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第18話 桜満たちとの会話

 ――幻影を布団に残してそーっと部屋を出た俺は、ロビーへと向かう。

 

「うーん……海の幸と山の幸、双方を楽しめる豪華な夕食だったね。明日の朝にも期待出来るというものだよ。どれも美味しかったけど、個人的には生姜味噌で食べるおでんが最高だったかな。おろし生姜を味噌だれに混ぜるという発想が実に素晴らしいね」

 ロビーの隅っこにあるソファからそんな声が聞こえてくる。

 その声の主は、亜里沙だ。

 

「寒い地方ならではって感じではあるな。俺もどれも素晴らしいと感じたが、特にあの大きな貝殻に乗っかっていた、ホタテやその他色々な具材を入れた卵とじのようなものは、この国特有の調味料――味噌と組み合わさって良い味だった」

 と、そう返す俺。この場には亜里沙しかいないので、敬語にはしていない。


「なんとも妙な感想だねぇ……。でも、たしかにあの貝焼き味噌は良いよね。お酒にもとても良く合いそうだと思ったよ」

「まあ……飲むなら程々にな」

 なにやら、ちょっとウットリとした表情の亜里沙にそう告げる俺。


「さすがに、引率という建前上、そこは弁えているつもりさ」

「――建前って……」

「おっと、立場上と言うべきだったね。ま、それはそれとして……咲彩さんの方はどうだったのかな?」

「話を変えすぎだろ……別にいいけど。で……それについてなんだが――」

 亜里沙に対し、そう切り出して咲彩の部屋での出来事について説明しようとすると、

「待った。どうせなら『上』も交えるとしようじゃないか」

 と言って、桜満に電話をかける亜里沙。

 

 それもそうだなと思い、待っていると、

『ん? 何か追加で報告があるのかい?』

 という桜満の声がスマホから聞こえてくる。

 そして、それと同時に桜満の顔もスマホに映し出された。 


 ……こうも簡単に向こう側を映し出しながら会話が出来るとは、相変わらずこの世界の技術というのは驚かされる。

 魔法――魔導具でも出来なくはないが、それをするための準備や、魔導具を生み出すための手間は、スマホと比べて段違いに面倒で厄介だからなぁ……


 まあ、それはそれとして――

「ああ。追加というか……咲彩の件について、あの後で判明した事や、対処した事なんかを俺の方から説明させてもらおう」

 と、告げる俺。


『判明した事に対処した事……? なんというか、厄介な状況にでもなっているような言い回しだね?』

「厄介と言えば厄介だな。実は――」

 桜満の問いかけにそんな風に返し、俺は咲彩の部屋での出来事について、改めて説明を始める。

 

 ……

 …………

 ………………


「――とまあ、そんな感じだったんだ」 

『……なるほどね。うーん……こう言ったらなんだけど、まるでジャパニーズホラーみたいな状況になっているね……』

 俺の説明が終わった所で、そんな感想を口にする桜満。

 

 それに対して俺は、たしかに以前観たこの国独特のホラー物にちょっと似ている気がしないでもないな……なんて事を思いつつ、

「言われてみるとそうだな。まあ、幸い魔法でどうにか出来たが……」

 と、そんな風に返した。


『それに関しては、僥倖だと言えるね。……で、その過程で緋村雅樹君に魔法について話した、と』

「ああ、そういう事だ。あの状況ではそうするのが妥当だと思ったからな」

『そうだね。その判断は正しいと自分も思うよ』

「……それで、なんだが……俺としては紘都や鈴花にも話をしておいた方が良いと考えているんだが、どうだろうか?」

 俺に対して同意の言葉を返してきた桜満に、俺がそう問いかけると、

『うーん……なるほど。たしかにふたりだけ何も知らない状況……というのは、今後の事を考えるとあまりよろしくはないかもしれないけど……』

 なんていう少し歯切れの悪い返答をしてくる桜満。


 ふぅむ……。どうやら俺の考えに同意出来る部分とそうでない部分があるようだな。

 逆に亜里沙の方はというと、俺の考えに全面的に同意のようで、

「私としては、透真の言う通りあのふたりにも説明しておいた方が良いと思いました。あのふたりであれば、不必要に言いふらすような真似はしないでしょうし、そもそも……このまま言わずにおいても、どこかで知る事になるのではないかと……」

 と、桜満に対してそんな風に言った。

ちょっと会話が長くなってしまったので、一旦ここで区切りました……

とはいえ、残りの部分もほぼ完成済みではあるので、明日(8月15日(月)に)更新します!


※追記

冒頭の料理話をちょっとだけ詳細化しました。

(……なんとなくですが、描写が弱い気がしたもので……)

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