第13話 舞奈と古武術
「部長さんでしたか。――えっと……先程の問いですが、久しぶりなので上手く扱えるかはわかりません……というか、下手したら素人と変わらないくらいに腕が落ちているかもしれません。それでも良いでしょうか?」
一応、試しにやってみても良いというニュアンスでそう告げると、
「うむ。君が本当に素人であったのなら弓も矢も危険な物ゆえ、おいそれと触らせたりはしないのだが……正直、俺の目には君は素人どころか玄人に見えている。だから、もし何かあれば俺が責任を取ろう。まあ、俺は他人を見る目には自信がある。何かあるとは思えんがな! はっはっは!」
なんて事を言って、豪快に笑う千堂部長。
……見る目、か。
いきなり弓を射てみないか、などと俺に言ってきたくらいだし、たしかに優れた人物鑑定眼を持っていそうな感じではあるな。
っと、それはそうと……
今は舞奈に案内して貰っている途中だし、舞奈にも都合があるだろうから、あまり長々と付き合わせるのも悪いよなぁ……
そう思った俺は舞奈に、何か用事があるなら案内はここまでで構わない事を告げる。
だが、舞奈はそれに対し、
「いえ、特に用事もないので、お気になさらなくても大丈夫ですよ。それより……私も成伯さんが射る所を見てみたいです」
なんて事を言ってきた。
おや? 舞奈は実は武人タイプの人間だったのか?
そう思っていると紘都が、
「月城さんも興味があるの?」
と、問いかける。
対して舞奈はそれに対し、頷いてみせる。
「はい。私、古武術を見るのが割と好きなんです。いえ……趣味だと言っても過言ではありません。……自分ではやりませんけど」
……ん? なんだ?
今、舞奈の言葉から少しだけだが、諦めというか寂しさというか……良く分からんが、なんとなくそんな風なものを感じたぞ……?
……とはいえ、この場でそれを問うのは何か違うし、今はスルーするしかないな。
「ほう、それは随分と変わった趣味だな。だが……良い趣味だ」
と言って、ニカッと笑らう千堂部長。
たしかにこの国の――この年齢の少女にしては、随分と変わった趣味だと思う。
でも、それなら……そうであるのなら、不甲斐ないものを見せてガッカリさせるのだけは避けたい所だな。気合を入れて全力で挑むとするか。
ちょっと短いですが、区切りが悪くなるので一旦切ります。
そして、今日はまだ投稿します!




