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第1話 魔法のある日常

(ある意味予定通りですが)1ヶ月ぶりの更新です!

久しぶりという事もあり、今回は通常の話の2倍近くあります。

 翌週にゴールデンウィークを控えた週の土曜日……

 

 俺たちは両親の急用やらバイトの突発的な体調不良やらで、完全に人手不足になった鈴花の家――洋食屋の手伝いに来ていた。

 ……まあ、額をゴリゴリと床に押し付けて頼まれたら、否とは言えないしな……

 

 ちなみに、一番手伝ってくれそうな紘都は、部活の試合があるので無理だった。

 正確には、本人は試合よりも手伝う方を優先したがっていたのだが、鈴花が拒否した感じだ。

 雅樹は単純に反応がなかったらしい。……まあ、スマホのバッテリーが切れてるか、寝てるかどっちかだろうけど。

 

 と、そんな事を考えていると、

「7番テーブルの注文、全部揃ったわよー!」

 かりんが声を大にして、そう告げてきた。

 

「あれ!? 今、どうやって同時に作ったの!? 普通に考えて、調理器具足りなくない!?」

 スイーツを作っている最中の鈴花がなにやら驚いているが、調理器具が足りないのなら、生成魔法で生み出せばいいだけの話である。

 ……武器や盾だけじゃなくて、そんなものまで生み出せるのは想定外だったが……

 

 おっと、それはさておき……

「ああわかった。纏めて持っていく」

 と、かりんに言い、厨房の台の上に置かれた料理を纏めて手……だけでは足りないので腕にも乗せて運ぶ俺。

 

「って、こっちも凄いね!? どうやってそれ乗せてんの!? 特にそのケーキ! よく落ちないね!? っていうか、大丈夫だよね!?」

 鈴花が驚きと心配の声を上げるが、別に特殊な事はしていない。単に魔法で浮かせているだけだ。

 

 ともあれ、絶対に落とさないから問題ないと返事をし、さっさと7番テーブルへと料理を運ぶ。待たせるのは良くないからな。

 ってか、この注文の感じ……何かのお祝いなんだろうか?

 

「うわー凄い! どうやってるのそれ!」

 7番テーブルに到着した所で、幼女――小さなお客さんがそんな事を言ってくる。

 

 ……鈴花には適当に返事をしたが、小さなお客さん相手にそれはまずいよなぁ……

 

「――これはね、魔法を使っているんだよ」

「魔法! 凄い! 他には何か出来るの!?」

 ド真面目に――ただし、小さい子供向けの口調で――そう答えた俺に純粋な驚きと興味深げな眼差しを向けてくる小さなお客さん。

 ……さて、どうしたものか。

 

「そうだなぁ……。えいっ!」

 そんな風に言いながら、ナプキンをお子様ランチの前に置き、小さなお客さんの視線を遮ると、ゼリーの上にアイスを作る俺。

 ……言うまでもなく、それは師匠の生み出した超高度な、しかし用途の狭すぎる魔法だ。

 

「うわぁ! アイスクリームが出来てるっ!」

 ナプキンをどかすと、小さなお客さんがそんな驚きの言葉と共に笑みを浮かべる。

 

「それは僕からのサービスだよ」

「わーい! ありがとう!」

 俺の言葉に大喜びの小さなお客さん。

 ……しかし、『僕』っていう一人称何年ぶりに使っただろうか……

 

「いいんですか? このアイス、カラフルで手が込んでいるように見えるんですが……」

 小さなお客さんの母親らしき女性が、少し申し訳なさそうな表情で問いかけてきた。

 ……カラフルなのは、魔法で色付けしてるだけだから、別に手が込んでいるわけではないのだが……でもまあ……いきなりサービスですって言われたらそうなるよな。

 ……ならば。

 

「ええ、もちろんです。――注文の内容からして、何かのお祝いですよね?」

 と、そんな風に言ってみる。

 すると女性が、

「あ、はい。今日は娘の誕生日なので、そのお祝いとして、訪れたんですよ」

 と、微笑みながらそう答えた。


「そうなんですね! お誕生日、おめでとうございます! でしたら、これはそのお祝いのサービスです。――あ、でも、その代わりといってはなんですが、今後ともこの店をご贔屓に!」

 笑顔で強引に理由付けをする俺。そして、しっかり再度来店してくれるよう促す事も忘れない。

 

 ……こういう風に、上手くサービスして人を惹き付けろ……と、向こうの世界で言われたんだが、果たしてこっちの世界でも有効なのだろうか?

 と思っていると、

「それはもちろんさ! 僕も妻も学生時代からここには通っているからね!」

 と、今度は父親らしき男性が、そんな風に言ってきた。

 

「しかし、凄い手品だね……。僕もマジシャンをしているんだけど、今のは全然わからなかったよ……」

 なんて言葉を続けてくる男性。どうやら手品師らしい。

 ……まあ、今のは手品じゃなくて本当の魔法だしな……。敢えて訂正はしないけど。

 

「いえいえ、大した物ではありませんよ。っと、注文の品は以上でお揃いですか?」

「はい、大丈夫です。……まさか全部いっぺんに来るとは思いませんでしたが……」

 俺の問いかけにそう返してくる女性。

 

 ……あ、そうか。ケーキは後から持ってきた方が良かったか……

 ちょっと失敗したなぁ……

色々あって、第2章(SCROLL 2)の進捗があまり良くない状態なのですが、これ以上間を空けるのもどうかと思ったので、いったん序盤部分を1.5章(SCROLL 1.5)として分離して、先行で更新する形にしました。

内容的にも序盤部分は2章というには微妙というか、2章前日談みたいな感じでしたので……


なんとも(魔法はあるものの)日常的なひとコマといった感じがしますが、次の話で、あっという間に日常じゃなくなると思います(何)

(ちなみに『遭遇する』の意味も、次の話で分かると思います!)


といった所でまた次回!

そしてその、次の更新なのですが……申し訳ありません、色々立て込んでいる都合で丸1週間後の6月3日(金)を予定しています……

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