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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL1 異世界の大魔道士、高校生になる part2
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第128話 浄化魔法

「……さすがに、もうこれ以上は騙されてくれそうにないブルね……」

 3度目のスピンアタックを実行し終えた所で、そんな風にブルルンちゃんが言ってきた通り、意識が逸れていないのが良く分かる程、符の消耗が激しくなってきました。

 

「他に時間稼ぎをするにも……すぐには手段が思いつきませんね……」

「さすがに……限界……ね……」

 術を維持しながら、そう言ってくるかりん。

 

 そして……そう言う通り、異形化した璃紗さんを拘束している符が次々に散り始めており、たしかにもう限界寸前といった感じです。

 

 どうすれば……と思ったその直後、

「――大丈夫そうブル! どうにかなったブル!」

 というブルルンちゃんの声がしました。

 そしてそれに続く形で、成伯さんの声が響きます。

「全術式……展開完了! かりん、術を解除しても大丈夫だ!」

 

「……お、遅いわよ……まったく……」

 深い疲労と安堵、その両方を顔に浮かべながら、そう愚痴っぽく言って術を解除するかりん。

 

 当然ながら符が一気に全て霧散し、異形化した璃紗さんの拘束が解かれます。

 しかし、「グ……?」という、何が起こっているのか理解出来ていないかのような声を短く発しただけで、動く様子はありません。


 ……というより、おそらく動けないのでしょう。

 なにしろ、即座に魔法陣が地面に出現し、光を発し始めましたから。


 そしてその光は、強い輝きを放ちながら光の柱となり、異形化した璃紗さんをその中へと飲み込んでいきます。


 しばらくすると光の柱から、

「グ……ガ……アァ……あア……あぁ……ウうぅ……あ……あアあァぁッ……!?」

 という異形のくぐもった声と、璃紗さん本来の声が混ざり合ったような、そんな声の苦悶の叫びが聞こえ始めました。

 

「ねぇ……ちょっと……。あれ……大丈夫なの……?」

 かりんが、肩で息をしながら、そう成伯さんに問いかけます。

 私は成伯さんの魔法が失敗するなどとは思ってもいませんが、ちょっと痛そうな雰囲気なのが気になりますね……

 

「――ああ。浄化は問題なく進行している。……まあ、肉体を再変異させるようなものだから、少しの痛みが伴うのはどうにもならんな……。一応、鎮痛魔法も組み込んではいるが、果たしてどこまで効果があるのかは俺にも分からん……」

 と、成伯さん。何気に鎮痛魔法を組み込んでいるある辺りに、ちょっと優しさを感じますね。


 ……魔法の半分は優しさで出来ている……などという言葉が、ふと頭に浮かんできましたが、そんな事を口にしたら突っ込まれるのは確実なので、その言葉は飲み込みます。

 

 ……ま、まあ、その……半分が優しさというのはさておき、あの魔法がどういう仕組みのものなのか気になりますね……

 なので、聞いてみましょう。ええ。

「というか、あれってどういう仕組みの魔法なんですか?」

 

「魔法陣というのは、元来『魔から身を守る』為のもので、その『中に入っている者が魔に襲われないように、魔を退ける』ものなんだが、その根本的な所――『魔を退ける』という部分を増幅させて、千堂璃紗に害を与えている元凶とも言うべき存在を追い出す形にしたものだな」

「ふむふむ……。魔法陣というと、円の中に何かを召喚したり生み出したりするイメージが強いですが、本来はそういった防御的なものなんですね」

「ああ。もちろん何かを召喚したり生み出したりする為に、魔法陣を展開する魔法というのも存在するし、最近はその類の魔法の方が多いけどな」

「なるほど……。ちなみに元凶とも言うべき存在を追い出す……という話ですが、その『追い出されて外に出てきたもの』は、どうするのです? 改めて滅する感じですか?」

 私は新たに湧いてきた疑問を、再び成伯さんに投げかけます。

 まあ……もしそうであっても、全力で滅するだけですが。


「いや、鎮痛魔法を入れたのと同じ要領で、外部からの干渉を破壊したり、異形化している因子そのものを破壊したりするような魔法なんかも、色々と入れてあってな。『元凶』を追い出すと同時に滅してくれる」

「あ、そんな事も出来るんですね。なんというか、まるで自前で用意した具材を大量にトッピングしたインスタントラーメンみたいな感じですね」

 成伯さんの説明に対し、そう返すと、

「……その例えというか感想というか……そんな反応をするなんて、さすがに思ってもいなかったわね……。予想の斜め上すぎだわ……」

 と、呆れた表情でかりんが言ってきました。

 

 ……あ、あれ? 私、何かおかしな事を言ったでしょうか……

というわけで……魔法が発動した事もあり、異形化した璃紗との戦闘は、ほぼ決着です。

なんというか……元々は大した強さでもない相手な事もあり、今の半分くらいでケリがつく想定だったのですが、魔法を構築するという部分の描写が思った以上に長くかかってしまいました……


とまあ、そんな所でまた次回! 

次の更新は、いつもどおりの間隔となりまして、3月2日(水)を予定しています!

……が、その次は、もしかしたら再び1日間隔が多く空くかもしれません……

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