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第19話 ウニョーン再び

 亜里沙の話を聞いた桜満が少し思案してから、

『うーん……なるほど。たしかにふたりは君たちとの接点が多い間柄だし、今ここで秘密にしておいたとしても、いずれどこかで巻き込む事になる可能性は高そうだね』

 と言ってくる。

 どうやら、亜里沙の話で先程同意出来なかった部分に得心がいったようだ。


「はい。ですので、巻き込まれる形になる前に伝えておく方が、色々と安全というか……対処がしやすいのではないかと思います」

『そうだね……。何も知らないで巻き込まれる形になるよりも、知っている上で巻き込まれる形になる方が良いのは間違いないかもしれないね』

「……巻き込まれるのが前提なのか……? いやまあ、既に片足を突っ込んでいるような所はあるし、否定は出来ないが……」

 俺が桜満と亜里沙の発言に対してそんな風に返すと、

「正直言って今言った通り、ふたりが君――いや、君たちとこれだけ強い関わりを持っている以上、君たちがふたりに黙っておいて、怪異や事件に巻き込まないよう注意したとしても、遅かれ早かれ何らかの形で、ふたりは怪異や事件に巻き込まれてしまうと思うよ。そして……そういう意味でもここが良い機会なのかもしれない……と、そう私は思ったのさ」

 なんて事を肩をすくめて言ってくる亜里沙。

 

「……それはまあ……そうだな……。そう言われては、大いにあり得る……としか返しようがないな……」

 否定のしようがない俺は、そんな風に言いつつ、ため息混じりに首を横に振り、そのまま遠くを見るような感じで、敷地内に広がる庭園がみえる大きな窓の方へと、なんとなく顔を向けた。


 するとそこで、妙なものが視界に入った。

 

 ん? なんだ? 黒い糸……いや、縄のようなものが敷地の外から幾重にも絡み合うようにして伸びてきているな……

 って……まさか、こいつがセラの言っていた『ウニョーン』って奴か?

 だとしたら、こいつの――この黒い縄のようなものの狙いは……咲彩、か?


 そんな事を考えていると、

「うん? 外をじっと見つめて、どうかしたのかい?」

 と、不思議そうな表情で俺に問いかけながら、窓の外を見る亜里沙。

 特に何も反応がない所をみるに、どうやら亜里沙には見えていないようだ。

 

「ああ……。どうやらさっき話した『呪いの元凶』が、咲彩を再び取り込もうとしているようだ。セラの言っていた『ウニョーン』――黒い縄のようなものが、この宿の敷地外から咲彩の部屋へと向かって伸びていっている」

 そう答えつつ、セラが『ウニョーン』と称したそれを詳しく見る。

 

 感覚的には、負のアストラル……といった感じだな。

 まさか、ここまで執拗に、そして容易にこちら側へ顕現出来るとは……

 

『……こうも短い間隔で仕掛けてくるとは、なかなか面倒そうな存在だね。もしかしたら、かなり古い時代から徐々に力を蓄えたタイプなのかもしれない。この国にはそういった存在や場所が、まだそれなりに残されているんでね』

「……そうですね。呪いや悪霊が絡む伝説、伝承などは、各地に数多く残されていますからね」

 桜満の言葉に頷き、そう返す亜里沙。

 そしてそのまま俺の方を見て、

「――ちなみに、どうにか出来そうかい?」

 と、そんな風に問いかけてきた。

 

「そうだな……。咲彩に使った遮断の術式の中には、もう一度元凶が接触しようとしてきた際に、それを弾く為の防御魔法も組み込んである。だからまあ……おそらくは問題ないと思うが、張り付かれると面倒ではあるな。一応確認して、消し飛ばせそうなら消し飛ばしておいた方が良いかもしれん」

「なるほど……。それならば私も同行するとしようか。誰かと遭遇した場合に、君の代わりに良い感じに説明する……あるいは誤魔化す者が必要だろうからね」

 俺の返事に対してそう返してきた亜里沙と共に、俺たちは咲彩の部屋へと急ぐのだった――

というわけで(?)昨日に引き続いての更新となりました!

ウニョーン(というか呪いの元凶)が再び襲ってきたようですが……?


とまあ、そんな所でまた次回! 次の更新は明後日(8月17日(水))を予定しています!


※追記

最後の亜里沙のセリフが、正しい口調になっていなかったので修正しました。

(何故か桜満の口調になっていました……)

ついでにその影響で、言い回しがおかしくなっていた所を調整しました。

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