第47話 呪符と魔導具とゴミ袋
「一応……だが、もしかしたら咲彩も、小規模な転移なら使えるようになるかもしれないぞ。資質的には掠っているからな」
そんな風に俺が告げると、
「え!? そうなの!? それってどんな!?」
と、驚きつつ食い気味に問いかけてくる咲彩。
「あ、ああ……俺のと比べて、設定出来る行き先が少ない以外は、ほぼ同じような感じだな」
「それでも十分便利だよ! それも呪符や魔導具で使えるように……?」
「いや、さすがに転移魔法を呪符や魔導具でどうにかするの無理だ。使いたいのなら、自力で習得して貰うしかないな」
「それは残念……。でも、使えるようになるんなら……是が非でも……」
俺の返答に対し、肩を落とした後、小声で呟きつつ何やら気合を入れる咲彩。
さしずめ、俺たちが住んでいる街まで簡単に行けるようになりたい……といった所だろうか? いや……それとも、雅樹に会う為……とかだったりするんだろうか?
なんて事を考えていると、いつの間にかゲートをくぐって戻ってきたかりんが、
「とりあえず全部持ってきたわ」
と言って、透明なゴミ捨て用の袋を畳の上に置いた。
「いや、なんでそんな所に入れてんだ……」
「ですよねぇ。一度、危うく燃えるゴミに出しそうになりましたよ……」
呆れる俺に続く形で、そんな事を口にしてため息をつく舞奈と、その舞奈の言葉に「うんうん」と首を縦に振って同意するセラ。
「ほ、他に大量の呪符を入れておくのに丁度いいものがなかったのよ。昔は桐箱とかに入れていたけど、今だと手に入れにくいし、数が必要だし……。で、でもほら、一応小さい袋でちゃんと分けて入れてるから、区別もつきやすいわよ」
総ツッコミを食らった形のかりんが、そんな風に俺たちに返しながら、中に入っていた小さい袋をテーブルの上に並べてみせる。
「たしかに、ごっちゃにはなっていないが……。まあ……いいか」
やれやれと思いながらそう口にすると、俺は魔法収納空間から魔導具を纏めて取り出す。
「短剣、短杖、宝玉……色々な形状のものがあるね」
魔導具を眺めながらそんな感想を口にする紘都に続く形で、
「うーん! いかにもマジックアイテムって感じだね! テンションが上がるっ!」
と、声を大にして言う咲彩。
両手でガッツポーズをしており、自ら言った通りテンションが上がっているのはとても良く理解出来た。
「とりあえず資質に合わせた物を渡して、説明するとしようか。呪符の方はかりんに任せる」
「ええ、分かったわ」
かりんは俺に対して頷いて見せた後、舞奈の方へと向き直り、
「――舞奈、悪いんだけど、ちょっと数が足りなさそうな呪符があってね……。複製しておいてくれないかしら? 私でも複製自体は出来るけど、舞奈の魔法と比べて維持させられる時間が短いし……」
と、そう言葉を投げかけた。
「あ、はい、わかりました。それではチャチャッとやってしまいましょうか。朝まで探索なんて事になっても困りますし」
セラの方をチラッと見ながらそんな風に言ってきた舞奈に、俺は「ああそうだな」と短く返事をすると、皆に魔導具や呪符を配りつつ、使い方について説明していった――
なんともあれなサブタイトルに……
それはさておき、次回からは夜の学校探索編です(すぐに学校探索というわけではないですが……)
そして、その次回の更新ですが……当初の予定通り明後日(10月11日(火))を想定しています!




