいものだよ」

 と続け、やれやれだと言わんばかりに首を横に振ってみせた。

 

「まあそうですね。――っと、開きっぱなしで誰か来たら面倒なので、とりあえず向こうへ移動してしまいましょう」

 俺は亜里沙に対してそう告げて防水魔法を使うと、ゲートをくぐって駅の裏手へと移動した。

 その俺に続く形で、皆が雨合羽を着用しつつ、次々にゲートをくぐってやってくる。

 

「わわっ、この雨合羽凄いっ! 全然濡れないっ!」

 そんな驚きの声を上げながら最初にやって来たのはセラだ。

 なんとも不思議な雨具――いや、簑笠を纏っている。

 

 ……本当は宿で待っていて欲しかったのだが……ひとりだけ残していくのも逆に危険だという事で、こうして一緒に来ている感じだ。

 

「セラちゃんの簑笠姿、ちょっとお地蔵さんみたいな感じもしますが、とても似合っていて可愛いですね」

「ああ、たしかにな」

 俺は舞奈に対して短くそう返した所で、ふと思い出す。

 

 ……ってか、この簑笠という雨合羽の形状、なんだか向こうの世界の竜の鱗で作られた雨合羽兼鎧を思い出すな。まあ、強度は全然違うが。

 うーん……。折角だから、靭やかさを残しつつ鎧並の性能を与えておくか。

 

 そう思い、セラの簑笠に強化魔法を付与する俺。

 っと、そうだ。広域の防水魔法も展開しておかないと……

 

 ……と、そうこうしているうちに、次々にゲートをくぐって駅の裏手へやって来る。

 そして程なくして、「私で最後だね」という言葉と共に亜里沙が現れ、全員がこちらへと集合した。

 

「うっし! そんじゃあ早速、咲彩の学校へ向かうとすっか!」

「そうだな。ただし……周囲を確認しつつ、慎重に……な」

 俺は雅樹の言葉に頷いてそう返すと、周囲を探りながら、学校の方へ向かって歩き出した――

図書室にいた男について問うタイミング、本当はもう少し早かったんですが、

他の説明や会話が長くなった為、結局こんなタイミングに……

ちょっと遅すぎたような気もしています……


ま、まあ、それはそれとして……

次の更新ですが、平時通りの間隔となりまして、10月14日(金)の予定です!

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