第39話 温泉とセラとブルルン
「ま、それも含めて色々と調べてみるしかないな……。って、そういえば舞奈はどうしてひとりでここに?」
「あ、実はちょっと調べ物をしていて、温泉にまだ入っていなかったもので……夕食の時間まではまだ少しあるので、今の内に入ってしまおうかと思いまして……」
俺の問いかけにそう返しつつ、昨夜、温泉に行く時に使っていたのと同じ――しかし、色の違う袋を見せてくる舞奈。
「ああなるほど、そういう事か。たしかに温泉に入るくらいの時間はまだあるな」
「はい。――透真さんも今の内に入ってしまってはどうですか?」
頷いてそう提案してくる舞奈に、俺は少し考える。
「うーん……。そうだなぁ……」
タオルとかは部屋から持っていかなくても、大浴場の入口に積まれているのがあるから、それを使えばいいし、舞奈と違って入るだけならば、他に何もいらないか。
そう結論を出した俺は、
「入って出るだけなら大して時間もかからないし、そうするか」
と答えて、そのまま舞奈と一緒に大浴場の方へと向かう。
すると、『家族風呂・貸し切り中』と書かれた扉の所で、
「ふああぁぁぁ……。これブルこれブル、この感覚、やっぱり最高ブルゥ……」
なんて事を言いながら、ふやけた顔で中から出てくるブルルンと遭遇した。
いや、正確に言うとセラに抱きしめられている状態のブルルン、か。
……周囲に人がいないので、声が出ている事に関してはまあ問題はないだろうが……なんだか全体的に妙な絵面だなぁ……
誰かに見られたら、あんなふやけた顔のヌイグルミなんてあるんだろうか……? なんて事を思われそうだ。
って、その前に、どうしてヌイグルミを抱きしめているのか……という部分で引っかかる人もいそうな気がするな……。見た目の年齢を考えれば、そこまで気にされないかもしれないが。
とまあ、そんな感じであれこれ思考していると、こちらに気づいたセラが、
「あ、トー兄様に舞奈お姉ちゃん。もしかして、これから入るのー?」
という問いの言葉を投げかけてきた。
「ああそのつもりだ。ちょっとばかし出かけていたからな」
「はい。調べ物をしていたら少し遅くなってしまいまして……」
俺と舞奈がそれぞれそんな風に返事をする。
「セラちゃん、家族風呂というのはどんな感じでしたか?」
「んー、露天風呂に屋根がついたような感じ……かなぁ? 大浴場とかに比べると狭いけど、それでもウチのお風呂の10倍くらいはあったかもー」
「なるほど、それは十分広いな」
舞奈の質問に答えるセラに対し、俺はそう言いながら頷く。
「雨風が強くなってきたブルからか、湯気を外に出す為に屋根と壁の間に設けられた隙間から、少し雨が入ってきていたブルね」
「だねー。まあ、大して気になる程じゃなかったけど」
「ブルッ! 他の人は誰も入って来ないから、存分にブッルブッルブッル出来て最高だったブルよ」
ブルルンとセラがそんな風に言葉を続けてくる。
たしかに真っ直ぐな雨ではなくなっていたし、隙間があるのならそうなるよな。
「ブルルン、ブッルブッルブッルじゃなくて、ブルブルブルブルブルだよ」
「そうだったブル。存分にブルブルブルブルブル出来て最高だったブル」
なんて事をセラとブルルンが言ってくるが、相変わらずなんなのか良くわからないな。
というか、『ブル』が更にひとつ増えてるし……
まあ、セラとブルルンが気に入っているのなら、別になんでもいいが……
相変わらず謎なブル(略)です……
とまあそんな所でまた次回! 次の更新は、明後日(9月21日(水))を予定しています!




