第19話 体育倉庫での出会い
――そんなわけで、早速体育倉庫へとやってきた俺と舞奈。
そういえば、勢いで来てしまったが……カラーコーンとコーンバーってどんな代物なんだ?
さすがにここまで来ておきながら、そんな事は聞けないので、
「……カラーコーンとコーンバーはどこにあるんだ?」
とだけ問う俺。
さすがに舞奈はどういう代物なのか知っているだろうし、大丈夫だろう。
……もし知らなかったらどうしようか……と、一瞬思ったが、それは杞憂だった。
「えっと……。いつもならあの辺りに……って、おかしいですね……見当たりません」
体育倉庫内の一点へと顔を向け、そう言ってくる舞奈。
「誰かが持ち出した……のか?」
「うーん……たしかにその可能性が高いですね……。困りました……」
これは、一旦戻って結城先生に話すか、聞き込みをするしかさそうだな……と考えていると、
「カラーコーンとコーンバーを探しているのかしら?」
という声が棚の陰から聞こえた。
「ん? 誰かいるのか?」
「ええ、いるわよ」
俺の呼びかけにそう返事をし、棚の陰から声の主――というか、ロングヘアーの女子生徒。
……舞奈の髪よりも更に長いな。床に付くんじゃないか? って思うくらいだ。
ネクタイをはずしてしまっている為、何年生なのかは分からないが、感覚的には同じ学年か下の学年な気がする。
だが……なんだ? この妙な違和感は……
俺が、女子生徒に対して抱いた妙な違和感について思考を巡らせていると、
「それで? ふたりはカラーコーンとコーンバーを探しているのよね?」
と、女子生徒が不思議そうに小首をかしげながら、改めて問いかけてきた。
おっといかん、そうだった――
「ああ。結城先生に言われて、カラーコーンとコーンバーを取りに来たんだが……見当たらなくってな。知っているなら教えて欲しい」
俺は女子生徒にそう答える。
「ええ、知っているわよ。――30分くらい前に、陸上部の生徒が持ち出していったのを、ここで見ていたもの」
「あ、やっぱりそうだったのですね」
女子生徒の返事に対し、納得したように言う舞奈。
「どうする?」
「そうですね……。全部使うという事はないでしょうから、グラウンドに行って陸上部の方に話をしてみましょうか」
「了解だ」
俺は舞奈に頷くと、教えてくれた女子生徒の方を見て、
「あ、教えてくれてありがとな」
と、言葉を続けた。
舞奈もまた、それに続く形で頭を軽く下げてお礼の言葉を口にする。
「どういたしまして。私はもう少し学校内にいるから、何か用事があったらまた話しかけてくれてもいいわよ」
そう言ってきた女子生徒の言葉に、俺は再び妙な違和感と、言葉自体への引っ掛かりを覚えたが、結局それらが何であるのかは分からずじまいであった――
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何やら妙な女子生徒と遭遇したようですが……?
という所で、本日の連続投稿は終了です!
(投稿直前に微調整したい箇所が多かった為、若干遅くなりました……)
また、明日よろしくおねがいします!
※追記
2022/12/9
キャライメージ用に、遭遇した妙な女子生徒のイメージイラスト(挿絵)を追加しました。
こちらも第1話の舞奈同様、ある程度手直ししてはいますが、ベースはAIです。
実は舞奈よりも何気にあちこち修正しています。
(指は全力で直すと、もう描き直してるのと同じじゃなかろうか……と思ったので、ある程度の所でやめました……。なので、いかにも直し途中な片鱗が……)
ちなみに、どこをどう直したのか気になる方は、活動報告の「Novel AI」を御覧ください!
※そちらでは、ばっちり『名前』が表示されているので、ご注意ください。




