第119話 ホムンクルスの中の因子
一方その頃――
『――という感じブル! ……何かこっちに伝える事はあるブル?』
舞奈が導き出した結論を、俺に念話で伝えてきたブルルンが、締めの言葉と共にそう問いかけてきた。
……大津原が別人になりすましている可能性が高い……か。
『こっちは交戦中で連絡出来ないから、俺の代わりに、桜満に学校の全生徒と全教師の所在を早急に調べるよう連絡して欲しいと、そう伝えてくれないか? 大津原は所在が掴めない人物に成り代わっている可能性が高そうだからな』
『わかったブル!』
ブルルンとの念話を終了し、再び交戦中の異形――千堂璃紗の魂を宿した偽りの肉体……ホムンクルス――へと視線を向ける。
……状況は理解した。
遭遇した時点で、この異形からは欠片の気配の様なものをまったく感じられなかったからな。
『魂の欠片』を分離する魔法は無意味だろうと思って、防戦に徹して時間稼ぎをしていた意味があったというものだ。さすがは舞奈といった所か。
しかし、前に『魂の欠片』を破壊して元に戻したあの時に、既にホムンクルスと化していたのなら、何故その時点で命令とやらを使って異形化させなかったのだろうか……
『魂の欠片』と接触させて異形化させる必要性が何かあった……のか?
そんな思考を巡らせつつ、異形の攻撃を受け流し、弾き飛ばす俺。
しかし、異形は即座に6本の手を使って体勢を立て直した。
そして再びこちらへと突っ込んでくる。
まあ……良く分からんが、まずは元に戻すのが先か。
そう思い、俺は異形の繰り出してきた攻撃を、敢えて大きく後方へ跳躍して回避。
距離を取りながら元に戻す方法を考え始める。
……欠片によって強引に生命――肉体を歪められているわけではなく、最初から歪んでいる状態だとすると……欠片を分離する魔法の構成を少し変えた程度では無意味だろう。
……命令、あるいは条件で異形化するのなら、それを実行するための『因子』――術式などが存在していて良いはずだ。それを見つけ出して破壊すればいける……か?
と、そこまで考えた所で、俺は異形の魔力と霊力がどうなっているのかを探ってみる事にした。
「かりん! しばし拘束してくれないか!」
かりんの方へ向かってそう言葉を投げかけると、かりんは二つ返事で了承し、例の拘束術を発動させた。
異形の動きが停止した所で、俺は魔力と霊力の状況を視て、探る。
全身を覆っている力……は、かりんの術によるものか。
なるほど、それを押し返そうとしている力がかなり強い。これを長時間抑え込むのはたしかに厳しいな。
そう思いながら、更に探る。
すると、脳に対して働く妙な力――魔力めいた何かの力を感じ取った。
これは……異形の動きを制御している力……か?
――その力の流れを、源流の方に向かって辿っていく。
……っと、心臓の横に何か……力の塊のような物があるな……
直後、『それ』から、これまで感じなかった『魂の欠片』の存在を僅かにだが感じ取った。
――やはりというかなんというか……どうやらこいつが『因子』のようだな。
まかりなりにも大魔道士などと呼ばれていただけはあり、情報さえあればどうにか出来てしまう……という事ですね。
とまあそれはそれとして……次回の更新なのですが、来週中盤に諸々の都合がある関係で、更新期間が普段より2日ほど多く空いてしまう状況な為、前後を調整して間隔が空きすぎない様にした方が良いと思いまして……次回の更新を普段より1日ほど遅らせる事で、更新間隔を同じくしようと思います。
なので、次は2月1日(火)に更新するつもりです。
そして、その次が2月5日(土)の更新を想定しています。
その次からは、普段の更新間隔に戻せると思います。




