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第20話 ウニョーンブレイク

今回は、やや長めです。

「奇妙な気配を感じて来てみたら……やっぱり、何かあったみたいね」

 咲彩の部屋へ向かう途中で遭遇したかりんがそんな風に言ってくる。

 

「ああ。セラの言っていた『ウニョーン』が現れた。どうやら再び咲彩を取り込もうとしているようでな。魔法の力で弾けるとは思うが、念の為に確認しに行く所だ」

 移動しながらそう説明すると、

「執念深いわねぇ……。やっぱり根幹の部分をどうにかしないと駄目そうね」

 と、ため息混じりに呆れた表情で首を横に振ってみせるかりん。

 

『明日……いや、もう今日だけど、朝イチで県警の方に学校で発見された物を貸して欲しいと連絡しておくよ。阿良木君、すまないけど回収してきてくれないかい?』

 通話状態のままになっているスマホから、そんな桜満の声が聞こえてくる。

 

「承知しました。たしかに、それがあれば色々と状況が進展しそうですね」

「そうだな。元凶に直接こちらから何か仕掛けられるかもしれない」

 亜里沙に続く形で、俺が同意の言葉を口にした所で、咲彩の部屋が見えてくる。

 

「……なるほど。ここまで『濃ければ』私にも見えるわ。でも、部屋の中に入れないでいるような感じね?」

 かりんがそう言うように、黒い縄のようなものは、咲彩の部屋のドアノブに絡みついているものの、そこで止まっていた。

 

「魔法の力が、しっかり機能しているようだな。今の内にたたっ斬ってしまおう」

 俺はそう言いながら白く光る魔法剣を生み出し、絡みついていたそれを斬り裂く。


「こういうのって普通、斬り裂いてもすぐに復活してしまうんじゃ?」

 と、かりんが言うとおり、黒い縄のようなものは復元しようとし始めるが、そうはさせないというものだ。


「消し飛べ」

 という言葉を発すると同時に、魔法剣の先端を復元しようとし始めているその部分に突き刺す俺。

 

 直後、黒い縄がまるでガラスが砕け散るかの如く勢いよく粉々に砕け、そして黒い粒子を散らしながら消え去っていく。

 

「これで、この黒い縄みたいなのが伸びてきている『その大元』まで破砕した。しばらくは仕掛けて来られないだろう」

「相変わらず無茶苦茶だねぇ……」

 俺の発言に、呆れ気味にそう返してくる亜里沙。

 横のかりんも、口にはしないものの同じ事を思っているらしく、肯定するようにウンウンと首を縦に振っている。

 

『でもまあ、これでとりあえず安心というものだね』

「そうだな。……ただ、奴が現れた事で、一時的にだが負の想念の力場が生じている――簡単に言えば、邪悪な波動が満ちている状態になっていた。もしかしたら『悪夢』のような形で、咲彩に影響が出ている可能性は否定出来ない」

 桜満に対して頷きつつ、懸念について俺が告げると、

「それってただの悪夢で終わる感じ? それとももっと危険な感じ?」

 という疑問を、かりんが投げかけてくる。

 

「うーん……。あのまま侵入されていたらまずかったが、幸いにも魔法がしっかり効果を発揮していてそれはなかったからな。今の所、咲彩がもし悪夢を見ているとしても、それだけで済むと思う。まあ……悪夢は精神的に疲弊してしまうから、出来れば見ていない事を願うが……」

 かりんにそう返した所で、

「少し気が引けるが……室内に危険な存在が入り込んでいないか、一応確認しておいた方が良いのではないかい?」

 と、そんな風に言ってくる亜里沙。


「ま、ドアを少しだけ開けて確認してみるとしよう。魔法で視覚と聴覚を一時的に強化すれば、ここからでも大体把握出来る」

 俺はそう亜里沙に返すと、そーっとドアをほんの少しだけ開け、魔法を発動する。

 

「……特になにも入り込んでいる感じではないな」

「そうね。妙な気配とか霊的な物とかも感じないわ」

 俺の言葉に続くようにして、そう言ってくるかりん。


『なら、もう大丈夫そうだね。さすがに一度撃退された以上、今夜中にまた何かを仕掛けてくる事はないと思うし、今日の所は解散で良いんじゃないかな?』

 スマホ越しに聞こえてくる桜満の声に同意し、

「そうだな。そうするとしようか」

 と、そんな風に返事をした所で、咲彩のうなされるような声が聞こえてきた。

 

 ……やはり、悪夢の回避は難しかったか……

 ……あいつの影響による悪夢であるのなら、何かあいつと関係のある情報が得られる気もするが、さすがに夢を覗く魔法なんてものは存在しない。

 そもそも……覗けた所で覗いて良いものなのか、という話でもあるし……な。

思ったよりも長くなってしまったのですが、途中で区切ると、どうにも区切りが悪すぎる事もあり、一気にここまでいってしまいました。


最後の方の流れから分かるのではないかとは思いますが……次の話は、この咲彩の『悪夢』について(咲彩視点での悪夢描写)になります。

なので、少しホラー感のある話となります。


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新ですが……そこそこ出来上がっているので、明後日(8月19日(金))を予定しています!

※なんというか、分量が前後編(2日連続更新型)になりそうな感じになってきているので、平時よりも1日早くしてみました。

(まあ、前後編にならなかったら、それはそれという事で……)

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