表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/503

第27話 起きた事とこれから

やや長めです。

「――大体分かりましたが、皆で話を纏めた方が良さそうな感じではありますね」

 咲彩の話を聞き終えた所で、そんな風に言う舞奈。

 それに対して、

「たしかにそうだね。それじゃあ、まずは僕から……。咲彩さんとその友達――というかオカルト研究部の面々が、学校の図書室でオカルト本を見つけたのが事の発端になるんだよね」

 と、舞奈に同意した紘都が口にする。


「そうね。それに記されていた儀式を試してみたら、奇妙な声が聞こえてきた……と、そういうわけね。……オカルト本の中に『本物』が混ざっていたって所かしら」

 かりんが咲彩の話の内容を口にしつつ推測を述べると、それに対して肩をすくめながら言葉を紡ぐ雅樹。

「そういう事なんじゃねぇか? で、声と同時に足元に紫色の渦……あるいは沼とでも呼ぶべき代物が出現して、そいつに咲彩3人が飲み込まれた……と」


「で、気づいたら山奥の廃村のような場所にいて、そこはどれだけ時間が経過しても夜のままで、朝にならない場所だった……と。なんというか……いかにもホラーな場所だね」

 と言った鈴花に、俺は腕を組みながら返事をする。

「たしかに『常夜』というのはホラーにうってつけではあるな。おそらく時空が歪んでいる異次元空間のような所なんだろうが」


「一緒に飲み込まれた3人はまだそこにいる可能性が高いんだよね? なんとかして助けないと……っ!」

「そうですね……。咲彩さんの話によると、『その場所では何度死んでも蘇る』という事でしたので、咲彩さんのお友達がすぐにどうこうなる可能性は低いと思いますが……なるべく早くどうにかしたいのはたしかですね」

 セラに対して頷きながらそう返す舞奈。


「そうだな。いくら蘇るとはいえ、何度も死ぬのは魂の方が危険だし、精神的な負担も大きいだろう。急いで助け出したいのは山々だが……そのオカルト本とやらを実際に見てみないと、どうやればそこへ行けるのか分からんからなぁ……。多分、阿良木先生が警察から借りてくるだろうから、それを待つしかないな……」

「うーん……その山奥の廃村のような場所ってそもそもなんなのかしらね? 透真の言う通り、異次元空間に存在するっていうのはなんとなくわかるけど……」

 舞奈へ返事をした俺に続くようにして、顎に手を当てながらそんな疑問を口にするかりん。


「そうだな……。考えられるのは、なんらかの大掛かりな術式――儀式によって、どこかにあった村とその周囲をごっそりとこう……切り取るような感じで異次元空間に飛ばしたか、あるいは位相をずらして異次元空間化した……というものだな。ただ……どうやってそれを成したのか、そして……何故そんな事をしたのかという点は、現時点では謎でしかないな」

 俺が指で『切り取る』仕草をしながらそんな推測を口にすると、

「……村とその周辺を切り取って、異空間に飛ばしたか、あるいは位相をずらした? そんな事出来るの?」

 と、首を傾げながら半信半疑といった感じで、更に疑問を口にするかりん。


「そうだな……。かなりの労力と魔力が必要ではあるが……出来なくはないな。それこそ『魔王』や『賢者』なんて呼ばれるような、高レベルの魔法を使える連中の中には、誰にも見つからないよう、自分の棲家をそういう風にしていたりする奴もいるし」

 そんな風に俺が返事をすると、鈴花が、

「魔王なんて存在してたんだ……」

 なんて事を呟いた。


 もっとも、向こうの世界では……だが。

 というのは口に出さず、心の中でだけ言っておく。


「ところで、咲彩はどうやってその村から脱出したんだ?」

「それが……。いまいち良く覚えていないんだ……。あちこち逃げ回っていたら、朽ち果てた鳥居があって、そこをくぐって山道へ入った記憶はあるんだけど……。あれ、その後また村に戻ったんだっけ……? いや、それは夢……? うーん……?」

 雅樹の問いかけにそんな事を呟くように言って唸る咲彩。


「……良く覚えてねぇってのは理解したわ」

 そう口にしながら、やれやれと首を横に振ってみせる雅樹を見ながら、

「……山道か。セラが『ウニョーンとしたもの』を山の方から感じたというから、おそらく咲彩が寝ていた木の先――というか山のどこかに、『出口』となるような何かがあるのかもしれないな」

 と、そう告げる俺。


「阿良木先生が戻ってくるまで、ただ待っているのもなんですし、ちょっと山の方へいってみます? 昨日調べた感じですと、あの階段の先は神社があって、そこまでは道が続いているみたいですよ」

「そうだな……。もしかしたら、なんらかの情報が得られるかもしれないし、行くだけ行ってみるとするか」

 俺は舞奈の提案に対し、頷いてそんな風に答える。


 もし何か不測の事態が起きたとしても、ゲートで戻ってくればいいだけの話だし、な。

というわけで、次の話から山の探索です。


今回も少し長めになってしまいましたが、他の所で区切ってしまうと、どうにも次の話への繋がりが悪い気がしたので、ここまで進めてしまいました。


……などと書いているように、次の話はかなり出来ている状態ですので、次の更新は明後日(8月30日(火))を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ