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第7話 北へ!

やや長めです。

『――というわけで……急な話だが、妹も同行する事になった』

 グループチャットに、俺がセラを連れて行く事について書き込むと、

『本当に急だな!? っていうか、妹いたのかよ!』

 と、物凄い速さで真っ先に雅樹が返信してきた。

 

『ああ、特に説明する必要もないと思って言ってなかったんだがいるんだよ。……まあ、親は違うがな』

 そう……色々あった末にセラは『俺の妹』という事になったのだ。

 正確に言うと、セラが誘拐され、そして殺害された『事件』から既に10年近く経過している上に、両親も国元に帰ってしまっており、なかなか連絡がつかない状態だった為、とりあえずそういう扱いにした……というべきか。

 セラ本人はそれでいいのかと思い問いかけてみた所、『むしろ、それがいい』などと言って返してきた。

 よくわからないが、まあ……本人がいいと言うのであれば、何も言うまい。

 

 そんな事を考えつつ、アイスを食べるセラに視線を向けると、俺の視線に気づいたのか、こちらを見て、

「……ん? ……もしかして無理そう?」

 と、問いかけてきた。

 

 何が無理なのかというのは、言うまでもなく『温泉へ行くのに同行しても良いか』という事に対してである。

 

『あ、私は知ってるよ。で、オッケーした』

『え、そうなん?』

『うん。昨日、うちにケーキを食べに来たし。すっごい可愛かった! もう抱きしめてスリスリしたいくらいに!』

『……そ、そういえばそんな事言ってたね……』

『凄い嬉しそうに食べるから、ついサービスしちゃったよ』

『……ああ、昨日の夕飯のケーキはそういう事だったのね』

『まあ、私は理解していましたが……』

『ん? ふたりして透真の所で夕飯を食べてんのか?』

『ええ。とてもおいしいのでつい……』

『同じマンションだし、その方が色々手っ取り早いのよ』

『な、なるほど……?』

『えっと……話を戻すけど、僕も透真の妹が来る事に関しては問題ないよ。むしろ楽しみかな』

『あ、私は言うまでもなく賛成よ』

『上に同じです』

『そうだな。俺も別に構わねぇぜ』


 スマホの画面に目を落とすと、そんなメッセージがいつの間にかズラッと並んでいた。

 おおう、流れが早いな……

 

「ああ、いや……問題なさそうだ。みんな快諾してくれた」

 そう俺が告げると、セラは小さくガッツポーズをして、

「やった……!」

 と、呟くように言って笑みを浮かべた。

 

 ……セラって、見た目の年齢と違って、感情の表し方が静かというか……落ち着いているよなぁ……

 まあ、実際には見た目よりも10歳近くプラスされているわけで……実年齢的には俺たち――俺はセラと同じで、見た目と年齢が違うが――と大差がないので、そんなものなのかもしれないが……


                    ◆


 というわけで、セラの分も急遽追加となったわけだが……宿の方は特に問題なかった。

 というより、桜満がいつの間にか1人分追加していた。……よくまあ、ギリギリで追加出来たものだ。


 そして、温泉への出発日……

「――紆余曲折あって、私たちは『オカルト研究部』一行という扱いになっていてね……。皆、そのつもりで頼むよ。あ、セラは『同行者』という扱いだから、その辺は気にしなくても良いよ」

 最寄りの駅――ではなく、そこから電車で約20分ほどの、新幹線が停車する駅に全員が集合した所で、『引率』という設定の亜里沙がそう告げてきた。


 ……どうでもいいけど、この駅……やたらとホームの数が多いな。

 まあもっとも……ホームの多さに反して、基本的に各ホームへは、改札内の一直線の通路から行く事が出来るというシンプルな構造なので、電光掲示板で番号を確認すれば、迷うような事はまずないだろうが。


 てな事を、駅の構内を見回しながら考えていると、

「なるほど……。まあたしかにそういう『設定』の方が、色々とやりやすいですね」

 と、舞奈。そういえば桜満もそんな事を言ってたな。


「ま、そういう事だね。それと……これから2時間半ちょっと新幹線に乗車する事になるから、必要な物は今の内にその辺で買っておく事をお勧めするよ。新幹線の改札内にもお店はあるけれど、今いるこっちの方がお店は多いしね」

「2時間半ちょい……か。行き先を考えたら、かなり(はえ)えが……それでも結構乗んな……」

 亜里沙の忠告を聞いた雅樹が、呟くようにそう口にする。


 一度行ってしまえば、それ以降は一瞬で行けるようになるけどな。

 と、心の中で付け足しておく俺。


「最速のに乗るから、駅の数で言えばたった3駅なんだけど、本州の一番北にある県だからね。さすがにそのくらいはかかるというものさ」

「3駅って、ここに来るまでよりも駅の数が少ないんだけど……。なんというか、とんでもない乗り物ねぇ……」

 亜里沙の説明に、そう言ってやれやれと首を横に振るかりん。


「3駅と言われると、なんだか途端に近く感じられますね……」

「そうだな。実際には2時間半以上かかるし、そこから更に2回乗り換えて行かないといけないみたいだけどな」

 俺が舞奈の呟きにそう返した所で、横にやって来たセラが、

「えっと……つまり、乗り換えの待ち時間を考えると……3時間以上かかる感じ? それならとりあえず……お昼ごはん、買っておいた方がいい?」

 と、問いかけてきた。


「あ、そうですね。今もう9時半を回っていますし……これから乗ってとなると……時間的に多分、移動の途中でお昼時になりますね」

 舞奈がスマホで時間を確認しながらそう言うと、セラが、

「了解ー! それじゃあ買いに行こー! あっちに色々と売ってる所あったし!」

 と、楽しそうにそう言って真っ先に歩き出す。

 

 俺はそんなセラを見て、とんでもない目にあったのだし、これからはそれを埋めるくらい色々と楽しんで欲しいものだ……なんて事を思い、そしてセラの後を追った――

というわけで、これにてSCROLL1.5は終了となり、次回からはSCROLL2へと入ります!

さて、一体どこへ行くのでしょうか?

(などと言いつつ、ヒントになりそうな発言だらけなので、割とバレバレなのではないかという気もしていたりします……)


といった所でまた次回!

次の更新は前回記載した通り、若干間が空きますが……7月1日(金)の予定です!

まさに、7月の頭からSCROLL2のスタートとなります!

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