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第9話 理解する者

今回、若干長めです。

「ん? 透真にかりん、それにセラちゃんか。もしかして様子を見に来たのか?」

 当然のように雅樹が俺たちに気づき、そう問いかけてきた。

 それに対し、俺よりも先にかりんとセラが返事をする。

「様子を見に来たというか……実はその子から呪いめいた邪なものを感じ取ってね。それが何であるのかを詳しく調べに来たのよ」

「そうそう。なんだかイヤーな感じの黒い影が纏わりついているから、どうにかしようと思って来たんだよー!」

 

「へあ?」

 唐突に、かりんとセラから、『呪いめいた邪なもの』だの『黒い影が纏わりついている』だのと言われた雅樹は、理解が追いつかなかったのか、そんな素っ頓狂な声を上げた。

 

 まあそうだよなぁ……と思いつつ、どう説明しようかと考えていると、すぐに、

「いやいやまてまて……。呪い? 黒い影? そいつは一体どういう事だ……? つーか、そもそも何でそんな事が分かんだ……?」

 と、そんな風に疑問を口にしてくる雅樹。


 どうやら、ふたりの告げた言葉そのものは理解が出来たらしい。

 うーん……。そのまま思考停止したり一蹴したりしてこなかったし、やはり……なんとなく感じていた通り、雅樹にはこの手の話への理解力――というか、適応力がある……と考えるべきではなかろうか。


 ならば……と思い、 

「簡単に言うと、俺たちは『魔法』や『術』といった物が使える……そういう人間だ。だからこそ、そういった『呪い』のような物も認識出来る。まあ……今回のそれは、感知しづらい状態になっていたから、セラがいなかったら、気づかなかったかもしれないけどな」

 そう説明してセラの方を見ると、セラは「えっへん!」と言って胸を張ってみせた。

 ドヤって感じのその仕草が、なんだかちょっとかわいい。

 

「ま、マジか……。魔法……術……呪い……。そんなモンを、この目で実際に見る時が来やがるとはなぁ……」

「あら、随分と物分りが良いというか、あっさり納得するのね。もっと『何の冗談だ』みたいな事を言ってくると思っていたのに」

 雅樹の反応に対し、そんな風に言って方をすくめてみせるかりん。

 ある意味、予想通りではあるのだが、それでもたしかに思った以上にあっさりではあるな。

 

「まあ……実は俺、こいつ――咲彩の影響もあって、オカルトとかそういうのが好きでな。割と実在を信じてた方なんだわ」

 雅樹はかりんにそう返した所で一度言葉を切ると、俺の方へと顔を向けなおしてから、続きの言葉を紡ぐ。

「それに……だ。よくよく思い返してみれば、透真は最初から『それっぽい』所があったからな。それこそ、サッカーで相手チームのゴールまでボールを投げたりよ」


「ああ……そうだな。たしかにそんな事もあったな」

 雅樹の言葉に対し、顎に手を当てながらそう返す俺。

 あの時は、サッカーのルールをいまいち理解していなかったからなぁ……


「ま、それらをひっくるめて、お前たちが嘘をついているとは思えねぇし……ああ、やっぱり『そういうもの』は実在してたんだな、って感じで納得出来たっつーわけだ」

 そう言って肩をすくめてみせる雅樹に対し、俺は納得して頷いてみせる。

 そして、かりんもまた納得して頷き、

「なるほどねぇ。もっとも……理解が早いのは、こっちとしても助かるけど」

 と、そんな風に言った。


「――それで、改めて聞くが……『呪い』つーのはどういう事だ?」

「それについてはさっきかりんも言ったが……まだ現時点では、おそらく呪いの類だろうとしか言いようがなくてな……。これからもう少し詳しく調べる所なんだ。……すまんが、誰も入って来ないように部屋の外で見張っておいてくれないか? 『咲彩の両親は問題ない』んだが、それ以外の者に見られると面倒だからな」

 雅樹の問いかけに対し、咲彩の両親は問題ないという部分を強調しつつ、そう答える俺。


「良く分からんが、おじさんとおばさんなら問題ねぇのか……。――わかった、それ以外の人間がこの部屋に近づいてこないか、外で見張っておくぜ」

 そう言うなり、速やかに部屋の外へと出ていく雅樹。


 こういう根掘り葉掘りと深く聞かずに動いてくれる所が、雅樹らしいよなぁ……

 まあもっとも……それは良い面と悪い面の両方があるんだが、今回に関しては助かるというものだ。

 やっぱり、話して――巻き込んでとも言うが――正解だったな。


 なんて事を思っていると、

「あ、私がここにいてもしょうがないし、私も雅樹お兄ちゃんと一緒に外で見張っておくね! ひとりよりもふたりの方が良いと思うしー」

 と言って雅樹の後を追っていくセラ。


 『ここにいてもしょうがない』などと言っているが、実際にはそんな事はないので、何かあった時に、すぐに雅樹のフォローに回れる様に……という事なのだろう。


「――さて、なるべく誰かが来てしまう前に終えられるよう、さっさと始めるとしようか」

 俺はセラの背中を見送りながら、かりんに対してそう告げると、即座にブルルンを呼び出して魔法陣を展開し始めた――

今回、途中で区切ろうか迷ったのですが、また進展がいまいちな事になりそうだったので、ちょっと長くなりましたが、ここまで進めてしまいました。


といった所でまた次回! 次の更新も平時通りの間隔となりまして、7月27日(水)の予定です!

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