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第36話 ブルルンとセラと……

「うーん……どうする? これから行ってみる?」

 考えながらといった感じで問いかけてきた鈴花に、

「時間的に微妙な所だよね……。夕食の時間に宿にいないとマズそうだし」

「しかも、外は雨降ってるよー? それも結構……」

 と、紘都とセラがそれぞれ返事をする。

 

「たしかにちょっと今は微妙な時間帯だな……。かと言って明日にするのもなぁ……」

 そう言いながら、一瞬俺だけ行くというのもありじゃないかと思ったが、それはそれで色々と面倒な事になりそうな気がしたのでやめた。


 どうしたものかと思っていると、

「それなら、夕飯の後にすればいいのではないかな? 咲彩の両親であれば『色々と理解してくれる』だろうしね」

 なんて事を言ってくる亜里沙。

 

「なるほど……。たしかにそうするのが良さそうな感じだな」

「そうね。それに……こういうのは、夜の方が色々とやりやすい気もするわ」

 頷く俺に同意するようにかりんがそう言うと、

「そうブルね。しっかり温泉に入って身体を温めてから行くブルよ」

 などとブルルンが言った。……そこはあんまり関係ないような……


「……それ、ブルルンが温泉に入りたいだけじゃないのー?」

「そ、そんな事はないブルよ!」

 セラのツッコミに対し、驚きの表情と共に身体を左右に振って否定するブルルン。

 ……その表情をした後だと否定にならない気がするぞ……と、そんな風に思っていると、

「ブルルン……だっけ? そのヌイグルミの使い魔も温泉入るの?」

 という、昨日から定番になりつつある疑問を投げかけてくる咲彩。

 

「ああ。温泉に浸かっても大丈夫だからな」

「そうだな。その事は俺もこの目で確認済みだ」

 俺の返答に続くようにして、そんな事を言う雅樹。

 

「あ、そうなんだ! さすがは魔法って感じだね! でも、他のお客さんに見られたりしないの?」

「そいつも大丈夫だ。隠蔽魔法で姿を隠して入ってるからな」

 咲彩の問いに対し、雅樹が俺に代わってそう答える。

 

「ま、あまり離れると魔法の効果が切れてしまうから、一緒に入る必要があるけどな」

 俺が補足するようにそう言って肩をすくめてみせると、

「あ、それなら貸し切り家族風呂を使えばいいと思うよ。貸し切りにすれば他のお客さんが入ってくる事はないしね」

 なんて事を言ってくる咲彩。

 

 その咲彩の言葉を聞いたセラが、

「あ、そんなのがあるんだ。じゃあ、ブルルンと私で借りて入ろうか! ブルブルブルブルしてあげるよ! というか、させて!」

 などと、俺よりも先に口にした。……どうでもいいけど、『ブル』がひとつ増えてないか……?


「ブッルルーン! もちろん構わないブルよ! ……ご主人、構わないブルよね?」

 セラに向かって構わないと言ってから、ハッと思い出したかのような顔になり、改めて俺に問いかけてくるブルルン。

 

 なんか今、セラに対して条件反射的に承諾した感じだったな……

 実に幸福感に満ちた顔で、『ブッルルーン!』なんていう妙な声を発したし……

 

 なんて事を思いつつも、別にセラと一緒に温泉に入っても特に問題はないので、

「ああ、好きにしていいぞ」

 と、そう答える俺。


 そんな俺に、コテンと小首を傾げつつ、

「トー兄様も、一緒に入る?」

 などと問いかけてくるセラ。

 

「そ――」

「っ!?」

 何やらとても驚きの表情をした舞奈によって、俺はブルルン同様、条件反射的にそうだなと同意しかけたその言葉を飲み込んだ。

 そして速やかに言葉を紡ぎ直す。

「……そ……それは……さすがに……やめておく……」

 

 ……冷静に考えれば、色々とまずい。

 舞奈の表情を見ていなかったら、危険だったかもしれないな……

 

 なんて事を思っていると、

「むぅ、残念……」

 と、セラがブルルンを抱きかかえながら、本当に残念そうな顔で言ってくる。

 だが、こればかりは頷くわけにはいかないというものだ。

 

「いやいや、当たり前でしょうに……」

 そう言って肩をすくめるかりんと、「あはは……」と、困惑した表情で笑いを浮かべる舞奈。

 

「ま、とりあえず貸し切りの手続きしてくるよ」

 と告げて、セラとブルルンの為に貸し切る手続きをしに向かう咲彩。

 

 その咲彩の背中を見送った雅樹が、肩をすくめながら、

「んじゃまあ、俺たちは大浴場の方へ行くとすっかね」

 という誘いの言葉を、俺と紘都に対して投げかけてくる。

 

「あ、うん、そうだね」

 紘都は了承の返事をしたが、俺は『その前にちょっとやっておく事』があるので、

「俺は少し準備しておきたいものがあるから、温泉に入るのは後にするよ」

 と返して断っておいた。

 

 なにしろ、『それ』をやっておかないと、移動が面倒だからな……

何故か昨日の分よりも少し長くなりました……(何)

一瞬、サブタイトルを『ブッルルーン』にしようかとか思いましたが、(今更感ありつつも)意味不明すぎる気がしたので、こんな感じに落ち着きました。


といった所でまた次回! 今回の話は昨日の残り半分といった感じであった事もあり、次の更新は、『当初の次の話』の更新想定日である、明後日(9月15日(木))を予定しています!

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