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第1話 海と山の温泉地

若干長めです。

「や、やっとついたぞ……」

 と、腕をダラリとさせて大げさに疲れを表現する雅樹。

 

「雅樹は大げさだけど、たしかに思ったよりも時間かかったよね……」

 やれやれと首を横に振る鈴花に、紘都が顎に手を当てながら返事をする。

「まあ、新幹線に2時間半以上乗って、更にローカル線……だったからねぇ……」


「1回の乗り換えで行けないのが厄介だったな。電車の本数が思った以上に少なくてビビったぜ……」

「ですね……。幸い、私たちが到着したタイミングでは大した待ち時間ではなかったですが」

「10分もしないで次の電車が来るような場所に住んでいたら、そう思うかもしれないけど、地方はどこもこんなものだよ。むしろ、中心となっている都市から近いからか、ちょっと多いくらいさ。私の故郷なんて、2時間に1本しかこないしね」

 そんな事を話しながら階段を登る雅樹、舞奈、亜里沙の3人と、先に階段の上に行き、

「思いっきり海が見えるわねぇ……。しかも島も見えるわ。何気に、この目で直に海や島を見たのは始めてだわ」

 なんて事を、線路を渡る為の橋――跨線橋(こせんきょう)というんだったか――から見える海と島へ顔を向けながら、感慨深げに言うかりん。


「あれ? かりんお姉ちゃん、海に行った事って一度もないの……?」

 首を傾げて問うセラに、 

「そうなのよね。だって、昔は海なんて簡単に行けるような場所じゃなかったし……遠すぎて」

 と、かりんが頷いて答える。


「たしかに、私たちが住んでる県は海ないけど……でも、遠すぎるって程じゃないような?」

 かりんの言葉に疑問を抱いたらしい鈴花がそんな風に言うと、雅樹がそれに続くようにして、

「もしかして、かりんは以前、もっと山奥に住んでいたのか?」

 という推測の言葉を、カリンへと投げかけた。

 まあ、かりんが大昔の人間だって事、ふたりとも知らないしな……

 

 それに対してかりんは、『あ、まずい』と言わんばかりの表情を一瞬みせた後、

「え、ええ。まあ、その……こっちに来る前はそんな感じだったのよ」

 とだけ言って誤魔化(ごまか)した。

 そして、それ以上深堀りされるのを回避するように、

「そ、それはそうと……宿はどこ?」

 なんて問いの言葉を口にしつつ、海沿いを見回すような仕草をしてみせる。

 まあ、海沿いに大きい宿が結構あるから、そっちにあるように思うよな。

 

「いや、そっちじゃなくて、後ろの山の方へ少し歩いた所だよ」

 かりんの問いかけに対してそう答えたのは、『引率』という名目で一緒にやって来た亜里沙だ。

 

「海側だけではなく、山側にも宿があるという事は……ここは、海と山の両方が楽しめる……というわけですね?」

「ま、そういう事だね」

 舞奈の推測に亜里沙が頷くと、顎に手を当てながら、紘都が興味を示す。

「へぇ、それはなかなか気になるね。どんな感じのレジャーがあるんだろう?」

 

 舞奈の言う通り、この温泉地は海のレジャーだけではなく、山のレジャーも充実しているそうだ。

 宿が海の側だけじゃなくて山に近い方にもあるのは、おそらくそういった山のレジャーをメインとする人もいるから……という事なのだろう。土地柄、冬になったら雪が積もるのは確実だしな。

 っていうか、ここから見える山の上の方とか、なんだかまだちょっと雪が残ってそうな感じだし……

 

「だね。私も気になるなぁ……。駅の観光案内所でパンフレットを貰ってくれば良かったかな」

 なんて事を言ってスマホを取り出す鈴花に、

「そのくらいなら宿にもあるんじゃないかしら?」

 と、そう返すかりん。


「あ、たしかにそうかも! それじゃあ、宿へレッツゴー!」

 などと手を突き上げて言う鈴花に続く形で、俺は雅樹の方を見て腕を組みながら、

「ああ、そうだな。『何をするにも』まずは宿に行かないと『始まらない』し……な?」

 と言って、宿の方へと向かって歩き出す。

 無論、『何をするにも』と『始まらない』の所を強調したのはわざとだ。

 

「お、おう……そうだな。あー……未だに何も言葉が思いつかねぇ……」

 俺の言葉の意図を理解したのか、雅樹が歩きながらそんな事を呟くように言って頭を掻く。

 

 それに対して紘都が、

「まだそんな事言ってるの? 雅樹はアレコレ考えるなんて無理なんだから、勢いでいけばいいのに」

 と、ちょっと毒気の混ざった言葉を呆れた表情で口にする。


 なんとも、昔から良く知っている間柄だからこそ、といった感じの言葉だな。

 などと思っていると、鈴花とセラが紘都に続くようにして、雅樹に同意の言葉を投げかける。

「そうそう、勢いで良いと思うよ」

「思うよ!」

 

「勢いって言われてもなぁ……。ぐむむ……」

 3人に言われ、更に悩む雅樹。


 ちなみに、俺も紘都や鈴花、そしてセラと同じで、考えるだけ無駄だと思っていたりする。

 だが、『悩む』という行為も大事だと思っているので、敢えて何も言わずに放っておき、そのまま宿のある方へと歩いていく俺。


 そして、跨線橋を渡って更に少し歩いた所で、

「それにしても、なんというか魔力の冴え渡る土地ですね」

「そんな感想抱くのあなたくらいよ……多分。でも、たしかに霊的な力が少し強いというか……昔を思い出すわね」

 などと、俺の横を歩くふたりが言ってくる。


 うーん……そう言われてみるとなんとなくではあるが、向こう側の世界に似た雰囲気を少し感じられるな……

 今、俺達が住んでいる建物ばかりで自然の少ない地域と違って、ここら辺は自然が多いからだろうか?

 

「まあ……これだけ自然が残っていると、人の立ち入らない場所も多いだろうし、必然的に古くから存在する『神秘』もまた数多く残っているはずだ。だから、それらを感じ取っているんじゃないか?」

「……なるほど。たしかにそうかもしれないわね。ま、懐かしいのは間違いないわ」

 俺の説明を聞いたかりんが、納得顔で感慨深げにそう言った所で、

「神秘と言えば……この辺りって、『地図から消された村』の伝説がありますよね?」

 なんて事を言う舞奈。う……ん?

 

「月城……。それは伝説は伝説でも都市伝説……ただのホラー話だよ」

 と、呆れ気味に言って、やれやれと首を横に振る亜里沙。

 

 あー……そういえば、この地方をインターネットで調べていた時に、そんなオカルト話を見かけた記憶があるな……

 もっとも……単なる噂、あるいは元となった話に尾ひれが付きまくって、盛大に変化してしまっただけに過ぎないとは思うが……

というわけで(?)新章開幕です!

SCROLL2は、東北地方のこの地域(とその周辺(?))がメインの舞台となります!

ホラーっぽい要素がチラッと出ていますが……SCROLL2の裏テーマは「ホラーブレイク」でして……割とホラーな展開を魔法でぶち破っていく展開だったりします。

まあもっとも、SCROLL1もサスペンス&オカルトな展開を魔法でぶち破っていましたが……


といった所でまた次回! 次の更新も平時より1日多く空きまして……7月5日(火)の予定です。

その次は元の更新間隔に戻れそうな気はしますが、まだ不確定です……

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